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関ジャニ∞、初野外フェスで提示したアイドルとロックの可能性

2017年05月28日 18時24分 JST | 更新 2017年05月28日 18時24分 JST

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関ジャニ∞、初野外フェスで提示したアイドルとロックの可能性

 人気グループ・関ジャニ∞が、21日に行われた音楽イベント『METROCK 2017 TOKYO』(METROPOLITAN ROCK FESTIVAL/通称・メトロック)で、野外ロックフェス初参戦を果たした。関ジャニ∞といえば、バラエティなどでの活躍もさることながら、ジャニーズの中でもとりわけ音楽面に特化したグループである。全員でバンド演奏し、自ら作詞作曲も行う彼ら。昨今では、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で、大物アーティストたちとセッションするなど、その音楽力はますますアップ。フェスの模様とともに、関ジャニ∞とロックの可能性を探ってみたい。

◆初の野外フェスでもアウェイ感なし、ロックファンに好評だった理由

 存在そのものがすでに“フェス”なのである。THE イナズマ戦隊、宮藤官九郎、峯田和伸、レキシ、藍坊主、高橋優、OKAMOTO’S…。セットリストの楽曲提供者をざっと並べただけでも、関ジャニ∞が音楽イベント『METROCK 2017 TOKYO』で演奏した音楽は、“ロック”という大枠はあるものの、曲調やテーマやノリや音色は飛び抜けて多彩であることがわかる。

 メトロック最終日。メインステージでの“トリ前”を務めた関ジャニ∞のイキのいいアクトは、フェス慣れしたロックファンにも大好評だった。派手なサークルモッシュまで起こすほど、ヒートアップした縦ノリは、普段の彼らのライブではまずお目にかかれない光景だ。ミディアムな「侍唄(さむらいソング)」を除いて、セットリストは関ジャニ∞のライブで盛り上がる、テッパン中のテッパンをラインナップ。とはいえ、実際に彼らのライブを体験したことがある者なら、関ジャニ∞がフェス受けすることぐらい、ある程度は想像できたはずだ。“求められることなら何でもやる”という泥臭い姿勢と、子どもの頃から多くの舞台に立っている経験値の高さ、大箱での自分たちの“魅力の飛ばし方”は誰よりも熟知しているはずだし、そこに確かな演奏能力とキャッチーな楽曲群が加われば、初野外フェスでのアウェイ感など、一瞬にして吹き飛ぶはずだと。

◆『関ジャム 完全燃SHOW』がもたらした音楽的進化

 初野外フェスを体験するタイミングも絶妙だった。以前から、楽器演奏に定評があったとはいえ、ここ2年のメンバーの音楽への感度の高まり、楽器演奏の上達ぶりは凄まじい。メトロック後のSNSでも「関ジャニ∞のベースやばい」などと、丸山隆平のベースを絶賛する呟きが散見されたけれど、彼のスラップの師匠は、OKAMOTO’Sのハマ・オカモトである。

 『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)は、毎回様々なゲストが登場し、アーティストや音楽に切り込んでいくだけでなく、楽器演奏、歌詞や編曲といったテーマまで多角的に解析していく音楽番組だが、丸山はそこで、ハマ・オカモトから直々にスラップの指導を受けていたのだ。番組の最後に、ゲストと関ジャニ∞のメンバーでジャムセッションが披露されるが、バラエティに富んだ楽曲をじかに演奏して見る機会を得たことで、また、音や言葉の成り立ちを作った本人から直接説明してもらったり、音楽理論を学んだりすることで、彼らの演奏技術は格段に向上し、彼らのポピュラー音楽への理解度は飛躍的に高まった。2年間、『関ジャム~』で吸収した“成果”が、この日の演奏にも十分に表れていたのである。

◆紆余曲折を経て、アイドルながらロックな関ジャニ∞の背景

 「野外フェスに、関ジャニ∞の音楽は間違いなくハマる!」という大方の予想は的中したわけだけれど、それ以上に新鮮で、何より驚かされたのは、今回のメトロックで関ジャニ∞が他のどんなロックバンドにも負けない“ロックバンドらしさ”を放っていたことだった。渋谷すばるは、「関ジャニ∞ってアイドルグループやってます」と最後にさらっと挨拶していたが、それはまさに、ロックファンから偏見を持たれがちな“アイドル”の「俺たちまだまだこんなもんじゃない」宣言というか、ある種の殴り込みだったのだろう。粘って、気張って、振り切って。バイタリティこそ男道だと信じて、芝居、音楽、バラエティと、芸能の様々なジャンルに関わってきた彼らは、“本気”と“アソビ”を絶妙なバランスでブレンドさせ、アイドル業に取り組んできた。本当は必死なのに、でも表面上は優雅に軽やかに見せることは、夢を売ってナンボの“アイドル魂”のなせる技。

 ただし、こと音楽に関しては、もちろん全員が最初から“ロック魂”を備えていたわけではない。デビュー前、あまり目立たない存在だった大倉忠義のことを「ドラムをやらせてみてほしい」と社長に直談判したのはギターの安田章大だった。最初からバンドとして生まれたわけではない関ジャニ∞は、音楽志向の強いメンバーに感化され、バンドでの自分の役割を確立すべく、村上信五はキーボード、横山裕はトランペットをマスター。錦戸亮も、NEWSと関ジャニ∞を掛け持ちしていて、今のように深く関ジャニ∞の音楽に関わることができなかった時期もある。そんな紆余曲折を経て、最近では先に述べた『関ジャム~』での体験も加わり、スター性を持った7人でロックを奏でるバンドに彼らはようやく成り上がった。過去を掘り下げれば掘り下げるほど、バンドとしての彼らのバックグラウンドそのものが、とてつもなくロックなのである。

◆悩み多く貪欲な30代、本気の7人の気持ちが歌詞に?

 ところで、今回のセットリストの中では、「Tokyoholic」が一番、関ジャニ∞というグループそのものが持つ“ロックな反骨精神”に溢れた曲になっていた。でもそれも当たり前だ。錚々たるアーティストから提供された楽曲が並ぶ中、「Tokyoholic」は錦戸がソングライティングを手がけた曲なのである。東京ではみんな見栄っ張りで強がりで、どうしたって好きになれないけど、嫌いにもなれない。10代で、親元を離れて上京し、成功を夢見て必死で頑張ってきた。デビューして、ドラマに出て、映画に出て、主題歌を担当して、ツアーで全国を回って、そこそこ人気者になったけど、まだまだ全然満足できない。必死で音楽に取り組んでいても、まだまだ全然認められない。そんな悩み多き、しかも貪欲な30代。“上から見んなや こっちも必死なんじゃ”という歌詞は、アイドルもロックも、どちらにも本気で取り組んでいる彼らが、メトロックのようなアウェイな場所で、一番叫びたかった本音のように思えてならない。

 悔しさや、葛藤や、悲しみや、鬱憤や、反発や、ロックが、そんなある種の“負のエネルギー”を発散するジャンルとしての意味合いを持つのだとしたら、成功を収めた時点でそのバンドは主張したいことがなくなってしまう。アイドルである彼らは、華やかで恵まれているように見えるかもしれないが、実際は、数え切れないぐらいの壁にぶち当たってきたし、何度も恥をかいて、人気者であるが故の不自由さも味わいながら、ずっと「俺らはこんなもんじゃねーぞ!」と心の中で叫んできたのだろう。今回披露された曲「宇宙に行ったライオン」には、まさにそういう歌詞がある。危険を避け、冒険や失敗を恐れがちな若者が増えていく今の世の中では、自然発生的に生まれたロックバンドに負けず劣らず、アイドルグループが鮮明に体現しうる“ロック”があるのかもしれない。それほど、この日の7人は、泥臭くて熱っぽくて切実で、それでいて華やかでキラキラしていた。

 「関ジャニ∞っていうアイドルグループやってます!」とサラリと挨拶していた渋谷すばるの声が、まるで「アイドルの限界も、ロックの限界も壊してみせる!」という宣言のように、夕暮れの空に高く遠く響いていた。

(文:菊地陽子)


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