TSUTAYA図書館に「NO!」 愛知県小牧市の住民投票で反対多数

レンタル大手「TSUTAYA」と連携した市立図書館建設計画、住民の声は「NO!」だった。
小牧市

レンタル大手「TSUTAYA」と連携した市立図書館建設計画、住民の声は「NO!」だった。10月4日に愛知県小牧市で投開票された住民投票の結果、反対多数を占めた。住民投票条例で市長、市議会は投票結果を尊重すると定めており、同市の

「TSUTAYA図書館」は計画の見直しを迫られることになった。

小牧市は図書館の老朽化を受けて、既存の商業施設内に新規開設するとしていたが、2014年になって計画を変更。「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の助言を受けて、名鉄小牧駅近くに建設するとの新計画を発表した。「TSUTAYA図書館」として話題を呼んだ佐賀県武雄市の図書館と同様に、書店やカフェを併設するもので、建設費は42億円。2018年の開館を目指していた

しかし、市民の間に「図書館の質を落としかねない」などと反対論が広がり、署名を集めた市民団体「小牧の図書館を考える会」が8月、住民投票実施条例の制定を山下史守朗(やました・しずお)市長に直接請求した。市長提出の条例案は市議会で否決されたが、これとは別に議員提出の条例が可決され成立した。条例は市長や市議会が投票結果を尊重するよう規定している

新小牧市立図書館のイメージ図(市が公表した基本設計案より)

■「市民の意見を聴いていなかった結果だ」

毎日新聞によると、開票結果を受けて記者会見した「考える会」の渡辺育代共同代表は「市民の意見を聴いていなかった結果だ。運営を民間に丸投げする問題や、コストも市民感覚に合わなかった。今後、市長や議員が市民の声を聴くのか見ていく」と話した。

山下史守朗市長は「結果については真摯に受け止めたい。その上で、現計画が具体的にどう問題だったのか市民も交えて検証し、必要に応じて見直したい」と述べたという。

■TSUTAYA図書館で相次いで発覚した「選書問題」

「TSUTAYA図書館」は、CCCが指定管理者となる公立図書館の通称。2013年4月にリニューアルした「武雄市図書館・歴史資料館」を皮切りに、2015年4月からは神奈川県の海老名市立中央図書館も、CCCが指定管理者になった。宮城県の多賀城市立図書館でも、2016年3月のJR多賀城駅前の移転を機にCCCが管理を担うようになる。

トップバッターの武雄市図書館では初年度、市内外から92万人が来館。同市では経済効果が20億円あったという試算を発表、全国的に注目を集めた。しかし、リニューアル時にCCCが購入した図書1万冊に古い実用書などが多数含まれている問題が発覚した。「公認会計士第2次試験 2001」や「海外金融商品全ガイド 2001」、「ラーメンマップ埼玉 2」、「浦和REDSの真実 2002」など10年以上前に出版された実用書や、武雄市から遠く離れた埼玉県関連の本なども数多く含まれていたのだ

海老名市立中央図書館も10月1日にリニューアルしたが、新たに蔵書になる予定の1万冊の選書リストに古い雑誌や、選定基準の対象外と思われる書籍が含まれていたため批判が集中。選書をやり直すことになっていた

海老名市立中央図書館

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