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アフリカ大湖地域、和平協定による平和の配当を

2013年05月26日 23時04分 JST | 更新 2013年07月26日 18時12分 JST

※ジム・ヨン・キム世銀総裁と潘基文国連事務総長は、5月22日から24日にかけて、アフリカ大湖地域を訪問しました。本記事は、その訪問に先駆けて英語版ハフィントンポストに投稿された5月20日付記事の翻訳版です。

アフリカ大湖地域の人々が何十年にもわたって受けてきた紛争の苦しみから、ようやく逃れられる機会が来ている。それは、武器を置き、隣国との信義と交易を拡大し、数百万人の子供たちに新たに教育の機会を与え、女性の地位を高める機会であり、各国が繁栄、ガバナンスの向上、長期的安定に向けた道を歩む経済的機会をもたらすものである。

我々は近々、大湖地域のコンゴ民主共和国(DRC)、ルワンダ及びウガンダを訪れ、同地域の指導者と会って、開発を加速し平和を強固なものとするため、具体的な取り組みを示す予定だ。世銀と国連のトップがジョイント・ミッションの形で現地を訪れるのは初めてのことだが、「DRCと周辺地域の安全保障・協力に向けた枠組み」の新たな合意を踏まえて計画されたものである。

この枠組み合意は、国連、大湖地域に関する国際会議、南部アフリカ開発共同体、アフリカ連合による協調的努力の結果であり、DRC東部における悲惨な紛争の連鎖を断ち切るには新たなアプローチが必要との認識に基づいている。

危機管理と紛争後の手当てだけでは十分でない。根本にある原因に取り組まなければならない。11か国が調印した同合意は、国際社会の支援の下に、地域の指導者たちが共に安全保障と開発における共通の課題に取り組むよう求めている。約束が確実に果たされるよう、同合意には、進捗状況を厳格に管理するメカニズムが含まれている。

我々は、この総合的な新アプローチがDRC及び大湖地域の長期的な平和と繁栄のための格好の機会をもたらすと確信している。ただし、メアリー・ロビンソン国連特別代表(アフリカ大湖地域担当)が「希望の枠組み」と表現したこの合意を実現するのは容易なことではない。

DRCに暮らす人のうち実に70%が1日1.25ドル未満で暮らしている。学齢期の子供の3分の1に当たる700万人以上が教育の機会を与えられていない。約240万人の子供は深刻な栄養不良状態にある。保健、水、衛生が不十分なため、マラリア、コレラ、はしかが深刻な脅威となっている。道路は荒れ放題、電気はほとんどない上、料金が高い。基本的な食糧や日用品は輸入しなければ手に入らず、約630万人が食糧支援を必要としている。

性的暴力は依然として恐ろしい水準で蔓延しており、東部に展開する武装グループが常に人々を苦しめる武器として利用している。雇用や機会の不足が犯罪の温床となっている。300万人以上のコンゴ人が安全を求めて故郷を離れ、そのうち260万人は国内で、45万人は周辺国で難民となっている。

大湖地域の指導者が、平和、安定、経済成長のカギを握っている。国連や世界銀行グループをはじめ国際社会全体が彼らを支援しなければならない。国連と世銀グループは、今回の枠組み合意の下で、永続的な平和と安定に欠かせない経済発展が、政治と安全保障の側面と並行して進展するよう新しくより深い方法で緊密に協力していくことを約束する。

国境地域における経済活動の再開と生活水準の向上、貿易の促進、経済的相互依存の着実な強化、不正の根絶、万人に利益が行きわたるような天然資源管理などを通じ、我々は着実に信認を獲得し、住民の福祉、所得、機会を改善することができる。

紛争から立ち直り、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向け前進することは可能だと示している国々がある。我々は現在、MDGsの目標年の2015年以降に向けて、極度の貧困をなくすための持続可能な新開発アジェンダを掲げている。アフリカの多くの国々は大きく前進しつつある。DRCの人々も前進のための十分なチャンスを手にすべきだ。

和平協定は平和の配当をもたらすものでなければならない。紛争の終結、子供の教育、女性の権利尊重、保健サービス及び持続可能なエネルギーへのアクセス、所得と機会の平等などの長年のビジョン――我々は、大湖地域の人々がこれらのビジョンを達成できるよう支援する義務がある。今回の訪問はそのためのものだ。大湖地域の地平線に希望の光がさし始めている。希望をつかむ日まで一歩一歩共に歩んでいく決意だ。

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2013年6月1日から3日、横浜市にて第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が開催されます。TICADは、日本政府とともに世界銀行と国連の共催で行われるアフリカの開発をテーマにした国際会議です。ジム・ヨン・キム世銀総裁と潘基文国連事務総長もこの会議出席のため来日し、アフリカ諸国の首脳・閣僚をはじめとする多くの関係者と、ハイレベル会談を行う予定です。詳細はこちら:http://worldbank.org/japan/jp