イギリスでは自動車を運転する費用は下がる一方、公共交通機関の料金は大幅上昇

英国ではこの数十年、自動車を運転する費用が下がり続けている一方、バスと列車の料金は着実に上がっている。

環境に優しい交通を支持する人、特に英国に住む方は、今回のニュースを聞いてきっと不安を覚えるだろう。英国ではこの数十年、自動車を運転する費用が下がり続けている一方、バスと列車の料金は着実に上がっているという。

英紙『The Independent』によれば、英国では政府の政策により、自家用車を運転するコストが1980年に比べて約14%低下しているという。この数字の計算には、保険料や燃料代なども含まれているそうだ。これに対し、バスと列車の料金は同じ期間で約60%も高くなっている。

写真のような赤い2階建てバスは確かに素敵だが、料金が60%も値上がりするとはどういうことだろうか? キャロライン・ルーカス下院議員は、「(列車の)料金は賃金よりはるかに速いペースで上がっている」と述べ、政府の対応が無責任であると指摘している。

ただし、全ての自治体が自動車を運転する費用を下げるような政策をとっているわけではない。例えばロンドンでは、市の中心部に車両を乗り入れるドライバーに渋滞税が課される。2003年に導入されたこの税は、1年に多くて約3億ドル(約350億円)の歳入をもたらしている。

また、英国の燃料価格が(最近は特に安い状態が続いている米国などと比べて)安いというわけでもない。実際、2011年には200人近いドライバーがチェシャー州にあるスタンロー製油所への道路を自動車でふさぎ、英国の高いガソリン価格に抗議した。

しかし環境保護派がよく指摘するように、自動車を運転するコストがいくら下がっても、大気汚染がもたらす健康問題や、交通事故死といった外的コストはその計算に含まれていないのが実情だ。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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