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健康? ウェアラブル? iPhoneもMacも発表しなかったAppleが目指す未来とは

2014年06月04日 01時48分 JST | 更新 2014年06月04日 01時48分 JST
Justin Sullivan via Getty Images
SAN FRANCISCO, CA - JUNE 02: Apple CEO Tim Cook walks off stage after speaking during the Apple Worldwide Developers Conference at the Moscone West center on June 2, 2014 in San Francisco, California. Tim Cook kicked off the annual WWDC which is typically a showcase for upcoming updates to Apple hardware and software. The conference runs through June 6. (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

6月2日、Appleの開発者向けのイベント、「WWDC」(World Wide Developpers Conference)がアメリカ・サンフランシスコで開幕。ティム・クックCEOら首脳陣が、iPhoneとMacの未来について語った。

しかし、一般ユーザーが期待したであろう、新型のiPhoneやMacの発表はなく、落胆する声もある。しかし現地を取材しているジャーナリストの西田宗千佳さんは、今回の発表から見えるAppleの未来について、「Appleが主張したいのは『端末の発表で騒ぐことが価値』である時代を終わらせる、ということだ」と総括する。

iPhoneは、スマホはどこへ向かうのか。西田さんに聞いた。

Apple WWDC 2014

――結論から聞きます。今回のWWDCで、Appleはどんな未来を描いていると思いましたか。

Appleは、スマホの価値を「スマホそのもの」だけでなく、「スマホの回りにあるもの」を含めて評価してもらえるよう、アピールをはじめています。

すなわち、魅力的なアプリや周辺機器の存在がスマホを選ぶ基準になる、ということ。そのためには、「Apple製品向けに開発することが、いかに魅力的なことか」をアピールする必要があります。

WWDCは開発者会議であり、そこで個人向けの製品発表がなかったことを寂しく思う人もいるでしょうが、Appleが主張したいのは「iPhoneの発表で騒ぐことが価値」である時代を終わらせ、端末の価格などが勝負の軸にならない世界を作る、ということだと思います。

――今回、iPhoneやMacの発表はなかった。そんな中で一番のトピックは?

Appleが「開発環境を整理し直した」ことにあります。

例えば、iOS 8ではApple製品同士の親和性がさらに高まります。自分のMacやiPadが近くにあれば、iPhoneに着信した電話をそれらの機器で受けて通話したり、iPhoneで書きかけていたメールの続きをすぐにMacで書いたり、といったことが簡単にできるようになります。

写真やファイルについても、「iCloud Drive」というオンラインストレージを用意し、相互に自動同期する環境を整えました。

こうしたことが何を意味するのか。

これまでは、他社が提供するソフトやサービスを使えば同じことができましたが、Appleは「自社製品で簡単に実現する枠組み」を用意し、使い勝手を上げようとしています。

iOS 8では、家庭内のカギや照明などのコントロールを統括する「HomeKit」、ヘルスケア関連周辺機器をコントロールし、情報を統括する「HealthKit」という技術が用意されますが、これも「整理」の意味合いが強いと思います。

これまで、複数の会社がそうした周辺機器を出してきましたが、それぞれ独自のやり方をしてきたので、例えば家庭内の場合には「カギと照明では別のアプリでコントロールする」、ヘルスケアの場合には「ジョギングの情報と心拍数は別に管理」といった面倒なことになる可能性が高かったんです。

そこを、Appleが技術仕様にまとめて「キット」化し、他のメーカーの開発が簡単になるように環境を整備した、ということに意味があります。そうした「開発体制の強化」が、今後のアプリ開発・周辺機器登場を後押しする可能性は高いと思います。

一般ユーザーには直接関係ありませんが、開発者側への最大のトピックは、Apple製品の開発用言語として、新たに「Swift」という技術が提示されたことです。Swiftは、今までの言語よりも開発難易度が下がり、アプリの動作速度も速くなる、とAppleは主張しています。

Swiftへの移行も、アプリ開発を加速する意味合いを持ちます。結局のところ、アプリや周辺機器を作りやすいように環境を整えた、ということが最大の意義です。

――日本のiPhoneユーザーへの影響は?

メッセージ系アプリの改良など、iOS 8では色々な使い勝手の向上が見られますが、LINEなどで広がっている使い方を追いかけている部分があるので、直接的な影響は、小さいかもしれません。

一つ、大きく変わる可能性があるのは、「外部の企業がキーボード関連アプリを開発可能になる」という枠組みを設けたことです。

日本では、iOSの文字入力の効率についての不満を口にする人が多く、そうした人々の多くは、ジャストシステムの「ATOK」に代表される、入力効率の高さで定評のある技術がiOSでも使えるようになることを求めていました。

今回、キーボードに関する機構にApple以外が関与可能になることで、「iOS版ATOK」の登場を期待させる流れが出てきました。

ただし、基調講演で述べられた範囲の技術で、本当に「iOS版ATOK」といえるものが開発できるかどうかは未知数です。開発元のジャストシステムも「待ち望んでいたこと。前向きに開発情報の詳細を調査している最中」とコメントしていますし、期待してもよいのではないでしょうか。

また、親に隠れて子供がゲームアプリのアイテムを大量に購入する、といった行為が問題視されているが、iOS 8から、子供がiOS機器でアプリを決済すると親の機器に自動的に通知が行き、親が許諾するまで実際の購入はできないようにする、という仕組みも導入されました。こういったことは、問題を解決し、健全に市場を育てる上では価値を持つと思います。

――スマホの世界で、今後キーとなりそうな技術は?

Bluetooth LE。無線で周辺機器や端末同士を結ぶ技術です。対応機器は爆発的に増えていて、「いかにソフトを簡単に作り、価値ある周辺機器にするか」が求められています。Appleが発表したHomeKitもHealthKitも、このBluetooth LEあってのもの。生活と切ってもきれない技術になっていくと思います。

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