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参政権が制限されていることに政治は気づく必要がある

2015年04月20日 17時36分 JST | 更新 2015年06月19日 18時12分 JST

統一地方選挙後半戦がスタートした。このところ低投票率が問題になっているが、地域の未来のために、できる限り多くの有権者は投票に出向くように期待する。しかし、一方に投票ができない、参政権が制限されている人々がいることも忘れてはならない。

だれに投票するかを決めるために参考にするのが選挙公報である。購読数の減少で新聞折り込みでの配布だけでは有権者に届かなくなり始めてから、選挙管理委員会はウェブサイトに選挙公報をアップするようになった。それでは、たとえば、世田谷区長選挙の選挙公報をPDFファイルとして保存後、読み上げ機能を起動してほしい。選挙管理委員会からの期日前投票に関するお知らせなどだけ読み上げて、候補者の公約については一切読み上げないことに気づくはずだ。これは、公約部分は候補者から提供された画像を加工することなく写真製版しているからだ。視覚によって情報を入手するのが困難な人々は、これでは公約を知ることができない。帰化したが、まだ日本語が流暢でない人が、公約を翻訳して理解しようとしても、翻訳ソフトは利用できない。

原因は公職選挙法にある。第169条第2項に「掲載文又はその写しを、原文のまま選挙公報に掲載しなければならない。」との規定があるため、選挙管理委員会が視覚障害者や帰化した人のためにテキストを抽出して情報を追加するのは、法律に違反するのだ。

画像PDFからテキストが取りだせないことに気づいていない選挙管理委員会は他にもある。たとえば中野区議会議員選挙の立候補者一覧は、わざわざプリントアウトしてからPDF化している。これでは、誰が立候補しているか読み上げられない。スマートフォンで閲覧すると、相当に拡大しないと読めないが、そのように拡大すると上下左右へのスクロールを強いられる。これでは、スマートフォンを主な情報入手源とする若者も困るだろう。

渋谷区選挙管理委員会は「投票所では車イスや点字器、老眼鏡などを用意しています。必要な場合は、投票所で申し出てください。」と親切に案内している。しかし、そもそも投票所まで車いすで出向いた有権者が投票所に入場できるかについては、どこにも説明がない。入り口に乗り越えられない段差があったら投票所までたどり着けないのだが。

こうして、視覚障害者・帰化した人・若者・車いす利用者などの参政権が制限されている。しかし、このような問題について公職選挙法を改正しようという動きはない。

一方で、障害者差別解消法が来年施行されることになっている。第7条に「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。」とある上、第2項で、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合には、除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならないと規定されている。参政権の制限という社会的障壁についても、来年以降は除去を求める意思が表明されることになるだろうが、それまで気づかないというのは恥ずかしいことだ。政治がすぐに動くことを期待する。