「武雄市図書館の時はド素人でした」 海老名市でオープンした2館目のTSUTAYA図書館は何が違う?

レンタルチェーンTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となった図書館が神奈川県海老名市で10月1日、オープンする。2013年4月にオープンした佐賀県の武雄市図書館に次いで2館目となったのは、海老名市立中央図書館。選書問題など批判を集めている「TSUTAYA図書館」だが、海老名市と武雄市ではどう違うのだろうか?

レンタルチェーンTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となった図書館が神奈川県海老名市で10月1日、オープンする。2013年4月にオープンした佐賀県の武雄市図書館に次いで2館目となったのは、海老名市立中央図書館。選書問題など批判を集めている「TSUTAYA図書館」だが、海老名市と武雄市ではどう違うのだろうか?

■海老名市立中央図書館の購入予定リストには蔦屋書店のノウハウ

まず、TSUTAYA図書館の選書問題は武雄市図書館から発覚した。リニューアル時にCCCが購入した図書1万冊に、古い実用書などが多数含まれていたため、批判が集中。CCCは9月10日、「より精度の高い選書を行うべき点があった事を反省しております」と異例のコメントを発表した。

さらに、CCCの選書問題は開館直前だった海老名市立中央図書館でも持ち上がった。9月に開かれた海老名市議会では、購入予定だった8300冊の選書リストが明らかになり、その中には図書館の蔵書として疑問視される書籍が含まれていたため、批判を集めた。これに対し、海老名市教育委員会の伊藤文康教育長が9月18日、「一時凍結して、選書をやり直す」と答弁、市民に疑念を持たれたことについて謝罪していた。

海老名市立中央図書館の開館に先立ち、9月30日に行われた会見で、CCCの高橋聡館長は、武雄市図書館の選書問題について、こう振り返った。

「行政手続としては問題ないと、当時から武雄市に言われていますが、武雄市図書館の時、僕たちはド素人でした。一館もやってない状態で、時間がなく、かつ予算もないという特殊な状況の中、2年半運営した経験を積んだ自分たちからすれば、もっと良いことができたのではないかと反省しています」

一方で、高橋館長は、「とはいえ、武雄市図書館では13人の司書メンバーとともに2年半、しっかり手順を踏みつつやってきました。利用者アンケートの満足度では、初年度は80%でしたが、今年度は85%ということで、ある一定の評価は頂いているかなと思います。ただ、100%に満たないことは反省して、15%の不満を解決できるよう、まだ指定管理期間が半分残っていますので、邁進していきます」と話す。

今回、議会で問題視された海老名市立中央図書館の購入予定リスト8300冊だが、CCCが基礎的なデータを作成。共同事業体で、図書館の指定管理者最大手の図書館流通センター(TRC)のチェックを経て、海老名市が確認するという見直しが行われた。高橋館長によると、「注文ステージで7161冊、9月30日現在はその中から、図書館に入荷できる状態が6997冊です。9月25日から入荷してきて、一冊、一冊、教育長に見ていただいて、確認の作業をしてきた」という。

購入予定リストは誰が作成を担当したのかについて、高橋館長は「ノウハウに関わるので」と明言を避けたが、「(CCCは)書籍の販売、流通量として日本一なので、その販売データを使うことが僕たちの強みです。図書館とは別の書籍の販売をやっているチームのノウハウをもらってやらないと、自分達の存在意義がなくなるので」と話した。

TRCの谷一文子会長とCCCの高橋聡図書カンパニー長。それぞれ、海老市立図書館の統括館長と中央館長を務める。

■海老名市立中央図書館の運営はどうなる?

海老名市立図書館は、リニューアルオープンした中央図書館と分館の有馬図書館で構成される。中央館はCCC、有馬図書館はTRCが分業する体制となっている。では、中央館の体制はどのようになっているのだろうか。高橋館長はこう説明する。

「司書数は以前の12人を18人に増やしています。それ以外に、司書資格のない図書館スタッフが15人、搬送業務の担当者3人の体制です。僕は問題意識として、司書の給与体系が非常に低いということがあり、我々が担う図書館に関して言えば、スキルのあるスタッフは正社員登用したいと思っています。4階のキッズライブラリーには、武雄市図書館から抜擢した司書がいます。当初は武雄市図書館の有期雇用でしたが、今回から正社員に登用しました。4階のリーダーをやってもらっています。僕らのスタンスが、司書の現状を考えさせられるきっかけになればと思っています」

中央館のオープンは、CCCだけではなく、当面はTRCのスタッフもサポートにまわるという。高橋館長とともに会見に臨んだ、中央図書館と有馬図書館の統括館長を務めるTRCの谷一文子会長は、「中央図書館はCCCの皆さんで運営しますが、ただ、まだまだ業務に慣れていないことがありますので、郷土資料やレファレンスについてお手伝いをさせて頂きたいと思っています」と語った。

また、中央図書館では、蔦屋書店が約600タイトルの雑誌を中心に書籍販売を行うことになっている。その一方で、以前は148タイトルあった図書館の雑誌は51タイトルに減っている。しかし、雑誌についてバックナンバーが閲覧できるというのが、図書館の強みでもある。そのため、TRCが担当する有馬図書館では、購読する雑誌のタイトルを増やして対応。2013年には67誌だったが、中央館の改修工事にともなって104誌に増加、現在も休刊などで2、3誌が減ったものの、継続して購入している。

「多くの本、多くの人、事に出会える、多くの価値観にである場を目指したい。さまざまな価値観を誰にでもいつでも提供できる図書館にしたい」と高橋館長。宮城県多賀城市や岡山県高梁市、山口県周南市、10月4日に新図書館計画の賛否が問われる住民投票が実施される愛知県小牧市など、「TSUTAYA図書館」は全国に広がりつつある。武雄市図書館を踏まえ、新たにオープンした「TSUTAYA図書館」である海老名市立中央図書館。その運営は今後、全国の自治体の図書館計画に影響を与えることは間違いない。

【UPDATE】(2015/10/06/19:00)

海老名市立有馬図書館の雑誌タイトル数の詳細を更新しました。

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