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2015年03月13日 15時20分 JST

現実味帯びるドローン「交通規制」、安全性確保も課題

Reuters

[ニューヨーク 10日 ロイター] - 米航空宇宙・防衛機器大手エクセリスは、低空を飛行するドローン(小型無人飛行機)を対象とした監視システムを近く明らかにする見通しで、「空のハイウエー」の世界が今後どう展開していくかを示すカギとなる可能性がある。

数千機ものドローンが上空を行き来するようになれば、航空機や人間に衝突するのではと懸念されており、NASAと航空宇宙業界は大きな課題に直面している。ロイターとイプソスが米国で行った調査では、ドローン規制を望むとの回答は全体の73%に上った。

エクセリスや競合他社は、石油パイプラインの遠隔監視から農作物の調査、宅配に至るまで様々な用途に利用されるドローンの長距離飛行を安全にするため、低空でのドローン監視システムの構築を急いでいる。

米連邦航空局(FAA)がこのほど公表したドローン規則の原案では、ドローンの飛行可能区域は操縦者が視認できる範囲内とされており、長距離飛行を必要とする用途の大半は認められないことになる。

しかし、米航空宇宙局(NASA)はエクセリスなどの企業や大学、政府機関と協力して航空交通管理システム開発に着手しており、このシステムを利用した場合にはFAAが視認範囲外でもドローンの飛行を許可する可能性がある。

エクセリスの新製品となる低空飛行機の監視システム「UAS-Vue」と「RangeVue」が他社より優位に立っている理由は、地上のステーション650カ所から集めた有人飛行機の追跡データフィードの独占使用権を持つためだ。同社は、このデータフィードをFAAにも提供している。

エクセリスは今月中に製品発表を行う予定で、FAAが設置したドローン飛行試験所に「RangeVue」を今夏に導入するとしている。同社は過去6カ月の間に急ピッチでシステムを開発したことから、価格設定はこれからとなる。

エクセリスは海外市場に可能性を見出してはいるものの、当初は地上ステーションやFAAへのフィードを活用できる米国での事業展開に焦点を当てる方針だ。また、3─5年以内にNASAが航空交通管理システムのプロトタイプを完成させた後、FAAが採用することになるシステムへの関与も目指している。それまでは、米国内で商用目的でドローンを運用したい企業に製品を直接提供する計画だ。

<安全性への懸念>

国際航空パイロット協会(ALPA)のティム・カノール氏は、ドローンが航空機と同じ空域に入るのであれば、「(ボーイング)747型機と同様に、(ドローンも)画面上で確認できなければならない」と話す。カノール氏や航空安全の専門家らは、ドローンへの指示送信に問題が起き、ドローンが制御不可能になる可能性についても懸念を示している。

ドローンの安全問題に取り組んでいる企業は他にも存在する。米サンフランシスコの新興企業ドローンディプロイは、ドローンのバッテリー寿命、飛行地域の周辺の地形、天候などを自動的に調べ、問題があれば飛行を中止させるシステムを開発。米カリフォルニア州エルセグンドを拠点とするノーフライゾーン社は、住宅などにドローンを近づけないためのデータベースを構築しているほか、米ワシントン州のセージテックは、ドローンが位置データを送信できるトランスポンダー装置を開発中だ。

米ネット通販大手アマゾンは、ドローンを使った宅配サービス「プライム・エア」計画向けに技術を独自開発しているが、ドローンの交通管理システムは重要だとし、プロトタイプの開発でNASAと協力している。

アマゾンの「プライム・エア」部門のバイス・プレジデント、ガー・キムチ氏は、安全な運用が見込めない限り、同サービスは導入しないと述べた。

NASAはシリコンバレーのエイムズ・リサーチ・センターで無人飛行交通管理(UTM)システムのプロジェクトを進めており、担当するパリマル・コパーデカー氏は、NASAのシステムは空域構成、天候や風のデータ、ドローンの配列、ドローン同士の間隔距離の管理、緊急事態発生時の対応などに関するサービスを提供すると説明した。

NASAはエクセリスと協力しているが、エクセリス以外の通信企業もドローン追跡システムを提供することは可能だとしている。最終的にFAAに採用されるシステムは、連邦、州、地元の各当局、または料金を支払った民間企業が運営・保全を行う可能性があるという。

最終的なシステムのあり方を決めるのはFAAだが、報道官はシステムが最終的にどのような形態になるかを議論するのは時期尚早だと述べた。

(Alwyn Scott記者 翻訳:本田ももこ 編集:加藤京子)