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生理休暇の取得1%割れ その理由は? 「体調不良なら休暇を自由に取れる環境を」の声も

2017年05月26日 00時52分 JST

生理休暇を取得した人の割合がわずか0.9%に下落していたことが厚生労働省の調査でわかった。

生理休暇とは、生理痛などで働くことが困難な従業員の女性が、使用者に請求して休暇を取得できる制度で、医師の診断書などは不要となっている。働く女性を保護するため、1947年に制定された労働基準法に盛り込まれた。

■1965年(昭和40年)には4人に1人が取得

厚生労働省の調査では、2014年4月~2015年3月末までの間に生理休暇を1日でも請求した人がいた女性従業員の割合は0.9%だった。

一方、1965年度(昭和40年)の調査では26.2%。ピーク時には4人に1人が取得していたことになる。

しかし、1985年には9.2%、2004年に1.6%となり、最新の調査ではついに1%割れ。生理休暇を請求する人が激減していることがわかる。

■有給とする企業の割合も低下

休暇中の賃金を有りにするか、無しにするかについて、法律の定めはなく、それぞれの企業が決めることになっている。

一定の規模以上の事業所に対して行われた同じ調査では、有給としている事業所(2015年度)は25.5%だった。2009年度には42.8%の事業所が有給としていたが、こちらの割合も下がっている。

■約半数の女性が生理痛を抱えている

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全国労働組合連合女性部の「妊娠・出産・育児に関する実態調査(2015年調査)」では、7522人の女性に対する調査で、17.8%の女性が月経時に鎮痛剤を「毎回服用する」、31.8%が「時々服用する」と回答した。

約半数の女性が生理痛を抱えていることがわかる。

しかし一方で、生理休暇を「取っていない」と回答した女性が86.4%だった。

■なぜ取得率がこれほど低くなったのか?

なぜ取得率がこれほど低くなったのか?その点について、厚生労働省の調査では触れられていない。

全労連の同じ調査では、生理休暇をとっていない人に、とれない理由(複数回答)についても聞いている。

最も多かったのは「人員の不足や仕事の多忙で職場の雰囲気としてとりにくい」だった。2番目は「苦痛ではないので必要ない」、3番目は「はずかしい、生理であることを知られたくない」が挙げられた。

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一方、減った理由として2006年6月9日付の朝日新聞では、別の観点から、生理用品の改良や、薬の普及などを理由の一つとしてあげている。

「生理休暇の誕生」(青弓社)の著書がある、成城大学民俗学研究所の田口亜紗さん(文化人類学)は、朝日新聞の記事に「生理用品が改良されて労働環境も良くなった影響でしょうが、女性の社会進出が当たり前のことになり、休暇をとることによって不利になるといった意識から、薬で痛みをコントロールしていることもあるのでは」とコメントしている。

また、1999年には、厚生労働省が生理痛の緩和効果もある低用量ピルを医薬品として承認し、日本での発売が開始された。

■生理休暇は日本独自のユニークな制度

田口亜紗さんは「女も男もー自立・平等ー2014年秋・冬号ワークヘルスバランス」(労働教育センター)の中で、生理休暇の誕生について、以下のように解説している。

日本で生理休暇が誕生したきっかけとなった運動が大きく盛り上がったのは、過酷な環境で働く女工たちに、流産や死産が多いことなどを指摘した「女工哀史」(1925年)の出版だった。

その出版を契機に、「母性保護」を獲得しようという労働運動が盛り上がり、戦前から、組合の要求に応じて独自に制定していた工場などもあった。

そして、工場の監督官補を務め、女工たちの過酷な労働環境を知っていた日本初の女性官僚、谷野せつやその他の活動家の要求で、敗戦からわずか2年後、生理休暇は法律に盛り込まれることになった。

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生糸の生産に従事する女子従業員(長野県岡谷市)

■生理休暇は「女性の特別扱い」とGHQは反対していた

しかし、GHQは男女平等原則の立場から、生理休暇は「女性の特別扱い」であるとして強く否定していたのだという。

実際に、生理痛に関するハフポストの記事に対して、記事中コメントやFacebok、Twitterなどでは、読者から「女性優遇として不和が生じる」あるいは、「体調不良の為仕事を全うできないんだから休暇を自由に取れる環境作りをすべきなんじゃないか」などの意見も寄せられている。

「職場の雰囲気としてとりにくい」という女性側の意見の中には、仕事量だけでなく、周囲の「優遇されているんじゃないの?」という目を気にする心理もあるのではないだろうか。

なぜ日本の生理休暇制度は、病気休暇と一体にならなかったのか?

その答えは女性運動家たちが「一貫して、月経を医療的措置によって解決することを拒否した形で成立したから」と、田口さんは同じ文章の中で指摘している。

生理が医療化すると、服薬への依存度が増すリスクがあり、労働環境の改善、人間同士の助け合いよって柔軟に解決してゆくことを妨げる可能性もあると考えたからだという。

■「生理がつらいのに働くのは非効率」

一方、新興企業の中には、生理休暇を推進するとともに、環境やコミュニケーションで働き方の改善を進めていこうという動きもある。

恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」を運営する株式会社エウレカ(東京・南青山)は、生理休暇制度を、社員数人で大量の仕事を回していた2008年の創業時から取り入れているという。

共同創業者で取締役COO(最高執行責任者)の西川順さんは、ハフポストの取材に対して、「生理がつらいのに働くのは非効率」という合理的な判断から、部下の生理前や生理中の仕事の量を調整したところ、仕事がスムーズにまわるようになったと話した。

一方で、生理中でもそれぞれの判断に基づいて働ける、オフィス環境も整えている。こうした一連の環境整備が、生理痛を抱える女性だけでなく、企業内全体のダイバーシティ推進にも役立っていると指摘している。

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