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芝山元 Headshot

マイルドヤンキー賞賛とその先にあるもの、、、

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いや~、最近の日本のメディアやマーケティング業界のキーワードは「マイルドヤンキー」ですね。この一年位から、「日本のヤンキー化」なるものが騒がれていて、そこで、博報堂生活総合研究所勤務の原田曜平氏の「ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体」が発売された事で、いいとこ取り。一本釣りした感があります。基本的には「ソフトヤンキーという新たな金脈発見」的な賞賛記事が多いのですが、格差社会の最先端を行くアメリカ在住の僕としては、一抹の危うさを感じています。それは、低学歴層の増大、チェーン店の増加、高卒向けの安定職の海外へのアウトソーシング、製造業からサービス業主体経済への以降と共に、1980年代以降にアメリカの中間層がジワジワ消えていった流れと酷似しているからです。今回の書き込みでは、アメリカのケースを元に、マイルドヤンキー経済賞賛の危うさを検証を下記の通り行います。

昨今の、マイルドヤンキー賞賛の具体的な記事としては以下の通りで、かなりメディアを賑わせています。

Yahoo!トピックス 新保守 マイルドヤンキーとは http://bit.ly/OuEMc8
『ヤンキー経済』六本木からも丸の内からも見えない世界 成毛眞 http://bit.ly/1h5URSq
「新しい保守層から未来の姿を予測する」、『ヤンキー経済』 未来回路.com http://bit.ly/1eiJi6V
郊外で独自に発達中!新しい「ヤンキー」市場とは? 佐々木俊尚 http://bit.ly/1j3i6cv
「ヤンキー」のライフスタイルに学ぼう!山崎元 http://bit.ly/1dbH7nC
スポットが当たり始めた地方の"ヤンキー世帯"週刊ダイヤモンド http://bit.ly/1ig1rmE

ざっくり言って、マイルドヤンキーの特徴は以下の通りです:

  • 生まれ育った地元指向が非常に強い(パラサイト率も高い)
  • 郊外や地方都市に在住(車社会)
  • 内向的で、上昇指向が低い(非常に保守的)
  • 低学歴で低収入
  • ITへの関心やスキルが低い
  • 遠出を嫌い、生活も遊びも地元で済ませたい
  • 近くにあって、なんでも揃うイオンSCは夢の国
  • 小中学時代からの友人たちと「永遠に続く日常」を夢見る
  • できちゃった結婚比率も高く、子供にキラキラネームをつける傾向
  • 喫煙率や飲酒率が高い



マイルドヤンキー君達をマトリックスで表現すると、著者いわく下記の通りだそうで、社交的でITへの関心スキルが高いエリート層と対極に位置するそうです。

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博報堂生活総合研究所が出した本だけあって、マーケティング観点からは非常に面白かったです。Exileや浜崎あゆみ、LINE、パズドラ、ユニクロとかイオンSCの最近の人気がマイルドヤンキー層に支えられてる点など特に。

それと同時に、「日本を含む先進国では、エリート層と低学歴層の格差が誇大化している」という懸念をかなり強く感じました。米国の格差の誇大化については、チャールズ・マレーの「階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現」を下記のブログ記事にまとめましたの参照ください。

頭がよくないと、まともな暮らしができないのか? http://bit.ly/y77OQ5
橘玲さんの書評:アメリカ社会は人種ではなく"知能"によって分断されている http://bit.ly/N6mqxu

マレー氏指摘は以下の通りですが、これって、日本のマイルドヤンキー像とかなり重なる部分が多いと思うんですよね(カッコ内は日本との類似点)。



実際、僕と同じような事を感じている方は何人もいるようです↓。

ご存知でしたか 日本人の9割がヤンキーになる 1億総中流の時代はよかったなぁ 現代ビジネス http://bit.ly/18a5mjf
『マイルドヤンキー』の楽観と悲観/奥深いヤンキー問題 - 風観羽 http://bit.ly/1nChcde

「新ヤンキーの人生には続きがある。あまりにも若くして結婚する場合、夫婦ともに定職を持たないままということも実は多い。夫は職を転々としつつ家族を養うが、2人目、3人目の子が生まれると家計を支えきれなくなってしまう。歳をとるにつれ働き口がなくなってゆき、ヤケになった夫がギャンブルに溺れるかたわらで、困窮した妻子は家を出て、生活保護で暮らすようになる―。」

あと、「マイルドヤンキー」がバズワードになる前の、バカッターやバイトテロ連発時は「地方や郊外の低学歴論」も、ネット上で話題になってました。彼らの描く低学歴ヤンキー像は、脚色も入ってるんでしょうけど、かなり悲惨です。いわゆる高学歴層との断絶もアメリカ以上かという感じです。

「実家に帰ると、親戚の誰それが結婚した、でも結婚相手はどうしようもないバカでパチンコばかりで家族そろって金を無心にくる、という似たような話がゴロゴロ。不倫・バツ1・再婚・生活保護・パチンコ・ギャンブル・騙した・騙された・蒸発、、、あげれば切りがないけどそんな話がゴロゴロゴロゴロ。ほんと、子供がDQNの家庭は親も間違いなくDQN。」

「一軍で目立ってモテてたイケメン男子たちの中で、成績が悪かった人たちはみんな地元できつい肉体労働に就いてる。でも可愛い女子たちは、知ってる限りみんな風俗嬢か家事手伝いになってる。東京に出た子が全然居ない。」


田舎から出られないコンプレックス http://bit.ly/18koC9s

「大学へ行ってまず俺が驚いたことは、友人達の家庭環境と文化レベルの高さ。両親がサラリーマン家庭(そういう友達は地元ではほとんどいなかった);家族兄弟の誰かが海外赴任とか海外住まいとか普通にいる(英語ならお姉ちゃんがペラペラだよ、とかすげぇ);海外旅行経験者多すぎ(国内旅行すら修学旅行くらいだった俺には衝撃);趣味が舞台鑑賞とか美術館めぐりとか(ギャンブルが趣味じゃないって凄い);騙す人なんてほとんどいない、無条件に人を信用する人の多さ;お金を貸しても絶対返ってくる;「ありがとう」とか感謝の言葉が普通に飛び交う」


低学歴と高学歴の世界の溝 http://bit.ly/1cU6JSp

バイトテロが連発に関して:「「低学歴の世界」って言葉は、すごいうまくいいあらわした言葉だと思った。でもそこに属してるのは、低学歴の子供たちだけじゃないから。「低学歴の大人」や「子供を低学歴にする大人」が作ってる世界に育った子供たちが低学歴になる。常識をおしえてもらえなかった子供たちが、その子供たちだけの常識作る。」


20代ひきこもり系非正規女子のつまんないぼやき。 http://bit.ly/1cCK7HI

「中学受験で優秀な子は地元の6年制一貫の進学校(受験少年院)や国立大学付属中学校に抜けてしまうので、残った地元の公立中学校はさらにワンダーランドです。私のクラスで最終的に大学に行ったのはせいぜい10人。クラスの一番かわいい女子や享楽的な女子は中学校1年か2年の主に夏休みに処女を失い、それがクラスにだいたい3~4人いて、次にその取り巻きのワナビーが中学3年の時の主に夏休みに初体験をし、20人ちょっとしかいないクラスの女子の1/3くらいは卒業時に性経験を有することになります。 」


地方都市で、低学歴と高学歴の世界が交わるとき http://bit.ly/1g0mCtk

次に、低学歴層の没落に関しては最先端を行くアメリカとの共通点を検証してみましょう。

生まれ育った地元指向が非常に強い(パラサイト率も高い)

アメリカでは、世帯年収が低く経済的に一番遅れていると呼ばれる南部のルイジアナ、ミシシッピー、アラバマ州や、製造業が衰退した中西部のミシガン、オハイオ、ペンシルバニア辺りに、生まれてからずっと同じ州に住んでる率が70%超えです。 http://1.usa.gov/1dqgO7I
* パラサイト・シングルに関しては日本は完全に先進国ですねw 特に壮年未婚パラサイト(35-44歳)の増加!⇒親と同居の未婚者の対人口比推移 http://bit.ly/1cStGlJ

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郊外や地方都市に在住(車社会)

アメリカでは、ガソリン代や保険代の高騰により、交通費の高騰が車社会の都市圏の米国民の生活を圧迫しており、世帯収入に対する居住費+交通費合計の比率が高い都市圏:1マイアミ72%、2リバーサイド69%、3タンパ66%、4LA65%、5SD63%、6アトランタ63%と交通手段が自家用車に限定される都市圏が上位に。
* 首都圏の市区町村別の最終学歴をみても、東京の下町地区を除き、都心から離れる程、低学歴傾向が明らかですね。

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低学歴で低収入

アメリカでも学歴と雇用は密接に関連 http://t.co/iJmUi92p 週給・失業率:専門修士$1665・2.4%<博士$1551・2.5%<修士$1263・3.6%<学士$1053・4.9%<短大$768・6.8%<高卒$638・9.4%<高卒未満$451・14.1%

ITへの関心やスキルが低い

アメリカのデジタル・デバイド。家庭内ブロードバンドインターネット接続率:年収15万ドル以上90%>2万ドル未満54%;大卒89%>高校中退37%。http://bit.ly/1qVgyqf
私は学校にまともに行ってなかったから、もしかしたら学校で少しはやったのかもしれないけど、でも私自身は、インターネットなんて学校で習わなかった。
* 上記の20代ひきこもり系非正規女子のつまんないぼやきさん曰く:「私の友達もだいたいインターネットなんて知らない。ミクシィやフェイスブックは知ってても、インターネット、っていうのは知らない。携帯やスマホでケータイ小説読んだり日記書いたり写真載せたり動画見たりコメント書いたりしてるけど、でも、インターネット、って知らない。自分が使ってるのがインターネット、ってこと、知らない。使ってるのは、携帯だし、スマホだし。パソコン持ってない人多いし、インターネットはパソコンでやるものだと思ってる。スマホだって、うちの職場のおばさんたちは、それがなにかちゃんと知ってない。」

遠出を嫌い、生活も遊びも地元で済ませたい

2000年→2012年:アメリカでもパラサイト率急上昇。年齢18歳~24歳:47%→57%。25歳~34歳12%→20% http://bit.ly/1lPo6am
カリフォルニアでは230万人の「大人」が親と同居中で、リーマンショック以降63%の上昇し、食費・交通費・健康保険代が親の財布を直撃。 http://bit.ly/1d0v1NX
リーマン・ショックを差っ引いても、低給与で自立できない層は増えているので、トレンドとしては上昇傾向間違いないでしょうね。

非常に保守的

アメリカでは、教育レベルの高い裕福層がリベラル化して、共和党の主要支持層は内陸部に住む、低学歴、右傾、コンサバクリスチャンが増加。労組の強いミシガンのような中西部州が共和党の票田になるなど、以前は考えられなかった。http://bit.ly/w4NrYt
* 日本でも、この前の都知事選で、最終学歴が低い下町の区や、立川から先の当りで、舛添氏への支持が高かったのが興味深いです。 http://bit.ly/1fZPu1N

近くにあって、なんでも揃うイオンSCは夢の国

郊外のモール化・チェーン店化が60年代から進んだアメリカでは、80年代位までは、郊外の若者が集まるまさに「夢の国」でした。しかし、米国では室内モールは90年代から下火で、1/5のモールが経営不振。今後10年間で15%のモールは閉鎖と予測されます。背景としては、裕福層都市回帰、車中心のライフスタイルの変化、石油値段高騰、等がありますが、最大の背景としては、チェーン店化がウォルマートのような巨大ディスカウンターを作り上げてしまい、近隣の住人の給与が下落し、中級階級向けのCircuit City、Mervyn's、Dillar's等の小売店を淘汰してしまった点だとおもいます。ウォルマートは、24兆円の売上を誇り、210万人を雇用していますが、時給ベースだとたった$12.50(年収150万円位)。昨今ではネットショッピングの増加や、車を持てない低所得者層の増加で、さすがのウォルマートも売上が低迷しています
* 日本では、SCの出店をイオン中心に加速させていますが、ビエリ守山の閉鎖などをみると、出店のサーチュレーション(飽和)とSC当りの売上の低迷は、そろそろなのではと感じています。

できちゃった結婚比率も高く、子供にキラキラネームをつける傾向

アメリカの場合、生活保護を受けるために、あえて籍を入れない女性も多いのですが、米30歳以下の出産の半数は未婚。 NYT http://nyti.ms/xvFbVu 最終学歴別未婚出産率:非大卒51%>何らかの大学経験34%>大卒8%。人種別未婚出産率:黒人73%>ヒスパニック53%>白人29%。

子供を作って、EBT(生活保護カード)を手にして、良い生活をしよう!と風刺するChapter JacksonのMV⇒ It's Free Swipe Yo EBT (Explicit) - YouTube http://bit.ly/ZZa7bu
アメリカの「親の教育水準が低い白人の女の子」の名前ランキングをチェックすると、高学歴に比べ、キラ切れネーム比率がとっても高い。「ヤバい経済学」 。
* 日本では、厚生労働省が人口実態統計をもとに集計した「出生に関する統計」にある、結婚期間が妊娠期間よりも短い第一子出生の数値データを見ると、年々上昇傾向にあることがわかる。割合では、1980年の10.6%から2010年には25.3%へと上昇。さらに「できちゃった結婚」の割合を都道府県別(2009年統計)で見ると、沖縄県が42.4%で飛びぬけて多い。そこに佐賀県(37.5%)、福島県(36.7%)と続き、最下位は東京と神奈川の19.5%となっている。 http://amba.to/1fIc25m

喫煙率が高い

アメリカの最終学歴別喫煙率:中卒49%>高卒25%>短大卒25%>大卒11%>院卒5.6%。貧困層31%>非貧困層19% http://1.usa.gov/1hCuOOe
* 日本の男性の年収別喫煙率は、200万円以下37%>200~600万円34%>600万円以上27%。 http://bit.ly/1g1I94Y 都道府県別だと、青森、北海道、福島、石川等が高く、奈良、島根、京都、東京が低い。http://bit.ly/1d13f3R

以上、つらつら書き込みましたが、格差社会の先進国アメリカを、日本が後追いしているのが、かなり明らかかと思いますです。

日本政府としても、マイルドヤンキー層の増加は、注意を払っておいたほうが良いと思います。アメリカでは、政府に収入依存をする層が増加しており。 http://nyti.ms/f4oFZ5 赤線(左軸)の勤労収入の比率は1955年68%→51%と減少し、青線(右軸)の移転支払(年金、失業手当等)4%→18%と急増しています。日本も生活保護層の増大や、税金を支払わなくて良いくらい低所得者層の増加は明らかですので、確実に国庫を蝕んでいるはずです。

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また、マイルドヤンキー層も、今までの消費生活がメンテ出来るかは疑問ですね。春山昇華さん曰く、2011年~2012年は、デフレの最盛期だったそうで、円高終了し、リーマンショック後の世界的な製品供給過多も終了したので、今後は、衣料、食、エネルギー費、石油等の生活必需品のインフレは確実に始まるでしょう。また、消費税も5%→8%→10%と、若干の賃上げでは吸収出来ないほど、上がります。

また、内田樹センセイいわく、財界や大企業から狙われています。

もっとも強く階層分化を望んでいるのは財界です。社会的インフラが整備され、治安がよく、言葉が通じる日本で操業するのが、企業にとっては実は一番ありがたい。ヤンキーが『低学力・低賃金・非組織・非正規労働者』の供給源になる。彼らはエリートに収奪される側ですが、反政府的な運動を組織するおそれがない。反知性主義ゆえに、自分たちの立場を解明することに一切興味を示さないからです

日本のマイルドヤンキー化の傾向に、一つ救いがあるのは、親がそれなりに資産を持っている場合は、よくも悪くも世代間の所得移転が機能しているという点でしょうか?「ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体」にも、パラサイト傾向、親から生活資金援助受ける、親の車を借りる等の親だよりの傾向の高さを指摘しています。下記の通り、高齢世帯の貯蓄残高分布をみても、41%の高齢世帯が2000万円以上の貯蓄を持っており、マイルドヤンキー層のセイフティネットの役目を果たしているんでしょうね。あくまでも仮説ではありますが、マイルドヤンキー層の親の資産レベルは、その他とくらべ低いことが予測されるので、親からの資金援助の恩恵に預かれない大多数は、大変だと思いますが、、、、

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最後に、不動産関連の話でまとめると、年収の上昇せずとも下がりにくい高学歴層の住む、交通利便の高いエリアにするのが無難でしょうね。郊外にSCが乱立する、低学歴エリアですと、給与の下落やら、車の維持費の上昇やら、インフレによる可処分所得の下落やら、テナントの質の面やらで、将来的に苦労するのは明らかですからね、、、、

では、Happy Investing!!!

(2014年3月20日「アメリカ/米国不動産投資日記」より転載)