「猫の日」に考えたい、保護猫のこと。"りんご猫"の小さな命を大切にしよう

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今日、2月22日は「猫の日」。

猫を飼っている人や猫好きの人にとって特別な一日だ。そんなあなたは、全力で猫助けに取り組んでいる自走型保護猫カフェ「ネコリパブリック」(猫共和国、通称ネコリパ)があるのをご存知だろうか。

「ネコリパブリック」1号店は2014年2月、ネコリパブリック首相の河瀬麻花さんが岐阜市でスタート。2014年10月にはマンションの一室に取り残されていた57匹の猫たちを救うために、そのマンションを改装してネコリパ大阪をオープン。2年後の2016年には、ビル1棟の「大阪ネコビル」を完成させた。運営資金を募るクラウドファンディングでは1800万円もの支援金を集めたという。

現在は、東京や愛知など全国で7店舗を展開している。保護猫活動とは何か。多くの猫好きの支持を集める理由は? 「猫だけを幸せにしたいのではない。小さな命を大切にする社会をつくることで人も幸せにしたい」と語る河瀬さんに、 “りんご猫”のための「ネコリパブリック東京 中野店」で話を聞いた。

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▪自走型保護猫カフェが目指すもの

——あらためて、ネコリパブリックについて教えてください。

ネコリパブリックとは、「自走型保護猫カフェ」です。保護猫カフェは、新しい飼い主が見つからないまま殺処分されてしまうことが多い猫たちを保護し、新しい家族を探しながら運営している猫カフェのこと。自走型というのは、寄付だけに頼るのではなくサービスをお客様に提供する対価、つまり利益で保護猫カフェの運営をまかなっているシステムという意味です。

私たちの目標は、2022年2月22日までに日本の行政による殺処分ゼロを目指すこと(※)。その先は、すべての猫たちに毎日お腹いっぱいになる幸せと安心して眠れる場所を与えるのが最終目標です。すべての世界中の猫に、というのが最終目標ですね。

(※)環境省によると、年々減少しているが2015年度の猫の殺処分数は6万7091匹に上る。

——ネコリパブリックは、猫の共和国なんですか?

そう、ネコリパブリックという仮想の国です。基本的に猫のほうが偉くて、人間が猫に仕える国なんです。憲法もあります。私が首相なんですけど(笑)、大統領は猫なんですよ。大統領は総選挙で決まります。

入国するときに発行するパスポートがあって、「国民になります」という人だけが入国できます。ネコリパに来てくれることで、保護猫たちの飼育管理費になって、ここから譲渡先が決まっていきます。譲渡すれば、また新しい保護猫を迎えられる。仮想の国でありながら、楽しみながら猫助けができるんです。

里親になれなくても、ここに来て楽しんでもらってお金を落としてもらうことで保護猫の医療費などになっていく。新しい猫助けのかたちを作っていきたいなと思っています。「保護猫活動と新しいビジネスのかたちを並走させることができるんじゃないか」という仮定のもと、暴走中です。

——河瀬さんは、昔から猫好きだったのでしょうか。

もともとパン屋の娘で、実家のお店を手伝ってネット通販をしたり出店したりするビジネスをしていたんですけど、生まれつきの猫好きで。小さい頃から猫に囲まれて生きてきて、家には常に猫がいましたね。

昔は商売しているところは招き猫があって、ネズミ除けに猫を飼うことが多かったんですよ。代々ずーっと猫がいるお家で育って、猫を拾ってくる癖がありました。居場所がなさそうな子と目が合ったら「家に来る?」って。だいたい「来る」っていうから(笑)、連れて帰る。親がそういうことを怒らない人だったので、拾っては育てたり里親を探したり……ということを子供の頃からしてました。

▪世界初? “りんご猫”の保護猫カフェとは

——ここネコリパ東京中野店は“りんご猫”のいるお店ですが、りんご猫とは?

ここにいるのは、全員猫エイズウィルスキャリアの子たちです。見てわかるように全然普通の子たちと変わらないけど、猫エイズの陽性反応があるだけで、書面上やインターネット上では全然譲渡が決まらないんです。

エイズと聞くとなんとなく怖い病気というイメージがあって、敬遠されちゃうんですね。猫にもいろいろ病気があって、猫白血病はどうしても短命なのでなかなか譲渡に向かないんですけど、猫エイズウィルスの場合は、発症までの期間が長いので寿命を全うする子もいます。

ストレスなく生活をしていたら寿命を全うすることも多いんですね。なので、猫エイズウィルスキャリアだからと敬遠される現状を変えようと思って、ネコリパでは“りんご猫”という愛称を作ったんです。

——なぜ、“りんご猫”なんですか?

エイズって病名がついてるけど、人間にはうつらない。でも名前がついてると「うつるかも」と思っちゃう。それを払拭したくてネーミングを考えているときに、人間のエイズ撲滅運動、レッドリボン運動になぞらえて、赤色を彷彿とさせて、かつ猫とつなげたときに可愛くて、さらに今後、猫エイズのための基金が集まりやすい何かにしようということで、「りんごじゃない?」と。りんごと猫って合うよね、ってことで「りんご猫」と名付けました。12月1日が世界エイズデーだから、それに合わせて、猫のエイズの日も作ろうと、12月12日を「世界りんご猫デー」に制定しました。

——りんご猫専門のお店をつくろうとした経緯は?

猫エイズは、血を出すような喧嘩などで猫同士でうつります。ネコリパでは譲渡をすれば新しい猫たちがやってきます。多くの猫の出入りがありますから、喧嘩しないように部屋を分けているんですけど、部屋を分けると(お客さんに)余計に警戒されるんですよ。

「ここは猫エイズの子の部屋です」「え、エイズ!?」って。りんご猫を隔離していると、「分けているのは何かしら理由があるんじゃないか」と思われてしまって、それは本意ではなかったんです。

普通の子も鼻水出してたりするんですけど、りんご猫の子が鼻水を出してると「ちょっと弱いよね」と思われたりするんですよ。だったら、りんご猫専門にしたほうが、差別や偏見はなくなるんじゃないかなと思ったんです。

——りんご猫の保護猫カフェは日本初?

りんご猫専門というのは初めてだと思います。世界にもないと思いますね。譲渡対象の子がいるお店はないと思います。


壁に広がる猫アート


様々な猫グッズも販売している

——2016年6月にスタートして、譲渡先は決まりましたか?

3匹決まってます。ゆっくりではありますが、最近では里親希望の方のご来店も増えています。

▪猫を飼う前に考えてほしいこと

——これまでにネコリパで卒業した猫の数は? 譲渡先は、どうやって決めているのでしょうか?

だいたい2年ちょっとで、300超えてます。

まず里親アンケートは、A3(の用紙)2枚で、みっちり答えてもらった後に面談をします。アンケートをもとに、本当にこの人が猫を最後まで飼えるかどうか、その覚悟があるかどうかを、僭越ながら面接させていただきます。

夫婦の場合、「離婚したらどうしますか?」とか、「生まれてくる子供が猫アレルギーだったらどうしますか?」とか。「引越しするときに、どうしても猫を飼える物件がなかったらどうしますか?」とか、そういう質問に答えてもらうんです。

——難しい質問ですね。

その質問は、結局、猫が捨てられている理由なんですね。飼うときは、全然想像すらしてないんですよ。悪気があって飼うわけじゃないんですけど、その立場になったときに捨てるという選択をしてしまう。だから、まずアンケートに答えてもらって質問を目にしたときに考えてもらう。家族に迎える覚悟をしてもらううえで、考えてもらうことが目的です。

面談を通して、本当に最後まで面倒を見られるのかを見させてもらいます。たまに断ることもあります。あとは合わない猫を希望されることもあるので、お断りすることもあります。例えば、甘えん坊なのに、一人暮らしのほとんど家にいない人のところに行ってもお互い不幸じゃないですか。そういう人には、あんまり人慣れしてないけど2匹で仲良く暮らしている子たちをオススメしたりとか。マッチングをしっかりして譲渡させていただいています。

最終的には、お届けもしてお家もチェックさせていただきます。汚部屋の場合は却下です。ちょっと汚いくらいならいいんですけど、ゴミ屋敷とかの場合もたまにあります。あとは猫が逃げてしまうリスクもあるので、脱走防止のための工夫をしていただいてからお届けします。

▪事業を形にする力、人を巻き込む力

——岐阜店がオープンしたのは2014年の2月、いま何店舗ですか?

いま7店舗です。スピードしかない。走りながらしか考えない。(資金は)常に心配してます。心配してますけど、なんとかなるんじゃないかなーと思って(笑)。スタッフはすごい危機感を持って頑張る。でもやっぱり常に新しいことをやっていかないと人は離れていってしまうので。

——大阪の心斎橋に5階建てビル一棟まるごと「大阪ネコビル」をオープンさせたときは、クラウドファンディングで、430人から1800万円もの支援金が集まりました。

いきなりやるんじゃなくて、過去にいろいろ積み重ねてやってきたからだと思います。これだけの規模の面白いプロジェクトだし、どこを切っても面白いと思ったので、「1000万円は絶対行く」と思ってました。でもストレッチゴールの1800万円は、ギリギリまで「届かないかも」と思ってたんです。でも、「絶対行く、絶対行く」とずっと言い続けて。最後の30分で、250万ずつくらいダンダンダン!って(金額が)上がって、サムイボが出ました。みなさんのお力添えがありました。

——ちなみに、ビルを見たのはいつ?

2016年1月。5月オープン。

これまでの家賃と比べると半端なく高いから、ちょっと無理かなと思ったんですが、新幹線のなかで物件を見ていたら、むくむくと事業計画が立ってきちゃって。「ちょっとお金を計算してみよう、実際に見てみよう」と思って、ビルを見たら「これやろうかな」って(笑)。そこからは、すごい勢いでやりました。

心斎橋のすごくいい場所だったんです。いつ埋まるかわかんないから、とりあえず手を上げておこうと。それが3月です。「4月から家賃がかかるよ」といわれたから4月にオープンさせたかったけど、さすがに間に合わなくて5月に(笑)。

——本当に、事業展開のスピードと周りの協力がすごいですが、何か秘訣はあるんでしょうか?

ちゃんとしてそうに見えるでしょ? 全然ちゃんとしてない(笑)。みんなヤバいって思うんでしょうね。

——声かけてきてくれた人が、巻き込まれていく感じですか?

ネコ市ネコ座というイベントをやってるんですけど、「京都でやる」と居酒屋で盛り上がって、その日にFacebookページを立ち上げましたね。神戸のときはフェリシモ猫部さんと一緒に実行委員会をつくって。みんなボランティアで、みんな疲れちゃう。でもみんな「すごい楽しかった」って言ってくれるんです。人には恵まれています。

ご縁みたいな感じでつながる人が多いですね。みんなやっぱり猫のために集まってきてくれる人。スタッフもボランティアさんもお客さんも、本当に頭が下がる思いです。

——保護猫活動を通じて、みんなが楽しめるように、この世界観やコンテンツを生み出す力は、河瀬さんならではですね。

なんでですかね。もともと妄想少女だったんですよ。昔の夢は、ムツゴロウ王国の猫バージョンを作ること。でも大人になるまで、その夢は忘れてたんですけど。

——その夢をいま、具現化している?

まだまだ途中ですけど(笑)。やっぱり多くの人を巻き込むほど、(保護猫活動が)メジャーになって、社会が変わるきっかけになる。多くの人を巻き込むためには、やっぱり楽しくないと。つらい悲しい助けて、だとみんな疲れちゃう。ひどい現実もあるけれど、問題意識だけでは解決しない。幸せになる、幸せになっていく瞬間にフォーカスしたほうが、人は共感してくれる。もっともっと人の根本を刺激したいと思っています。

NPOのようなかたちで非営利の譲渡もやりたいですし、猫のホスピスもやりたい。死ぬほどやりたいことがあって、大変です(笑)。

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▪ネコリパブリックの活動予定

・2月22日、雑誌「anan」のムック本
2月22日発売の『anan』特別編集「にゃんこ LIVE」に全面協力。ネコリパブリックの保護猫が表紙を飾り、里親募集の保護猫たちが特集されている。

・3〜4月、島忠ホームズ全店にて「ネコダスケステーション」展開
島忠ホームズに、ネコダスケステーションの商品棚の展開。ネスレピュリナ全面協力の元、ネコリパブリックの活動や買い物で猫助けができる仕組みを紹介する。期間中、モンプチのパッケージの猫顔の切り取りを設置されているボックスに入れると、ネコリパブリックの保護猫基金(保護猫カフェ運営費、保護猫文化啓蒙費)に支援金となる。

・4月8〜9日、島忠草加舎人店にて、猫も助かる猫祭り「ネコ市ネコ座」開催
保護猫応援プロジェクトの一環で、「島忠ホームズ草加舎人店」にて、猫も助かる猫祭り「ネコ市ネコ座withピュリナ ホゴネコ文化祭」開催。全国から集まる猫作家、ネコリパブリックのオリジナル猫グッズ、猫雑貨の販売。猫写真展、保護猫クイズ、猫との防災イベントなど、猫まみれのイベントを開催。イベントの収益は、保護猫カフェ運営費や保護猫基金に役立てられる。