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サイボウズ式:サイボウズで働いて「複業には4種類ある」と痛感し、やっぱり複業はいっしょくたには語れないよねと思った話

複業はいっしょくたに語れない。

2017年10月15日 15時41分 JST | 更新 2017年10月15日 15時41分 JST

マツナガエイコさん

サイボウズで複業をしながら、地方中心の働き方をしている竹内義晴が、これからの仕事や人生のあり方を語る「長くはたらく、地方で」。今回は、「複業のいろんなスタイル」について。私にとっての複業は、想像していたよりも責任が重いものだった。

サイボウズで週2日勤務の複業をはじめて3カ月になる。

サイボウズで働く前から、私にはいくつかの「仕事の顔」がある。しごとのみらいというNPO法人では企業研修の講師や講演をしているし、メディアへの寄稿や書籍の執筆などライターの一面もある。IT業界出身のため、時にITの仕事をすることもある。

「いろんな仕事をする」という意味で、私はおそらく、今までも複業をしてきたのだと思う。どの顔を演じているときも、どれがメインで、どれがサブか......という区別はあまりない。みんなメイン、みんな私である。

だから、サイボウズの仕事だって、複業をそれほど難しく考えていなかった。今までの延長線上にあるのではないか......と想像していた。

「新しい顔が、一つ、増えるだけさ」と。

けれども、実際に複業を始めてみると、想像していたのとは全く違った

自由な複業、責任が重い複業

その違いを一言でいえば、「組織人としての責任が重い」のである。

私が今まで経験してきた複業は、企業との雇用関係がなかった。NPO法人は「雇用」というよりも「経営」だし、他の仕事は「業務委託」である。

経営者の立場は、業務に関する責任を一手に背負う分、時間も仕事も自分の裁量で決められる。規模が小さい法人なら、やりたいことが自由にできる。

業務委託は「この仕事を、こういった方法で、いつまでに、このぐらいの金額でやってほしい」と仕事の依頼を受けて、内容ごとにプロジェクト形式で契約することが多い。

仕事をして、請求書を発行して、入金されればそれで終了。「プロのスキルで業務を遂行する」以外のことはそれほど干渉されないし、仕事も自分で選べる。今までの働き方はいい意味で自由だったし、顧客とは程よい距離感があった。

また、今まではよくも悪くも、個人で責任を取ればよかった。法人の規模もまだそれほど大きくないし、執筆やITの仕事も基本的に個人プレーだ。

そういう働き方を10年ほどしてきた私にとって、サイボウズという企業に所属することは、会社や社員との距離感を一気に縮めた。チームで仕事をする楽しさや安心感は久しぶり。新鮮だった。

今までの働き方が「外の人」だとしたら、「中の人」になった気がする。

と同時に、今まで自由に働いてきた分、「会社の看板」は想像以上に肩に重くのしかかる。また、組織の中では協働作業も多い。

「ボクは複業だから、週に2日しか働きません!」というのを言い訳にして、仲間の仕事を止めるわけにはいかない。時間やタスクの管理は結構難しい。

時には割り切りも必要なのかもしれない。仕事の仕方は、まだ、試行錯誤が続いている。

複業のさまざまな形

このように考えてみると、一言で「複業」といっても、実はいろんな形があるのではないかと思う。

例えば、以前の私がそうだったように、独立して小さな事業を複数やっている人にとっては、複数の仕事をするのはそれほど難しいことではない。

「複業なんて前からやっているよ。そんなに難しく考えなくても、やりたければやればいいんじゃない?」という印象だろう。

一方、企業に属しながら、さらに他の企業に複業しようとする人にとっては、「いやいや、複業ってそんなに簡単じゃないでしょう。責任感や時間管理ができる人でないと難しいよ」と考えるだろう。

しかし、今、世の中全般で語られる複業は、立場や状況に関わらずいっしょくたに語られることが多い。そのために、さまざまな立場から見れば「そんなに難しい?」「そんなに簡単?」など、違和感を抱く人も多いのではないかと思う。

複業4つのタイプ

そこで、これまでの経験を踏まえて、複業にはどんなタイプがあるのかを考えてみた。大きく分けると、4つのタイプがあるのではないかと私は考えている。

1つ目は、「個人+個人」タイプ。個人事業主やフリーランサー、小さな法人を経営している人など、個人が複数の仕事を行うタイプで、時間や雇用形態の制約が少ない分、専門的なスキルがあれば、複業は比較的容易。かつての私はこのタイプだった。

2つ目は、「個人+企業」タイプ。個人が主軸で企業にも所属するタイプで、「個人+個人」よりも、時間の管理や役割、会社に対する責任感が増す。その代わり、チームワークを生かして仕事をすることで、個人ではできなかった仕事ができる可能性がある。現在の私はこのタイプ。

3つ目は、「企業+個人」タイプ。企業が主軸で、空いた時間や週の何日かを、個人の範疇で複業するタイプだ。企業に雇用される安心感を残したまま、企業だけでは得られなかったさまざまな刺激や知見、経験を、社外から受けることができる。将来、起業につながることもあるかもしれない。アルバイトのような、お金が目的の「副業」の人もいるだろう。

4つ目は、「企業+企業」タイプ。複数の企業に所属してパラレルキャリアを築くタイプだ。複業する企業間の調整は必要かもしれないし、「組織人としての責任」を複数持つことは大変かもしれないが、複数の仕事に取り組むことで、仕事の幅や人脈が広がるだろう。

いろんな働き方を経験して、今、思うこと

私はこの中で、「個人+個人」タイプ、「個人+企業」タイプを経験してきた。複業に対する考え方の変化は、すでに書いてきた通りだ。自由と責任の違いは、結構大きかった。

「企業+個人」タイプの経験はないが、会社に所属していた時代と、独立した時代の両方があるから、それがどんな複業の形になるかはなんとなく想像がつく。

「企業+個人」タイプについて、今、改めて思うのは、もし、このような働き方ができていたら、以前勤めていた会社を辞めなくてもよかったんじゃないかと、なんとなく思う。

なぜなら、スキルアップ、将来のキャリア、人とのつながり、お金など、一つの会社では補えないことも、複数の仕事をすることで補える可能性があるからだ。

もちろん、「会社がその環境を受け入れてくれれば......」だが。あいにく、私が独立したころは複業という概念自体がまだなく、「会社に所属するか、独立するか」の選択肢しかなかった。

「企業+企業」タイプについては、どのような形になるのか、正直私は想像がつかない。私が今、改めて感じている「会社の看板」の重さを思うに、1つの企業に所属するだけでも「組織人としての責任」を感じているのに、2つも背負ったらどうなってしまうのだろう......という感じがする。

この責任感は「複数の人と結婚する」ような感じなのではないかと思う。

恋愛時代と違って結婚には覚悟がいる。「やっぱり分かれます」と容易には言えないのが結婚の「責任」だ。一つの家庭を作るだけでも大変なのに、それを、複数の人と実現するのだ。時間や気持ちのやりくり、家族への心遣いなど、結構、体力がいるのではないかなぁ。

もっとも、サイボウズで複業している中村龍太さんのように、複数の企業に属しながら、さらに、農業もやっている人もいる(しかも楽しそうに)。お互いの会社の理解と、自分の「理想」があれば、複数の会社で複業することも可能なのだろう。

複業はいっしょくたに語れない

近年、複業が話題になっている。

ここまで見てきたように、複業にはいろんな形があり、多様である。タイプによって得るものも、容易さも違う。だから、いっしょくたには語れない......というのが、実際にやってみての感想だ。

一方、複業によって「働き方が多様になる」ということは、今までの一律的な働き方を根幹から変えるほどのインパクトがあるのも事実だろう。

それならば、ある視点で「複業とはこうだ」と決めてかかるよりも、「こんな働き方もできるんじゃないか」と柔軟に考えるほうが、新しい可能性が見えてくるのではないかと思う。また、もし複業することを考えるなら、「自分はどのタイプが理想か」を考えてみるといいだろう。

イラスト:マツナガエイコ

「100年生きることを前提に働く」って、本当に想像できますか?


サイボウズ式」は、サイボウズ株式会社が運営する「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイトです。 本記事は、2017年8月31日のサイボウズ式掲載記事サイボウズで働いて「複業には4種類ある」と痛感し、やっぱり複業はいっしょくたには語れないよねと思った話より転載しました。