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独自視点で捉えると見えてくる京都のさらなる美しさ

2013年12月19日 15時29分 JST | 更新 2014年02月17日 19時12分 JST

京都に住んでいると、春や秋には他の地域の友人から、寺社仏閣を中心に案内を頼まれることがしばしばある。初めて京都を訪れる人は、やっぱり清水寺や金閣寺、南禅寺などを始めとする、いわゆる観光名所に行きたいと言う。

しかし京都に住んでいると、そういった観光名所とは別に、ひっそりとではあるが、時間を忘れて素晴らしい美しさを堪能できる場所がたくさんあることに気づく。

京都に来るのが数回目、という方には、そういった場所をご案内する。すると、ほとんどの方が今までと違う京都の魅力に気付いて帰っていく。

京都に住んで数年の僕ですらそうなのだから、生まれも育ちも京都の人たちは、そんな京都の素晴らしい場所をもっと知っていたりする。

京都に生まれ、京都に育ち、そして20年以上に渡って京都を撮り続けてきたフォトグラファーなら、なおさらである。そのフォトグラファーの名前は、中島光行さん。この中島さんが、完全に自分だけの視点で捉えた京都を発信するプロジェクト「三度目の京都」を開始しており、11月に第1弾となる写真集を自ら出版した。

それがこちらの「A PRIVATE KYOTO TRAVELOGUE」。

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第1弾の特集は、左京区にひっそりと佇む文人・石川丈山の山荘「詩仙堂」である。しかし、その内容は手にとって見てもらえれば分かるが、あくまで中島さんが好きな視点で見た詩仙堂の写真で構成されている。中には、「詩仙堂から見た京都の市街」の写真もある。

詩仙堂の説明はほぼ無し。詳細を知りたい人は、Googleに尋ねてみれば分かる時代(→ 詩仙堂 )だからこそ、良い意味で「優しくない」。

このように写真として捉える視点もそうだが、全体の構成も見事なまでに独自の視点で構成し、描写されているからこそ見えてくる詩仙堂の奥深く、美しい姿がそこにある。

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そして僕が知って思わず少し涙ぐんだエピソードがある。途中に、ダイアナ妃の写真が飾られている様子を撮影した写真が出てくる。これはダイアナ妃が詩仙堂を訪問した際に撮影された。

この写真を撮影したのが、同じくフォトグラファーとして活躍している、中島さんのお父さんなのである。

しかも、撮影時に幼少の中島さんは同行していたとか。当時はダイアナ妃見たさだったかもしれない。この父が撮った写真を、同じくフォトグラファーとなった中島さんが撮る。なんとも心があたたかくなるし、まさに独自視点の構成だからこその写真である。しかもそんな説明は、やはり一切書かれていない。

「こういった作品撮りのときは、いつもフィルムで撮る。

 一発勝負だからこそ、魂が入る。なにより、味が出る」

と中島さんは話す。もちろん、今回の「A PRIVATE KYOTO TRAVELOGUE」の写真も全てフィルム撮影である。

どこにいても、ネットを通じて多くの情報が容易に手に入れられる時代、そして誰でも情報が発信できる時代である。だからこそ、その場所にいて、独自の感性を持っている人の発信する価値がより高まっていくと思う。

東京と地方、海外と国内、グローバルとローカル、といった価値観ではなく、自らの価値観を信じ、発信していく。今はそれが容易に全世界に発信でき、伝播できる時代なのである。

僕は奈良に生まれ育ち、現在は京都で仕事をしている身である。その立場から見た京都の新たな胎動をこれからも発信していきたいと思う。