アート&カルチャー

さまぁ~ず、低迷期を支えた“コント師”の矜持

「コントは本職というか我々の基礎」

2017年12月22日 16時40分 JST | 更新 2017年12月22日 18時40分 JST

お笑いコンビ・さまぁ~ずの最新ライブDVD『SUMMERS LIVE 11』が2年ぶりに発売された。チケットが即完売となるさまぁ~ずの最新ライブをおさめた本DVDには、普段TVでは決して見ることのできない"コント師"としての本気を見ることができる。二人がコントを"本職"と語る意味、そして低迷期を支えた"自信"とは? コントを続けることにこだわったさまぁ~ず"激動のコント史"を二人の言葉から紐解く。

コントライブは二人の"お笑い観"を確認する日

――お二人はどんな時もコントライブを続けてきましたが、そのモチベーションは何でしょうか。

三村マサカズ 続けてる意義というか、やめちゃうとやめちゃうんで。

大竹一樹 そう、やめちゃうとやめちゃう(笑)。

三村マサカズ 2年に1回のライブをやめて様子を見てたら、もうやんなくなっちゃうような気がして。

大竹一樹 やめようと思ったら簡単ですからね。よく「仲良くやってますね」みたいなことを言われるのは、目的を同じにして、このライブをやってるからかもしれません。そういう意味では、やってて良かったなと思います。簡単に言うと本職っていうか、出身というか。我々の基礎はこれですから。

三村マサカズ ライブだけなんですよね、フリートークじゃないのは。テレビは全部フリートークなんで。

大竹一樹 本当はフリートークとかの方が笑いはデカイのかもしれないですけどね。ライブの場合、「面白いコントを作った、さあどうだ!」ってやるわけですからハードルは高いですよ。極端に言えば、お客さんも「はい、練りに練ったやつ見せてください」って待ち構えてますから(笑)。そういう恐怖もありますが、あんまり深く考えず、何となく2年に1回やっている。

三村マサカズ 深く考える前に本番が来ちゃう。

大竹一樹 毎回、慌ててバタバタしてると本番。

――2年に1回、お互いの"お笑い観"を確認する日とも言えるのでしょうか。

三村マサカズ まあかっこよく言っちゃうとそうかもしれない。

大竹一樹 そこまで考えてなかった。

一同:笑

――ライブは生ですからお客さんの反応が直で分かります。恐怖はありますか?

三村マサカズ すげーありますね。初日なんて特に、誰の前でも試してないものをやるわけですから。セリフを噛みたくない恐怖とか。

大竹一樹 本当はもっとキッチリやりたいんですけど、まあキッチリやれたことは今まで一回もないですね(笑)。

三村マサカズ 一回もない(笑)。

大竹一樹 本当はもっと練習してからやれば良いんですけど。練習が全く好きじゃないんで。逃げよう逃げようとする二人なんで......。

三村マサカズ 練習しすぎると、ビックリするシーンとか慣れてきちゃう。

大竹一樹 「これ素の反応じゃないじゃん!本当に驚けないじゃん!」ってよく分からない言い訳ばかりして。それに、この人はセリフも覚えてないから。

三村マサカズ あれ?この話ってどういうことだっけ?ってことも。

大竹一樹 あと、「練習しすぎると飽きちゃうじゃん」って言い訳。いや飽きるほどやれよ!って(笑)。

三村マサカズ しかも、覚えてないのにアドリブ入れちゃったり。

大竹一樹 普通はウケるかどうかの恐怖なんですけど、セリフを覚えてない恐怖の方がでかい。もっと練習すりゃいいですけどね(笑)。

三村マサカズ 本番が始まって三日目位で、「ちょっと大竹さん、俺このセリフ一回も言ってないよね」ってことも。

大竹一樹 そもそも、言ってない事に気づいてないという。

一同:笑

キングオブコントの審査委員をやる時は、数カ月"お笑い番組"を見ない

――バブル崩壊以後、徐々に制作にお金のかかるコント番組は敬遠されていましたが、昨今、制作費を抑えたりしながらコント番組が増えつつあるように見えます。

大竹一樹 僕らはテレビでネタをやることがなかった。だからコント番組を客観的に見てたかな。ただ、コント番組も本来そんなに爆発的に数字を取るもんでもないし。これからも続いていってほしいですけどね。

――コント番組が下火の時期が長く続きましたが、コントとの向き合い方は変わりましたか?

大竹一樹 自分達の出来る事をやってきたって感じですね。

三村マサカズ それよりも、自分達の火が消えないようにって(笑)。

――『キングオブコント』(TBS系)では審査委員をされていますが、採点はどこを重視しますか?

三村マサカズ 手法とか関係なく、おもいっきり笑わせてくれたチームには高得点をつけます。

大竹一樹 僕もそうです。

三村マサカズ うまいなとか、この感じ初めてとか、そこにはあんま感動しないんですよね。

大竹一樹 新しい手法なんてもうないからね、多分。

――出尽くしているってことですね。

大竹一樹 はい。あと、審査員をやる数カ月間は他のお笑い番組を見ないようにしてます。例えば、そいつらの良いネタを見ちゃった時に、それと比較しちゃうじゃないですか。もっと良いネタがあったのにとか。だから、その時期が一番お笑いの事を知らない時期なんです。

――キングオブコントでは2本のコントを見せる必要があります。

大竹一樹 自分たちの一番のネタを1本目と2本目のどちらに持ってくるのか。よく、「2本目に用意してたネタが面白かったんです」って聞くんです。でも1本目それだったら決勝行っても次ウケないもんねってなる。

三村マサカズ チョイスのセンスが出ちゃうんだよね。

大竹一樹 コントって、セットとか照明とか準備が必要。だから1本目で観客の求めている"笑い"が分かったとしても、準備していた2本目をやるしかない。ネタを急に変えられないんですね。

三村マサカズ 漫才だったら「客のウケが悪いね」とか「あのキャラ、前のをひっぱろう」とかできるかもしれない。本当はダメかもしれないけど、そういうことってあると思います。

大竹一樹 コントを2本やる難しさはある。

三村マサカズ その点、かまいたちはハマったんだよね。2つともテイストの違ったネタを持ってきて2つとも高得点。でも売れてるのはにゃんこスターですけど(笑)。

「本当はさまぁ~ずに改名したくなかった」その理由とは?

――これまでの活動を振り返って、苦労したのは?

大竹一樹 僕らはテレビに一回出なくなった時期があるんです。

三村マサカズ 最初、出られるようになったのは21歳頃かな。

大竹一樹 21歳くらいからテレビに出させてもらって...。でもホリプロはお笑いの会社ではないので、お笑いに詳しいマネージャーがいなかった。

――会社にまだノウハウが無かったと。

大竹一樹 我々もいまいちやり方が分からないままレギュラーをもらって、当時は休みがないくらい働いていました。

三村マサカズ それで、トントン拍子で日曜夜10時30分からの30分番組『大石恵三』(フジテレビ系)が決まりました。これ、相当いい時間帯だよね。

大竹一樹 でも視聴率では10%程度だったかな。当時としてはよくない数字。

三村マサカズ だから半年で打ち切りになりました。その時、「その時間帯は何やっても当たらないから」みたいに言われたんですけど、その後に『料理の鉄人』(同)が当たって、全然"死に枠"じゃねーじゃんって(笑)。

大竹一樹 『大石恵三』が終わってTV関係者から「しばらく眠るよ」って言われたんですが、案の定、出演していた番組が軒並み終わることに。

三村マサカズ その後は、2~3年は地味な仕事をこなしてましたね。

大竹一樹 当時、お笑いじゃなくてドラマの仕事もいただいてたんですが、生意気にも断ったりしてましたよ、仕事ねえくせに(笑)。何も成功してないのに一番生意気な時期でした。だから会社に行っても「お~、お~、王様が来たぞ!仕事のない王様が来たぞ!」って。

一同:笑

三村マサカズ それが30歳前後かな。

大竹一樹 そんな時期でもライブは続けていて、チケットもすぐ完売になったりして、「あっコントは大丈夫」っていう、それが自信になった時期でした。

――そうした不遇の中で、浮上のきっかけは?

大竹一樹 例えば、ラジオ番組などで色んな人が三村さんのツッコミをいじってくれたり。

三村マサカズ 「バカルディってなんで売れないんだろう」って言ってくれたりとかね。

大竹一樹 『めちゃ×2イケてるッ!』(同)の「笑わず嫌い王決定戦」に呼んでもらったり。所さんの番組にも出させてもらいました。

三村マサカズ そうやって徐々にですけど、少しずつまた仕事が増え始めたんです。だから本当は改名(「バカルディ」から「さまぁ~ず」への改名)なんてしたくなかったんですよ。いま波がきてるのに、なんで名前変えるんだよ!ふざけんなよ!って。でも当時のマネージャーが全然俺らに興味なくて「変えちゃえ、変えちゃえ、こいつら、どうせ売れてねえんだから」って(笑)。

大竹一樹 裏事情ですけどね(笑)。でも、改名したら他局も含めて面白がって使ってくれたんですよ。ちょうど僕たちもTVのやり方を学んでいたから、それがハマって番組出演が増えたんです。

三村マサカズ 力を発揮できる機会が増えてきたというか、それまでライブで培ってきた面が発揮されたのかな。練習は怠ってなかったから「やりゃ~いける」という自信もありました。

大竹一樹 見てもらえる場所があればできると。

――コンビの力も上がり、周りもさまぁ~ずの活かし方を理解した時期だったと。

三村マサカズ そうかもしれないですね。

大竹一樹 本当、不思議ですよね。

TV業界は"凄い人は凄い"から、活躍し続けるのは難しい

――2018年はどんな年にしたいですか?

三村マサカズ そうですね。テレビ界の中心から離れないようにしたいですね。

大竹一樹 寄っていきたいですね。

三村マサカズ TV業界の中心で活躍し続けるのって難しいんです。この業界って"凄い人は凄い"んで。

大竹一樹 我々は端っこ、ちょっと特殊な番組が多いんで。深夜とか、なんか人目に晒されないところで今日までやってきました(笑)。だから、タレントさんに会わないんですよ、まったく。いまだにブルゾンちえみにあった事ないですから。

三村マサカズ 「おはようございます」って言ったためしがない。

大竹一樹 いわゆる"ゾン系"に会ったことがない。みやぞんとかブルゾンとか(笑)。

三村マサカズ 露出の仕方かな。

大竹一樹 だからもうちょっとね、色んな人に会えるように仕事をやっていけたら良いかなと思います。

三村マサカズ 人見知りするくせにね(笑)。

大竹一樹 だから大人数じゃなくてね。ちょっとずつ会えれば良いかなって。

三村マサカズ 急に15人さばけって言われても、名前覚えられないしね。

一同:笑

【関連記事】