BLOG

消費増税決定後の次の一手とは?

2013年10月02日 00時47分 JST | 更新 2013年12月01日 19時12分 JST

昨日、安倍首相が消費増税を決定した事やその背景をBBCが簡潔であるがポイントを押さえて伝えている。時系列的に整理をすれば、午前中に発表された日銀短観が良い内容で、自民党、公明党幹部はそれを確認して最終調整を行った。更に、夕方閣議を開き安倍首相が半年後に消費税を5%から8%に上げる事を最終決定したという事だと思う。同時に5兆円の経済対策を打ち出したのは、更に半年後に8%から10%に増税をせねばならず、景気の腰折れを回避するためである。野党は、当然これでは財政回帰には繋がらないと批判する事になるだろうが、消費税を10%にまで上げる事は野田内閣時の国際公約であり、日本が国際的な信用を維持するためには守らねばならず、今の時点ではこの事を「手堅く、用意周到な施策」と理解すべきであろう。

今回の安倍内閣による消費増税決定が国際社会や国際金融市場に与えた影響は極めて大きいと思う。矢張り第一は、既に述べた様に日本は消費増税の様な国民に痛みを与える施策であっても、一旦約束した事は必ず実行するという事を全世界に示せた事である。今一つは、今回の消費増税に対し多くの国民の支持があった事である。日本国民は自国の債務問題を理解しており、次世代に対し禍根を残さぬ様、痛みを受け入れる事を決断したのである。全世界がこの事を称賛するのは当然だし、2020年のオリンピック開催を東京に決めたIOCメンバーも、日本なら間違いなくオリンピックを成功させてくれると改めて確信したに違いない。消費増税は一先ず良い形で決着した。しかしながら、民主党政権の3年間で日本が守るべき多くの大事なものが毀損した。従って、安倍政権が直面する課題はまだまだ多く、年末に向け気を緩める事なく迅速に処理し続ける必要がある。

■安倍首相は何故法人減税に拘るのか?

安倍首相が法人減税に拘っている事を奇妙に感じている国民も多いと思う。自民党税調は財務省の意向もあり、勿論法人減税には慎重である。もっと露骨にいえば否定的といっても良いのかも知れない。しかしながら、安倍首相は従来の自民党の様に自民党税調を聖域化する事なく法人減税に舵を切ろうとしている。参照したBBC記事のこの部分を読めば安倍首相の意図が理解出来るのではないだろうか? 「Policymakers have argued that the hike is key to reducing Japan's public debt - which now stands as around 230% of its gross domestic product (GDP)」。公的債務額の問題の度合いはGDPとの対比で語られる事が多い。従って、消費増税により債務削減に舵を切ると同時にGDPを増やす様配慮したと理解出来る。経済の主役は飽く迄民間企業であり、安倍政権は民間企業への支援を強化するという安倍首相の強い決意が感じられる。それでは、法人減税以外の安倍政権が打つべき「次の一手」とは一体何だろうか?

■望まれる「社会保障と税の一体改革」への原点回帰

消費増税が決定した現在改めて確認すべきは、これは飽く迄債務問題解決のための手段に過ぎないという事実である。増税で増えた歳入を無駄使いする様な展開では話にならない。国民から、広く、薄く徴収した税を特定の既得権益者にばら撒いたとなれば、安倍首相のこれまでの人気は一気に離散する事になる。平成25年度一般会計歳入歳出暫定予算概算を見る限り社会保障費は突出しており、消費増税が決定した今こそ、手厚過ぎる高齢者への歳出に切り込み、社会保障費全体の削減に向け舵を切るべきである。

■急ぐべきは「行政改革」と「公務員改革」

社会保障費に次いで歳出が大きいのは地方交付税交付金である。消費増税は何も地方公務員の将来に渡る安泰な生活を保障するために決めた訳ではない。従って、安倍内閣はこの課題に急ぎ取組み、方向性だけでも年内に決めるべきと思う。私は、元々はこの部分の改革については橋下大阪市長に期待していた。しかしながら、橋下徹氏は既に「オワコン」なのか?で説明した様に「脱原発」から始まって随分と脱線してしまい、最早橋下氏に多くを期待するのは難しいと考えている。従って、現実的には安倍首相のリーダーシップに期待するしかないのではないか?

■TPP加盟を契機に米価を画期的に下げてみては?

消費増税に大義があるのは事実である。しかしながら、国民の家計を直撃する事になるのは確実であり、エンゲル係数の高い貧困層程受けるダメージは大きい。ついては、TPP加盟を契機に米価を画期的に下げてみてはどうだろうか? 

2013-10-02-yamaguchisan.png

上のグラフが示す様に国民一人当りの米の消費量は昭和30年代から一貫して下がり続けている。監督官庁である農水省は「食の多様化」などと木で鼻を括った様な説明をするかもしれないが、原因は高過ぎる米価にあるのは確実である。売れないから米価を高くしないと稲作農家がやって行けない。そうすると、比較的安価なパンや麺類を食べる事になって米の需要が更に減る。米農家は典型的なデフレスパイラルに陥っており、抜本的な改革が必要な事は明らかである。

農協新聞のTPPで1俵2200円の米がやってくるが実に興味深い。農協自らが日本の米価はベトナムの約10倍である事を認めているからである。米作農家への補償は別途考えるとして、米の輸入を自由化する事で一般家庭の食費は随分と軽減され、消費増税分を負担しても御釣りが来るのではないのか? それに、米農家については最早抜本改革する段階に来ている様に思う。日本が今世紀も繁栄を続けたいのであれば、ベトナムが近代化のために必要とする「新幹線」や「原子力発電所」を輸出し、代って日本の十分の一の価格に過ぎない米を輸入する様な発想の転換が必要だと思う。TPPはその決断に向け背中を押してくれる良い機会になるはずである。

■NHKの放送契約を「強制」から「随意契約」に変更しては?

NHKに拘わる問題については以前、パナソニック、新型テレビ「スマートビエラ」が問いかけたのは「ネット時代の公共放送のあり方」で指摘している。戦後の様に国民に取って情報源が極めて限られた時代であれば兎も角、現在の様なメディアが百花繚乱ともいえる時代にNHKとの放送契約を義務付けるというのは既得権益擁護以外の何物でもない。そもそも、自宅のリビングにテレビがあるからといってNHKを視聴しているとは限らない。国民は今回消費増税を負担するのであるから、その見返りとしてNHKを視聴しない自由を認めるべきと考える。これによって多くの国民がNHKに対する月額料金の支払いが不要となる。現在デジタル放送はB-CASシステムを導入しており、スカパーやWOWOW同様、放送契約を締結した視聴者にのみスクランブルを解除し、課金すれば良いだけの話であり、特にNHKとしてこのための技術開発や高額な追加投資が必要とは思えない。

■民放優遇はやめるべき

たった3%に過ぎない消費増税がこんなにも難事業であったのは何故だろうか? 私は、その根底にあるのは国民の間に広まっている、税の「徴収」と「受益者」に拘わる不信感だと思っている。露骨にいえば、税は取り易い所から徴収し、特定の「既得権者」のために使われているという認識である。従って、安倍首相が長期政権を望むのであれば、当然の事ながらこれを目に見える形で払拭せねばならない。私は民放が「既得権者」の代表例と考えている。従って、この業界にメスを入れる事は極めて有意義と考えるのである。

最近、人気タレントである、みのもんた氏の二男が引き起こした事件が世の中を騒がせた。しかしながら、私はこんなちゃちな窃盗事件よりも、みのもんた氏の長男がTBS、次男が日テレという具合に、参入障壁が極めて高いといわれる地上波キー局に勤務している事に驚いてしまった。TBSに勤務する長男が如何なる人物か知る由もないが、次男については今回の事件から判断して間違いなく「コネ入社」に違いない。民放は「コネ入社」が多いといわれているが、今回も恐らくその一端なのであろう。

私は何も「コネ入社」が一律悪いといっている訳ではない。しかしながら、ネット排除に狂奔するテレビ局に未来はあるのか?で説明した通り、民放は本来もっと遥かに高額な電波利用料を払うべき所それを免除され、一方、本来民放のインフラ整備に過ぎない伝送路整備のために国費(税)が使われている。「テレビ局は国民の共有財産である「電波帯域」の割当てを受け、サービスを行っている認可事業である。問題は電波利用料の負担が携帯キャリアー各社の一割程度と極端に優遇されている事実である。テレビ局の利益の源泉といっても過言ではない。更には、地デジ推進の名目で「アナアナ変換」と称し私企業のインフラに過ぎない伝送路の整備に1,800億円の国費が投入されている。これ以外にも難視聴対策他の名目で2,000億円超の国費が使われた筈である。国民の血税が使われる以上、応分の国益への貢献が求められるのは当然である」。

ここまで優遇されれば民放が儲かるのは至極当然であり、結果、社員に対し高い年俸の支払いが可能となる。そして、当然の結果として「コネ採用」の温床となる訳である。安倍政権はせめて民放から携帯キャリアー並みの電波利用料を徴収すべきである。そして、アナアナ変換の如き私企業のインフラ整備に二度と国費を投入してはならない。至れり尽くせりともいえる国からの支援がなくなれば、民放も経営努力をしなければならなくなる。当然、採用に関しても「コネ採用」は止めて役に立つか否かの「人物評価」の結果が重視されるはずである。強調したいのは消費増税を決めたからには不公平なシステムにメスを入れろという事である。

消費増税決定後の次の一手を考えれば考える程、候補となる対象が浮かんで来る。しかしながら、際限がないので一旦ここまでとしたい。そして、勝手なお願いで恐縮だが、読者の皆さんには思考トレーニングも含めて続きを考えて戴きたい。