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ボジョレー・ヌーボー解禁 今年の出来は? おすすめの銘柄は? ソムリエに聞く

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BEAUJOLAIS NOUVEAU JAPAN
Japanese wine drinkers toast the 2014 vintage Beaujolais Nouveau wine at an event in Tokyo on November 20, 2014, after an embargo on the wine was removed at midnight. A total of seven million bottles of Beaujolais Nouveau wine are expected to be imported to Japan this year. AFP PHOTO/Yoshikazu TSUNO (Photo credit should read YOSHIKAZU TSUNO/AFP/Getty Images) | YOSHIKAZU TSUNO via Getty Images
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11月の第三木曜日となる11月20日、ボジョレー・ヌーボーが解禁になった。今年のボジョレーの出来は? おすすめの銘柄は? ボジョレー懐疑派でも楽しめるワインは? 東京・自由が丘のワイン専門店「イーエックス・ワイン」のソムリエ、柳田由香さんに聞いた。

――今年のボジョレーの特徴は?

もし「ボジョレー・ヌーボーは『100年に1度』が毎年来る」という最近のアレがなければ、今年も「100年に1度の出来」と言われたと思います(笑)。

それぐらい、今年は素晴らしい天候に恵まれました。今年は春に晴天が続いてぶどうは順調に育ったんですが、夏に冷たい雨が降ったり気温が上がりにくい日もあってハラハラしました。結果的には、9月に一気に天気がよくなり、ホッとしています。

これはボジョレー・ヌーボーに限ったことではありませんが、ワインの出来に大きな影響を与えるのは夏の終わりから秋にかけての天気なんです。ぶどうが色づいてから収穫までの間に「どれだけ日照量を浴びられるか」「雨が降らないか」が、その年の出来に大きく影響します。

太陽の光をたっぷり浴びることができればぶどうはしっかり完熟し、凝縮した果実味を持ったワインになります。

雨が降るとぶどうの病気が発生しやすくなったり、ぶどうが水っぽくなってしまうことがありますが、今年は9月以降まったくと言っていいほど雨が降らず、畑の衛生状態も極めて良好なままぶどうを収穫することができました。

今年はボジョレー・ヌーボーの生産者さんが「今年収穫したぶどうの美しさは生涯忘れない」と言っていたのが印象的です。フランス人らしい表現ですよね(笑)。

それほど今年のぶどうは完璧な状態で収穫されたということですから、当たり年であった2005年や2009年に引けをとらないワインに仕上がっていることは間違いありません。

味わいの個性としては昨年に似ていて、果皮まで熟したので色が濃く、エキスがギュッと詰まった果実味を持ったワインです。テイスティングした感覚では、昨年以上に果実味の凝縮感がありましたので、赤ワインを飲み慣れていない方にも今年のボジョレー・ヌーボーは美味しくお召し上がりいただけると思います。

「ヌーボーなんて美味しくないから飲まなくていいよ」なんて言ってる似非ワイン好きの言葉なんて無視して、今年のヌーボーはぜひ普段ワインを飲まない方にもお召し上がりいただきたいですね。

――おすすめの生産者、銘柄があれば教えて下さい。

昨年、ワイン評価本でボジョレー・ヌーボー最高得点を獲得したジョエル・ロシェットがおすすめです。ラベルも華やかでヌーボー解禁のお祭り気分を盛り上げてくれますよ。

また、日本人の醸造家、仲田晃司さんが造るル・デュモンもおすすめです。仲田さんは日本人がボジョレー・ヌーボーに期待する味わいをよくわかっていますから、日本人好みのヌーボーを造ってくれます。

ただ、残念ながらどちらも生産量が少なく、どこにでも売っているというヌーボーではありません。近所のワインショップに売っていたら迷わずその場で買っておかないと、あっという間に売り切れて買えなくなります。

もし他のヌーボーを買うならなるべく2000〜4000円のものが良いと思います。安く売ることを前提に造られたヌーボーはどうしても美味しさよりコストダウンを優先せざるを得ません。

たとえば、ご紹介したジョエル・ロシェットやル・デュモンは良くない実があれば使わない、といった対応をしてくれますが、そのために人手が必要になり、当然のことながら人件費がかかります。

美味しく造ることよりも安く売ることが前提であれば、この工程を省いてコストダウンする生産者も出てきます。最近はディスカウントショップや大手スーパーが「いかに安く売るか」という競争を繰り広げていて、これも悩ましいところです。

安く販売することで今まで飲んでもらえなかった層にもワインを手にとってもらえるという嬉しい面はあるものの、味を二の次にされたヌーボーを飲んで「別に美味しいものではないんだな」と思われてしまえば翌年からはもうヌーボーを手にとってもらえませんから。

できればワインショップで店員さんと相談しながら選んでいただくのが理想ですが、近所にワインショップが無かったりコンビニで買う場合は2000〜3000円を目安に選んでいただくといいと思います。

――どんな食べ物を合わせたらいいですか?

ボジョレー・ヌーボーは赤ワインですが渋さがあまりなく飲みやすいので、お料理も軽いものが合います。生ハムやチーズ、ピザなんかも相性がいいです。

お夕飯に合わせるなら、お肉の場合はトンカツや豚しゃぶ、チャーシューなど豚肉と相性抜群です。お魚だとマグロの漬け丼や鰹のたたきも合いますよ。マグロの漬け丼の場合、速水もこみちさんじゃありませんがオリーブオイルをちょっと垂らすとよりワインと相性が良くなります。

お召し上がりになる時は30分ほど冷蔵庫で冷やしてから抜栓して下さい。

――ちょっと意地悪な質問なんですけれども、「ボジョレーは酸っぱいから飲むもんじゃないよ」なんていう人もいますよね。

酸味が苦手な方には酸っぱく感じるかもしれません。その場合は温度を少し上げると酸味がおだやかになります。

今年はぶどうが完熟して糖度も高くなっていますから、例年より酸味が柔らかく感じるはずです。「酸っぱいから……」と敬遠していた方たちにも今年のヌーボーはお楽しみいただけると思います。

――そんなヌーボー懐疑派のために、ヌーボーじゃなくても、今、手頃でおすすめのワインがあれば教えて下さい。

ヌーボーは「新酒」のことです。ボジョレー・ヌーボー(ボジョレー地区の新酒)が一番有名ですが、お隣のイタリアにもノヴェッロ(新酒)があり、解禁日があります。

最近では日本のワイナリーでも新酒を造っていて盛り上がりを見せています。山梨県では11月第1土曜日を新酒解禁日として、甲州(白)とマスカット・ベリーA(赤)というぶどうから新酒が造られているんです。

たとえば甲州で造られた白ワインはほんのり甘さを感じるやさしい味わいで和食にもピッタリですから、「ボジョレー・ヌーボーはちょっと……」という方はぜひ日本の新酒に挑戦していただきたいですね。

新米や新茶、初鰹など、初物を楽しむというのは日本の素敵な文化のひとつだと思います。「初物七十五日」という考え方もとても日本らしくて大好きです。

日本人のソムリエとして、初物で季節を楽しめる素敵な日本の文化の中に、「新酒を楽しむ」という習慣が仲間入りしてくれたら、これほど嬉しいことはありません。

最近はどうしてもボジョレー・ヌーボーの季節になるとその年の出来ばかり注目されてしまいますが、ヌーボー解禁は「今年も無事にワインができた」ということを祝うお祭りです。

出来がどうのこうのと難しいことを考えずに、ウンチクを語らず、気軽に乾杯するのが正しい楽しみ方です。初物を楽しむ日本人らしく「今年も新酒が来たか!」と気軽にお楽しみ下さい。

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