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消費増税見直しを決定する前に安倍内閣が検討すべきこと

2013年08月06日 18時06分 JST | 更新 2013年10月05日 18時12分 JST

消費増税は予定通り実行すべきであり、仮に見直しとなった場合のリスクについては、今問われているのはアベノミクス、「成長戦略」の確かな中身で説明した通りである。今後、自民党内部で協議が行われる訳だが波乱含みで結論は今の所見えて来ない。ハフポストに偶然、高橋洋一氏の「消費増税は国際公約」は本当か?を見つけて読んでみた。今後、こういったポピュリスト的発言が殆どの野党から連射され、一方、高橋氏の様な立ち位置の識者、論者から野党の提灯持ち的発言が出て来ると予想する。こういう展開になると、一旦は盲腸で外科手術止むなしと腹を括っていた国民も、薬で散らせるなら会社を休んで周りに迷惑をかけなくても良いしと迷う事になる。

安倍政権は何を危惧しているのか?

消費税の3%増税に伴う個人消費の落ち込みと3%の増税に伴う国民の窮乏化である。安倍政権誕生以降幸運にも恵まれ株価は大きく上昇し、世の中を覆っている気分は一変した。しかしながら、意に反して消費増税を理由に元の不景気に戻り、国民の窮乏化が明らかとなれば、安倍政権と共にあった将来への希望は剥落してしまう。併せて、内閣支持率も急落してしまう。

消費増税でも不況にならず、国民も窮乏化しない政策とは?

安倍政権は、今こそこのテーマを真剣に検討せねばならない。安倍政権の統治能力を試す試金石といっても良いだろう。結論をいえば、痛みを伴う「構造改革」の断行という事になる。経済成長とはイコール、システムとしての日本経済の生産性が上昇する事である。トヨタの様に日々「カイゼン」を積み重ねるのが勿論王道である。日米繊維交渉後の繊維産業の様に、一旦は産業規模の縮小とそれに伴う失業問題という痛みはあったが、労働者がより生産性の高い産業に移動し、結果成功したケースもあった。一方、経済成長路線一本槍では当然限界がある。国民の必要生活コストをどうやって引き下げるのか? も併せ検討すべきである。結論として、安倍政権は我慢出来る痛みの範囲で、最も効率の良い経済成長と国民の必要生活コスト引き下げを可能とする「構造改革」の可能性を探るべきという結論になる。

どの産業分野の構造改革が最も成果に直結するか? それは「農業」

トヨタ自動車の様に日々改善を繰り返している企業の生産性をこれから更に10%上げるのは至難の業である。一方、トヨタ自動車の対極にあるのが国内農業である。非常に質の高い農産物を効率的に生産する「プロ農家」と称される集団がある一方、補助金漬けになって家庭菜園に毛の生えた程度の農家まで本当に多様な層が存在する。とはいえ、「国内農業」で総括すれば極めて低い生産性に放置されたままに違いない。この事実を肯定的に捉えれば、「構造改革」により他の産業に比べ大きな成長が達成可能という結論となる。私は兵庫県内陸部の地方出身者なので良く分かるが、地方では農業は一産業と割り切れない所がある。農業や農業に寄生する農協は地域コミュニティそのものであり、そこに住む住民の生活に深く根を下ろしている。従って、経済合理性のみを判断理由とする拙速な改革は、地域の軋轢を生む可能性が高い。

一時的な痛みは大きいかも知れないので補助金などの鎮痛剤は必要となろう。しかしながら、日本の農業が中長期的に目指すべきは少し荒っぽいかも知れないが、戦後の農政の真逆で「Winner takes all」、生産性の高い勝ち組農業事業者が零細農家の農地を平和的に取り上げ、結果として農地を集約させ、そこに資本と労働力を集中投下する事である。露骨にいってしまえば、戦後進駐軍によって行われた農地改革の真逆を断行する訳である。これらが実現すれば、日本農業の生産性は製造業に追いつく可能性もあるのでは? 21世紀、日本の農業革命といっても良いのかも知れない。

TPP加盟を好機として食料輸入関税の撤廃を!

消費増税が実施される一方で、現役世代の年収や高齢者の年金が上がらねば、当然の結果として、国民は増税分だけ窮乏化してしまう。とはいえ、現役世代の年収は要素価格均等化圧力によって下がる事はあっても容易には上がらない。一方、財政再建が至上命題の安倍政権は年金給付額を下げる事はあっても上げる事などあり得ない。

TPP加盟を好機として食料輸入関税の撤廃を断行し、国民の必要生活費の低減を図るのが最も現実的な問題解決策ではないだろうか? 米(778%)、バター(360%)、砂糖(328%)、小麦(252%)などと滅茶苦茶に輸入税が高い。この高過ぎる輸入税を撤廃すれば食料品の価格が大幅に下がり、消費増税負担分を差し引いても御釣りが来るのではないか? その分国民は豊かになるという事である。当然、零細農家は破綻、退場し農地は勝ち組農家に吸収される事になる。

「聖域」と「国益」の滑稽

これからTPP交渉が佳境に入るに連れて農業は「聖域」であるとか、米を一粒たりとも入れないのが「国益」という連呼を聞く事になる。一体、何時、誰が、どの様な手続きを経て農業を「聖域」と決めたのか? 何故、米を一粒たりとも入れないのが「国益」なのか? 寧ろ、国民、一般消費者が、自由に、良い物を購入出来る事こそが国益ではないのか? 偽りの正義の仮面を被った既得権者の退場の場として、TPPは絶好の舞台なのかも知れない。