がん治療に新たな光 スーパーコンピュータを使った「IT創薬」で広がる可能性

2014年12月24日 00時39分 JST | 更新 2015年03月23日 00時17分 JST

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■ 多大な年月と費用がかかる「新薬」の開発

季節の変わり目は、体調を崩しやすい時でもあります。そんな時に薬を服用する人は多いでしょう。今やドラッグストアに行けば、数え切れないくらいの薬が販売されていますが、それらの薬の開発には、長い時間と巨額の費用がかけられています。店頭で気軽に購入できる薬でも、およそ9~17年もの年月と、200~300億円もの費用がかかるとも言われています。

■ 新薬ができる確率はおよそ「3万分の1」

新たに薬を生み出すことを「創薬」と呼びます。そのプロセスは、まず「標的探索」といって、疾患の原因となっているタンパク質を特定することから始まります。次に、それらのタンパク質に作用する物質を作り出し、新薬の候補物質を特定します。その後、毒性試験や動物実験など、さまざまな試験を経て、いよいよ人体に使用される「治験」の段階に入ります。このように、長年にわたって繰り返される治験をクリアした薬のみが厚生労働省から認可され、ようやく一般の人たちの手に渡ることになるのです。

ただ、これだけの年月と費用をかけても、新薬を開発できる確率はとても低いのが現実です。日本製薬工業協会の調査によると、その確率はおよそ「3万分の1」。そこで、東京大学先端科学技術研究センター、富士通、興和の三者は共同で、新薬開発の確率を高める研究を進めています。それが、「京」などのスーパーコンピュータを使った「IT創薬」です。

■ スーパーコンピュータで数多くの新薬開発を実現

具体的には、富士通がスーパーコンピュータを用いて、薬の候補となる化合物の構造を設計。その設計に基づいて、興和が化合物を合成し、また、合成した化合物が薬として期待される作用を示すか実験的に検証します。それらの実験結果をもとに、東大先端研が設計方法の改良に取り組み、これまでは対応できなかった疾患に対する創薬開発の基盤技術を確立します。

スーパーコンピュータを使うことで、無数にある物質の組み合わせを効率良く設計・検証することが可能となります。また、タンパク質の形状変化を「原子レベル」で明らかにすることができるため、これまで以上に数多くの薬を開発することも考えられます。将来的には、個人個人の病状に合わせた「テーラーメイド医療」も実現できるかもしれません。

IT創薬の可能性は広がりを見せ、今まで開発が困難とされていた薬、例えば、治療が困難だったがんなどの病気を治療する薬や、身体への負担が少ない薬も開発できることが期待されています。「もう、がんは怖くない」、そう言える時代が、近い将来やって来るかもしれません。

富士通は今後も、IT創薬を推進し、さまざまな疾患に対する新しい治療薬の開発とともに、新たな医療および健康社会の実現に貢献していきます。

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スーパーコンピュータ「京」

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