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「必ず身近にいる」LGBTを理解するために大切なこと――東京レインボープライド参加者に聞く

2015年04月29日 17時28分 JST | 更新 2015年04月30日 17時16分 JST
Kazuhiko Kuze

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4月26日に行われた「東京レインボープライド」のパレード。快晴の下、約3000人が参加した

LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)をはじめとするセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)が差別や偏見を受けずに生きていくために、性の多様性への理解を深めるイベント「東京レインボープライド 2015」。今回は東京都渋谷区で同性カップルに対し、結婚に準じる関係と認める「パートナーシップ証明」を発行する全国初の条例が可決したこともあり、世間の関心も高まっている。

4月25、26日に東京都渋谷区の代々木公園イベント広場と園周辺で開催された「東京レインボープライド 2015〜パレード&フェスタ」にはおよそ5万5000人が来場し、約3000人がパレードに参加した。また、5月6日までの期間中、LGBTの老後を考えるシンポジウムや、アライ(LGBTの支援者)が当事者とどう関わっていけばいいのかを考えるワークショップなど、さまざまなイベントが開催される。

イベント主催者の1人で、認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権さんは、「今回のレインボープライドは大きなテーマを設定せずに、世間一般の人たちが理解を深める入り口となるようなものにしたい」と抱負を語った。

そこで、ハフポスト日本版編集部では、イベント参加者のみなさんに、LGBTの当事者やアライの人たちが世間一般の人たちにセクシュアル・マイノリティに対する「理解への入り口」に立ってもらうために何をすべきかを尋ねた。回答してくれたのは当事者、アライだけでなく、ストレートのカップル、たまたま会場に来ていた人、沿道にいた人など多岐に及んだ(仮名、匿名希望も含む)。

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認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ・有田理香さん

10年前に比べると一緒に歩いてくださる方も、沿道で見てくださる方も増えて、世の中のLGBTに対する見方も変わってきたんだな、と思います。

友人、同僚、近所の方たちの中に「自分のことを分かってもらいたい、話したい」と思っている人たちがいるはずです。そういう話が出てきた時、彼らをありのまま受け止めてあげられるように、まずは一緒に話を聞いてみるような社会になるといいですね。

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カズキさん(写真左)

まだまだ世間では誤解している人が多いな、と思っています。「気持ち悪い」とか。気持ち悪くないんだということを知らせないといけないですね。普通なんです。ただ、生まれた時に持っていた、愛する人の性別が女性ではなく男性だっただけで、全く普通なんだということを知らせないといけません。そのためにはマツコ・デラックスさんのように、テレビや新聞にどんどん出て、メディアの力を借りる必要があります。テレビドラマでも、LGBTの役者さんがおねえキャラではない役で出られるようになるといいですね。

本当はLGBTという言葉はない方がいいのですが、今の段階では知ってもらうことが重要なので、パレードなどに参加して存在しているということを知ってもらうのがいいなと思っています。

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リキヤさん(写真右)

当事者がわりと身近にいるということに認識してもらって、その存在に気づいてもらいたい。だからといって、当事者であることで何か迷惑をかけているわけでないので、共に存在している、という方向性をお互いに考えられたら。

ベンさん(同左)

身近にいるということをみなさんは思っていないことが多くて、ギャグにされたりとか馬鹿にされるようなことを言われて傷つく当事者もいっぱいいます。身近にいると思えばそんなことも言えないと思うんです。

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タツヤさんとユウコさん

全然特別なことではないんだ、と知ることからですね。テレビに出ているような人たちは、自分たちとは関係ない世界の人たちだと思ってしまいがちなので、そうではなく、隣に当たり前のようにいる、ということを知っていくことかな、と。

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マユさん(写真左)

パレードの存在は大きいですよね。年々行われる度にこれだけ人が増えてきているということは、理解の幅も広がってきているのかな…と思いたいですけど。個人的にやっていくこととしては、私たちが「どこかの誰か」ではなく、「自分の知っている誰か」なんだと感じてもらうことが一番大事だと思っています。アライの人たちには、「私の友達がね…」…みたいにできる範囲で話してもらう。そしてもちろん無理強いじゃないですが、出来る人はカミングアウトして……というように、「直接の知り合いの誰かがこういうふうに思っているんだ」という理解が広まっていければいいと思います。

ヨウコさん(同右)

そうすれば、差別的なきつい言葉って出てこなくなると思う。身近にいるとわかれば。

マユさん

理念がどうとか、ではなくて「あ、あの子が困っているんだ」と思ってくれる方が自然に共感していくんじゃないかな。

ハジメさん(同中央)

私は医療関係者でLGBT当事者なんですが、病院もLGBTとしてより行きやすい場所になるような活動をしています。でも病院の中でもLGBTにとってハードルが高いことがまだまだ多いですね。結局は認知されていないから起こる問題なのかなと。認知を広げていくことが大事で、こうしたイベントも一役買っていると思うのでどんどん知られていくといいかな、と思います。

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マキさん(写真右)

たまたま隣でやっていたカンボジアフェスティバルに来ていたのでレインボープライドにも来てみました。彼らが開放的になれる場所があるのはいいなと思います。あとは年に一度だけじゃなくて、広報的な面でも日常的にこういう場が作られて知ってもらうといいのでは。

みんな言わないだけで結構身近にいますよね。言っても普通でいられるような環境を作るということ。テレビにおねえキャラが出てくると、そのイメージだけが先行しすぎるから、かえって見た目は普通の人が言いづらくなるということもあるかなと。「みんな面白いこと言うんでしょ? オカマなんでしょ?」みたいな。そういった偏見をなくすためには小学校、中学校のレベルからの教育も考えていかないといけないのかな、と思います。

マヨさん(同左)

難しいかもしれませんが、小学校の頃から偏見をなくすような教育ができればいいですね。今の教育者の中でも偏見を持っていない方もいらっしゃると思いますが、学校単位での教育となると、教育委員会との絡みも出てくるから時間はかかるでしょうが、小さい頃から偏見をなくすような取り組みがあればいいですね。

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ポールさん、メイジさん

当事者の人たちが心を強く持ち、自分らしさを表現することでしょう。恐れることはありません。

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ヨシマンさん(写真右)

よくある答えかもしれませんが、メディアでいっぱい取り上げてもらうと、知らない人たちにも正しい知識が伝わると思います。

東京やその近郊であれば人も多いですから情報や知識も広がるのですが、地方にもっと目を向けていかないといけません。地方で苦しんでいる人はたくさんいます。地方だと当事者の仲間やアライが周囲に少ないですし、一人で悩んでいる人もいっぱいいますし、「自分がおかしいんじゃないか」と、自分の中に偏見を持っている人もいるんです。「俺、ホモだからや嫌だなあ」って。でも、恥ずかしいことではない、仲間はいっぱいいるんだということを知ってもらうのも大切です。

極端な話ですが、理解していただかなてもいいので、知識だけ持ってもらえればいいのかなと。僕も男女の恋愛には興味が無いというか、どういうものなのか全くわからないんです。異性愛の人から見たら男同士の恋愛なんて分からないでしょうが、知識だけ持っていればいいんです。「頭がおかしい」「病気だ」「変態」というものではなくて、生まれつき同性の人が好きだ、という人もいるんだという知識さえ持っていてもらえればと思います。

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ユカさん(写真左)

この間の調査で、セクシュアル・マイノリティは全体の7.6%という発表がありましたが、パレードで歩いてみると、もっといるんじゃないかって(笑)。沿道の方もたくさん手を振ってくれたので、マイノリティじゃないのかなって。

チナさん(写真右)

ちょっと心強くなりましたね。こういう活動の場が増えてみんなが知ってもらえたらいいですね。

ユカさん

そういう意味では、当事者一人ひとりがもっと周りに話したほうがいいのかな。LGBTって「いないもの」とされているので、もっと可視化していかないといけない。

チナさん

個人個人でできることには限界があるので、幼稚園とか小学校の頃から授業の中に性の多様性を取り入れていくとか、保護者や教育者の方たちにも研修を取り入れるとか、国レベルで行えるようにならないと変わっていかないのかな、と思っています。

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サキさん(写真左)、エリコさん(同右)

私たちはストレートですが、こういうイベントの数が増えてストレートの人たちも参加できたり、セクシュアル・マイノリティの人たちの露出が増えたりして、特別なことでなくなるのが一番じゃないかなと思います。

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ケイスケさん(写真右から2番目)

当事者はカムアウトしたらいいと思います。周囲の人も意外と気にしないと思うんですよ。自分が一番気にしているんじゃないかな。言っちゃえって言いたいですね。

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クマさん(写真右)

今年のイベントは人が増えただけじゃなくて、芸能人の方や企業の参加も増えたので、規模が拡大しているな、と思います。

理解者が増えていると思いますし、当事者やアライじゃない方も「面白そうだな」って来てみたらLGBTってこういう人たちなんだな、と分かってくれているんじゃないかなと思います。そういう意味では理解してもらう機会が増えてきているということじゃないかな。

タクトさん(同左)

自分たちは同性が好きだけど、逆に言えば、異性愛者の方たちはなんで異性が好きになったのか、って一度考えてみてほしいですね。それが当たり前だということであれば、僕たち同性愛者も同性を好きでいることは当たり前の感覚なんです。

クマさん

まずは自分たちを全部知ってもらわないと理解は得られないと思いますが、最近はソーシャルメディアなどで、個人が情報を発信できるようになった、そして他人の情報も知ることができるようになったから、とてもオープンになってきたと思うんですよ。それでも、世間一般の方たちの目にとまる情報といえば、夜の仕事とかが目立ってしまうので毛嫌いされることも強く感じています。なので、好きとか嫌いとかという感情を越えて、セクシュアル・マイノリティの人たちはそういう人たちなんだという前提で、その人の人間性そのものに触れようという視点でいてもらいたいですね。

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(写真右の男性)セクシュアル・マイノリティの人たちも普通の人と変わらない生活をしている、変わらない仕事をしているんだって知ることでしょうか。そして、男の人が女の人を好きになることと同じように、男の人が男の人を好きになることは恋愛の形としては全く同じだっていうことなんだと思います。

(同右の女性)学校の先生もパレードに参加してましたよね。小さい頃から、セクシュアル・マイノリティは普通の人たちと変わらないんだという教育を受けていたら差別とか偏見もなかったのかな……と思うので、そういう先生がいると思います。

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マリコさん(写真右)

私たち当事者は理解してもらおうとはあまり思っていなくて、あくまでも普通に、一般の人と同じように接してもらいたいので、むしろ特別視してもらいたくないんですね。だから理解してもらうために何かしてほしいということではないんです。でも、友達に一人は絶対いると思うんです。その人が打ち明けた時に拒絶感を持たずに接してほしい。一人ひとりの当事者と優しく接してもらいたい。

アズサさん(同左)

私はブライダルの映像の仕事をしていて、同性婚の映像も撮影していくつかネット上にアップしているんですが、Facebook上などでアンチ的なコメントが来るだろうなと覚悟していたら、全くなかったんです。YouTubeでも9万回くらい再生されています。個人的には同性婚の様子を目にして、「こういうのもあるんだな」ってふつうのこととして見てくれるようになってもらえればと?