フランスで道路に大量のニンジンがばらまかれる。なぜ? ⇒ ○○の値上げに対するデモだった

元厚生大臣は「極めて不愉快な食品ロス」だとした。

「食品ロス」と闘っている人々を、憤慨させる一件であるに違いない。

フランスで10月4日、2020年に向けてたばこを1箱10ユーロ(約1300円)に値上げする政府方針に反対するデモが行われた。デモを起こしたたばこ販売店の経営者らがとった手段は――道路に何トンもの「ニンジン」をばらまくことだった。

4日早朝、50台もの車がパリに向けた道路を陣取り、交通にも影響を与えた。車の一団は、正午過ぎにはパリ7区にある厚生省の建物前に到着。乗っていたデモ隊が続々と降り、省庁前で何千本ものニンジンをばらまいた。

Philippe Wojazer / Reuters
Philippe Wojazer / Reuters

ではなぜたばこの値上げに抗議する手段が「ニンジン」をばらまくことなのか。

実はニンジンはフランスではたばこ屋の象徴。仏メディアFrance Bleuでも述べられているように、これはたばこ屋の店頭に設置が義務付けられている「Tabac(=たばこ)」という看板の愛称である。その起源は、たばこがまだ葉巻で売られていた16世紀にさかのぼる(当時の葉巻の形状がニンジンと似ていたことから)。

フランスでよく目にするたばこ店の看板
フランスでよく目にするたばこ店の看板
Corbis via Getty Images

とはいえこの「ニンジンばらまき行為」にはもったいないという批判ももちろん上がっている。

声を上げたひとりが、フランソワ・オランド前大統領政権下で厚生大臣を担当したミシェル・ドゥロネー氏だ。ドゥロネー氏は自身のFacebook上でこの行為は何よりもまず「極めて不愉快な食品ロス」であるとし、「あのすばらしく新鮮で品質の良いニンジンは、袋から出されて地面に捨てられた途端、慈善団体に寄付することもできない」と述べる。

大量の食品ロスを避けるために、ドゥロネー氏は次のような提案をしている。「フランス共和国親衛隊とコンタクトをとって、騎兵隊の馬の餌にできないか聞いてみたらどうか。彼らはデモ隊を撤退させてくれるわけだし」。

一石二鳥ということか。

ミシェル・ドゥロネー元厚生大臣のFacebook投稿ページ。

ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。

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