【加計学園】菅官房長官が前川前文科次官を非難「地位にしがみついていた」 "総理のご意向"文書で

前文科次官の前川喜平氏は「行政がゆがめられた」と安倍政権を批判している。
時事通信社

学校法人「加計学園」が「国家戦略特区」での獣医学部の新設を認められた経緯をめぐり、内閣府が文部科学省に対し「総理のご意向だと聞いている」などと伝えたとする文書について、菅義偉官房長官は5月25日午前の会見で、文書の存在を改めて否定した。

この文書について、前文部科学事務次官の前川喜平氏は23日に朝日新聞の取材に対し、「自分が昨年秋に、担当の専門教育課から説明を受けた際、示された」と、存在を認める証言をしている

学校法人「加計学園」の愛媛県今治市での獣医学部新設に関する文書

菅氏は17日午後の記者会見で、文書の存在について「怪文書みたいな文書じゃないか。出どころも明確になっていない」と不快感を表明。記録文書の信頼性自体を否定していたが、25日午前の会見でも、菅氏は「内閣府と文科省に確認したところ、『総理のご意向』はなかったと報告を受けている」と従来の見解を繰り返した。

■菅官房長官「前川氏は地位に恋々としがみついていた」

菅氏は、前川氏が朝日新聞デジタル(5月25日)のインタビューに対し、文科省の違法な「天下り」問題を受けて「引責辞任は自分の考えで申し出た」「官邸からも大臣からも『辞めろ』とは言われていない」と述べたことに言及。「私の認識とまったく異なっている。前川氏は天下り問題については、再就職等監視委員会の調査に対して、問題を隠蔽した文科省の事務方の責任者で、かつ本人もOB再就職のあっせんに直接関与していた」と批判した。

その上で、「そうした状況にもかかわらず、当初は責任者として自ら辞める意向をまったく示さず、地位に恋々としがみついていた。その後、天下り問題に対する世論からの極めて厳しい批判にさらされて、最終的に辞任された方と承知している」と、前川氏を強い口調で非難した。

加計学園の獣医学部新設をめぐっては、前川氏は「行政がゆがめられた」と安倍政権を批判している

これについて、菅氏は「まったくそういう事実はない。国家戦略特区については、過去何年も手がつけられていなかった。既成の岩盤にドリルで風穴をあける制度だ。獣医学部の設置は、法に基づく手続きを経ており、『ゆがめられた』との指摘はあたらない」と主張した。

また、文科省の事務担当のトップだった前川氏の証言の重さについては「そういう(手続きの公平性に問題があったなどの)事実があったら、自身が責任者の時に堂々と言うべきではなかったか」と批判した。

午後の記者会見でも、報道陣からは「個人のPCを確認していないのに、なぜ文書が確認できないと言い切れるのか」など、文書に関する質問が相次いだ。菅氏は「文科省で調査をして確認できないことを、(松野博一・文科)大臣が申し上げている。そのことに尽きる」と、追加調査は実施しない方針を改めて示した。

■「加計学園の獣医学部新設計画」とは

加計学園」は1961年設立の学校法人で、学園理事長の加計孝太郎氏は安倍晋三首相の友人。

加計学園をめぐっては「国家戦略特区」の事業として、同学園が運営する「岡山理科大学」の獣医学部を、愛媛県今治市に設置することが1月に公募で認められた。2018年4月に予定通り開学すれば、52年ぶりに新設される獣医学部となる。

今治市は学校用地として16.8ヘクタールの土地(約36億円相当)を無償で譲渡。愛媛県と今治市が、合わせて上限96億円の建設費を補助する予定。文部科学省は、岡山理科大の獣医学部の設置を認可するか審査している。

民進党や共産党など野党は、加計学園が国家戦略特区で獣医学部の新設を異例の速さで認められた経緯を疑問視。「特別な便宜が図られたのではないか」と国会で追求している。

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