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スヌーピーは○○と呼んでほしかった? 作者の妻ジーンさんが教えてくれた「ピーナッツ」15の秘密

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1950年にアメリカで誕生した「ピーナッツ」は、世界中の人を魅了し、日本でもたくさんのファンに長く愛され続けている。そんなスヌーピーファンの聖地である「チャールズ M. シュルツ美術館」(アメリカ・カリフォルニア州)の世界初のサテライトとして、「スヌーピーミュージアム」が東京・六本木にオープンした。

今回、開館にあたって来日したジーンさんに、シュルツさんとピーナッツにまつわる色々なお話を伺いながら、ピーナッツに関する15の謎を解き明かしていこう。


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1. シュルツさんとチャーリー・ブラウンはかなり似ている

シュルツさんの父親は理容師、母親は専業主婦で、チャーリー・ブラウンの両親と同じ。通っていたミネソタ州・セントポールにある高校のクラスの中でも一番小柄で、チャーリー・ブラウン同様とてもシャイだった。「チャーリー・ブラウンとスパーキー(ジーンさんは夫のことをスパーキーと呼んでいる)の共通点? それは全部(笑)。いつも不安を感じているところや、印象の薄いところ、かわいい女の子を見ても、最初から諦めてしまうところ、野球は大好きだけれど上手くないところとかね。スパーキーなんて、14歳のときに40−0で試合に負けたこともあったわ。でもね、チャーリー・ブラウンだけではないの。他のキャラクターたちもみんなスパーキーらしさが入っているのよ。彼の一部だからこそ、それぞれのキャラクターに言葉や気持ちを与えることができるのね」(ジーンさん)

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2. チャーリー・ブラウンは8歳

公式サイトには紹介されていないが、チャーリー・ブラウンをはじめ、仲間たちは何歳なのか?「8歳ぐらいの子どもたちね。8歳になると、親の付き添いなしに、友達の家に遊びに行ったり、友達だけで遊んだりできるようになって、自分の世界を作り始める年頃でしょう。ライナスやリランはルーシーの弟、サリーはチャーリー・ブラウンの妹だから、8歳より少し下かしらね。」(ジーンさん)

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左から、リラン、ルーシー、ライナス、チャーリー・ブラウン、サリー

3. シュルツさんが妻のジーンさんに贈ったプレゼントがある。しかし、まだ開封されていない

2000年のバレンタインデー用にジーンさんはプレゼントを受け取っていたが、シュルツさんはその2日前の12日に亡くなった。それから10年以上経つのに、まだプレゼントを開けていない理由をジーンさんに聞いてみると、ニッコリ微笑みながら、「スパーキーは、ジュエリーをよくプレゼントしてくれたけれど、おそらくこのプレゼントは本だと思うの。ひょっとしたら、いつか開ける気になるかもしれないわね。でもまだ開けていないだけ。ただそれだけのことよ」(ジーンさん)

「スヌーピーミュージアム」のオープン記念展では、その未開封のプレゼントも展示されている。

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4. 「スヌーピー」は最初「スニッフィー」になるはずだった

シュルツさんは、メインの犬のキャラクターを「スニッフィー」と呼ぶつもりだった。しかし、彼の母親が「もし3番目の犬を飼うことができたら『スヌーピー』と呼びましょう!」と家族に話していたのを思い出し「スヌーピー」と命名した。元は“Snuppa”で、ノルウェー語の愛しい人を呼ぶ愛称(英語の「honey」や「baby」にあたる)を表す言葉から来ている。


5. スヌーピーには兄弟がいる

実はスヌーピーは8兄弟。そのうち、帽子とヒゲがトレードマークの「スパイク」、みにくい犬コンテストで優勝したぽっちゃりボディの「オラフ」、スニーカーを履いたブチ柄の「マーブルス」、お目目パッチリ美人の「ベル」、方向音痴の「アンディ」の5匹がコミックに出てくる。テレビアニメでは「ローバー」と「モーリー」という兄弟も登場している。

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左から、スパイク、アンディ、オラフ、マーブルズ、ベル

6. ウッドストックはなんの鳥でもない

いつもスヌーピーと一緒にいる黄色い小鳥、ウッドストックは、ピーナッツの公式サイトにも「小さな渡り鳥」としか書かれていない。果たしてその正体は?「元々ピーナッツでは背景に鳥が飛んでいるシーンがよくあったのだけれど、あるとき、ただの鳥からウッドストックが生まれたの。速記をしてスヌーピーを助けたり一緒に遊んだりするようになって友達になったのね」(ジーンさん)。具体的な鳥のモデルはないとのこと。「チャーリー・ブラウンにスヌーピーがいるように、スヌーピーにはウッドストックが、ペパーミント パティにはマーシーがいる。みんなパートナーとして繋がっているのよ」

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ウッドストックとビーグル・スカウト

7. 「ピーナッツ」のキャラクターの名前は、シュルツさんの友達、親戚、ガールフレンドからとられている

「ライナス」と「シャーミー」は友達から、「ペパーミント パティ」は、母方の従兄弟の一人、パトリシアからインスピレーションを受けて、シュルツさんが初めて家でペパーミントキャンディーを見た時にフルネームを思いついた。
赤毛の子(チャーリー・ブラウンの憧れの人)は、シュルツさん自身が実生活で出会った経理として働いていた女性がモデルで、実は彼女に振られた過去もあるそうだ。

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左から、シャーミー、スヌーピー、ペパーミント パティ

8. 「ライナスの毛布」は心理学用語になっている

チャーリー・ブラウンの仲間で、いつも毛布を持っているのがライナス。心理学用語では「ライナスの毛布」(安心毛布、ブランケット症候群)という言葉として認知され、持っていると安心するもの、愛着のあるもののことを指す。ひとつのキャラクターの個性が心理用語として定着していることについて尋ねてみると、「スパーキーはいつも、僕が作る言葉が辞書にも使われているんだよ、それはライナスの毛布だけじゃなくてね。と自慢げに言ってました」(ジーンさん)。ほかにも、「ピーナッツ」では、ユーモラスな、時には深いメッセージが込められた名言も数多く生まれている。


9. スヌーピーはミッキーマウスと交流があった?

スヌーピーの兄弟、スパイクがミッキーマウスから靴をもらったというエピソードや、同じく兄弟のマーブルスは、スニーカーを履いていることを突っこまれると「あの大きいネズミは手袋もしている」と反論するなど、「ピーナッツ」では、ミッキーマウスのエピソードが時折出てくる。もしかしてディズニーと交流があったの?ジーンさんに聞くと「実はスパーキーは、18、19歳のとき、ディズニーのスタジオで仕事をしたい、という手紙を送ったんだけれど、いいお返事はいただけなかったの。これはあまり世の中には出てないエピソードかもしれないわね」。ではその後、交流ができたのか?「たまたま出てきたアイディアのひとつね。毎日締め切りがある中で、そのとき目にしたものや聞いた話題、頭の中に浮かんできたことを描くので、そこでたまたまミッキーマウスが出てきたのが登場しているの。ピンクパンサーもそうよ」

10. シュルツさんは「ピーナッツ」とつけていなかった。しかも「ピーナッツ」という名前を嫌っていた

1950年頃、シュルツさんの漫画家としての道が開きかけてきた矢先、当時連載していた「Li’l Folks」が、ユナイテッド・フィーチャー・シンジケート社(UFS)という漫画の配信会社に認められ、新たに4コマ漫画として生まれ変わることになった。しかし、似たようなタイトルが当時すでに存在していたため、混乱を避けるために「ピーナッツ」に変えられた。シュルツさんの1987年のインタビューでは、「ピーナッツという言葉には、空っぽとかつまらないというイメージがあるのが気になる。僕はこの作品に込められたユーモアには誇りを持っているのに」。と、こぼしている。

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11. シュルツさんは熱烈なホッケーファン

ミネソタ州で子ども時代を過ごしたシュルツさんは、大のアイスホッケー好きで、カリフォルニア州サンタローザにある「チャールズ M. シュルツ美術館」の通りをはさんだ向かいにはアイスアリーナがある。コミックの中でも、スヌーピーはもちろん、ウッドストックもスティックを持ってリンクで活躍する姿が多数登場している。


12. チャールズ M.シュルツ美術館ができて以降、カリフォルニア州のサンタローザは「ピーナッツタウン」という名称になった?

ジーンさんに聞いてみると「以前、サンタローザで、夏の間だけスヌーピーなどのオブジェが展示されたことがあり、それを見て誰かがピーナッツタウン、と呼んだのではないかしら? 1950〜60年頃のスパーキーは、サンタローザの街ではちょっと知られている人、というぐらいだったの。メディアに取り上げられるような有名人、という感じではまったくなかったのよ」
 
ということで、正式に「ピーナッツタウン」という名称にはなっておらず、スヌーピーの“ホームタウン”として一部で呼ばれている、というのが正解。


13. 「ピーナッツ」は75カ国、21言語で出版されている

日本ではキャラクターとしてのイメージが強いけれど、「ピーナッツ」は、1950年にアメリカの7誌で連載がスタートしたコミック。現在でも75カ国、21の言語、2200誌で掲載されており、2015年に65周年を迎えた。今でも「ピーナッツ」はポップカルチャーのアイコンとして、現代文化に多くの接点を持っている。

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14. 「ピーナッツ」は1人の人間が書いた最長の物語のひとつである

シラキュース大学のロバート・トンプソン教授によると、「ピーナッツ」は一人の人間によって描かれた世界最長の物語だと言われている。シュルツさんは、1950〜2000年までの50年間で1万7897回にわたって連載しており、その後も「ピーナッツ」は再掲載・再出版されながらたくさんの人に楽しまれている。


15. 日本にも熱烈な「ピーナッツ」ファンの有名人はたくさんいる

オープン記念展「愛しのピーナッツ」では、日米の著名人12人が、お気に入りのピーナッツについて、映像や秘蔵のアイテムを披露している。ピーナッツ日本語版の翻訳者としても知られる谷川俊太郎氏や作家の吉本ばななさん、女優の前田敦子さんらの”スヌーピー愛”も展示されている。半年ごとに展示内容はすべて入れ替わるので、観に行くなら9月中までに!

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「実は昔の作品の多くは手元に残ってないの。どうしてだと思う?」と笑顔で尋ねるジーンさん。1950〜70年当時は、”原稿を保存しておく”という概念がなく、印刷所でそのまま捨てられたり、どこかにいってしまったりというのもよくあることだったという。たとえ原画が戻ってきても、「あの作品に感動した」と書かれたファンレターを見ると、シュルツさんはその原画をファンに贈ってあげることもあって、ほとんどが残っていないそう。「でもね、いまではそれがありがたいなと思っているの。なんらかの理由で作品を手に入れた人たちが大切にとっておいてくれたおかげで、今も昔の作品を観ることができるのよ。なかにはその所有者の方が亡くなられたからと、美術館に寄贈してくれる場合もあるの」

と、うれしそうに話すジーンさん。チャールズさんの人柄や温かさからも、「ピーナッツ」の世界観が伝わってくるようだ。愛とユーモアに溢れた「ピーナッツ」はこれからもずっと世界中の子どもたちに受け継がれて、永遠の人気者であり続けるに違いない。

●スヌーピーミュージアム

4/23(土)に、東京・六本木にオープン。企画展は半年ごとに入れ替わり、季節ごとのイベントやワークショップも開催するほか、西海岸テイストのフードやデザートが味わえる「Cafe Blanket」やミュージアムショップ「BROWN’S STORE」も併設。2018年9月までの約2年半、世界初の「チャールズ M.シュルツ美術館」のオフィシャルサテライトとして期間限定で開館する。チケットの入手方法など詳しくは公式サイト、(HP)www.snoopymuseum.tokyo/をチェック。

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