天安門事件の元学生リーダー「トランプ氏がアメリカ大統領になることは想像もしたくない」

天安門事件の元学生リーダーは、今の世界について何を思うのか。
Kei Yoshikawa

中国・北京で1989年6月4日に、民主化を求める学生たちが武力鎮圧された天安門事件が発生してから27年を迎えた。事件当時、学生のリーダーだった王丹氏が6月3日、日本外国特派員協会で会見した。王氏は会見の中で、中国の人権状況やアメリカ大統領選などについて話した。

■「トランプ氏の考え、思想は明らかに間違っている」

アメリカ大統領選で共和党候補指名が確定したドナルド・トランプ氏が3月に「(天安門事件は)暴動だ」と発言した際、王氏はトランプ氏のことを「中国共産党員になる資格が備わっている」と皮肉を交えて批判している

この日の会見でハフポスト日本版は、トランプ氏についての所感を王氏に質問した。

王氏は「アメリカ市民ではないから、トランプ氏について一般論を述べる義務はない」と前置きした上で、「彼の考え、あるいは思想は明らかに間違っている。とはいえ、彼がどんな人物になっていくかはわからない」と話した。王氏は続けて、「トランプ氏がアメリカ大統領になることは想像もしたくない。だからといって代わりに誰がアメリカ大統領になるかは、かなり頭を悩ます話になるだろう」と語った。

■「第2の文化大革命が起こりうる」中国の指導部を批判

現在の中国について、王氏は「(習近平氏ら現在の指導部のせいで)中国の人権状況は著しく後退した」と非難。「1989年に中国で起きたことと、今の中国で起きていることは繋がっている」と語った。その上で「習近平氏は、(前国家主席の)胡錦濤氏とは違う。胡錦濤氏は社会にある程度の余裕を残していたが、習近平氏は社会を壊している。第2の文化大革命が起こりうる」と中国の現指導部を批判した。また「今後、さらに中国経済の減速が進めば、政府に対する不平不満が高まる」と述べ、経済状況の推移次第で中国国内で社会不安が起こる可能性があると指摘した。

天安門広場で演説する王丹氏、1989年5月27日

現在、台湾の大学で教鞭をとっている王氏は、5月に就任した台湾の蔡英文総統についても言及した。「台湾で得られる中国本土に関する情報は、政府に関するものが多い。その一方で、中国の市民社会では、政府とは異なる動きが起きている」と指摘した上で、「台湾はこうした中国の市民の動きと連携し、外交政策に反映させるべきだ」と提言した。

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