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安倍首相の靖国神社参拝について

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昨日、安倍首相が靖国神社を参拝した。このニュースはBBCも直ぐに一面トップで全世界に伝え、その後も先程までずっと一面トップに張り付いていた。この事は、取りも直さず安倍首相の靖国神社参拝が全世界に与えたインパクトの大きさを物語っている。一方、これに対しアメリカを含め関係する国々の反応は実に早かった。

■ アメリカの本音とは?

アメリカの本音を理解する鍵は、安倍首相の靖国神社参拝直後に公表されたアメリカ大使館のプレスリリースのタイミングと中身、そしてこれ以上アメリカとしての対日アクションがあるや?なしや?という事だと思っている。先ず、タイミングであるが異常に早かった。BBCの報道も早かったが、多分同じタイミングで安倍首相の靖国神社参拝直後であった。アメリカ大使館からのリリースとはいえ、アメリカ政府としての公式見解の発表であり事前に準備していたのは明らかである。その末尾に靖国神社参拝後に行われた談話内容も参照されている。

We take note of the Prime Minister's expression of remorse for the past and his reaffirmation of Japan's commitment to peace.

日本政府が少なくとも事前に首相談話内容をアメリカ政府に伝えていた事は確実である。私は、内容についても日米で事前に協議したのではないかと考えている。仮に私の見立てが正しければ、アメリカ政府は安倍首相の靖国神社参拝を容認(少なくとも黙認)した上で、中国、韓国の顔を立てるため「日本には失望した」という異例の表現を用いたと推測される。

Japan is a valued ally and friend. Nevertheless, the United States is disappointed that Japan's leadership has taken an action that will exacerbate tensions with Japan's neighbors.

アメリカの狙いは、日本が太平洋を挟んでアメリカと対峙し、拳で決着を付けようとして第二次世界大戦を引き起こした過去に対し安倍首相が反省の言葉を述べる事。そして、引き続き世界の平和と安定のために努力を惜しまない決意表明の再確認であったと思う。今回首相談話でそれがなされた以上、これ以上安倍首相の靖国神社参拝を追及する事はないと思う。後述するが日米には地球レベルで対処しなければならない問題が山積しているからである。

■ アメリカは日本を必要としている

アメリカは以前に比べ力が幾分衰えたとはいえ、今尚世界で唯一の超大国である。そして、世界の平和と安定の維持に責任を負っていると感じている唯一の国でもある。こんなアメリカが世界中で様々な危険が顕在化する状況下、頼りになるパートナーを求めるのもまた当然の結果といえる。

アフリカでは南スーダンの状況が著しく重篤化している。敵対する部族の大量殺戮の様な惨劇が起こるのは目前の状況である。中東状況もちっとも改善しない。シリアでは化学兵器の使用は禁止されたものの、相変わらず通常兵器を使用した内戦は継続している。そして、イランがシリア政府を支援し、一方、サウジは実態がイスラム過激派である反政府組織への援助を止めようとはしない。イランとサウジの関係は最悪の状況になっていると思う。

アラブの春以降、アメリカの同盟国エジプトの政府が機能不全に陥り、アメリカの中東戦略はトルコを基軸に展開して来た。アメリカが頼みとするトルコであるがエルドアン政権を震撼させる汚職事件に揺れている。閣僚20人の内10人を更迭というのは尋常ではない。仮に、トルコ政府がエジプトの様に液状化する展開となれば、アメリカは中東政策の根本的な見直しを迫られる事になる。何と言ってもイスラエルはチャンスがあればイランの核施設を空爆したいと願っており、アメリカとしては気が抜けない。

最後に北東アジアに話を戻す。この地域の危険因子は、何といっても何をするか分らない北朝鮮の存在である。この国は金日成による統治下の時代よりずっと「テロ国家」、「無法者国家」であり、日本が真面に付き合える国でもなければ、付き合ってメリットのある国でもない。そして、3代目の金正恩は最近叔父の張成沢を処刑した。極めて冷酷で残忍な人物の様である。問題は、この残忍さが早晩日本を含む近隣諸国に対し向けられる事である。こういう状況下にも拘わらず、アメリカに取って韓国の朴大統領は全くといって良い程あてにならない。

■ 中国

中国は、長い間重篤化した中国国内問題から国民の眼を逸らすための手段として「靖国」を利用して来た。「靖国」と中国の「国内問題」はコインとの裏表の関係にあるという事である。中国の「国内問題」は悪くなる一方で、解決の目途は全く立っていない。中国共産党の存在そのものが中国「国内問題」の原因であるから当然の結果ともいえる。そういう構図からすれば、今回の安倍首相の靖国神社参拝は「中国の「国内問題」を「靖国」と切り離し処理すべき」と、身を以て提案したという事であろう。

偶然かも知れないが、昨日は毛沢東の生誕120年の記念日であった。今更いうまでもないが、中国は「権力は銃口から生まれる」を党是とする「共産党」が一党支配する独裁国家であり、民主主義国家などではない。共産党や国営企業幹部への汚職の蔓延。貧富の差の拡大。経済の低迷に伴う失業他、国民は今の体制に不満を募らせている。
一方、中国共産党が権力の座に座り続ける正当性といえば、今となっては本来中華民国の手柄ともいえるが、抗日戦線を戦い抜き、勝利し、最終的には戦勝国の一員となったという歴史的事実であろう。中国共産党が権威を維持するためには、こういう歴史的背景があるから、未だに毛沢東を崇拝し、徹底した反日教育を行い、安倍首相の靖国神社参拝を痛烈に批判しなければならない。そうしなければ彼らによって反日教育を受けさせられた現役世代が、日本に対し手緩いと不満を持ち、共産党政権から離反してしまうからである。
中国政府は今回もまた暴徒を動員して反日暴動を起こすのであろうか? 仮にそういう事を企画したら、今回はウイグル系中国人が混乱に乗じて「テロ活動」を起こすのではないかと想像する。従って、中国共産党に取ってこのカードは諸刃の剣という事になる。かといって何もやらず、指を咥え傍観していては反日教育を受けた一般国民が黙ってはいない。今回の安倍首相の靖国神社参拝は中国共産党に取って急所の一撃であった気がする。

■ 韓国

中国以上に韓国、朴政権が受けた打撃は大きかったと推測する。朴大統領は大統領に就任以降只管日本を誹謗中傷し、過去の歴史に向き合わない国に将来はないなどと上から目線で説教を垂れて来た。しかしながら、こうもあっさりと安倍首相に靖国神社参拝をされてしまっては、韓国の対日外交完全敗北という事になりはしないか?

それでなくても国民の大統領支持率は下がり続け、近い将来不支持率が支持率を上回る展開は確実な状況である。一方、韓国鉄道公社の労組ストライキは長期化する様相を呈して来た。<鉄道スト>冬過ごす石炭も、日雇い雇用も...庶民の生活止まる=韓国との事だが、韓国鉄道公社の様な社会の大動脈が停滞すれば、韓国社会は滅茶苦茶になってしまう。それでなくても停滞している韓国経済にボディーブローの様に効いて来る事は確実である。韓国社会の混乱が経済の停滞を誘発し、結果、朴大統領の支持率が低下するという、「デフレスパイラルの罠」に韓国は陥った様である。

アメリカ、FRBは既に金融緩和の縮小を発表した。これを受け、今後韓国市場に投資された資金はアメリカに帰って行く事になる。長期化する韓国鉄道公社の労組ストライキが象徴する韓国社会の混乱や韓国経済の停滞は投機筋に狙い撃ちにされる格好の材料となってしまう、韓国通貨ウォンが売り浴びせられる展開である。韓国に取って、これを未然に回避する最良の施策は日本との「通貨スワップ」の締結であり、日韓財務相会談を開催と韓国紙が報道 来年1月開催と、と聞いている。韓国財務省関連喫緊課題といえば「通貨危機対応」であろうから、本来であれば日韓通貨スワップ協定の再開が議論されるところである。

しかしながら、何分韓国の事であるから安倍首相の靖国神社参拝を理由に日韓財務相会談の延期を言い出すかも知れない。そういった展開になれば増々朴大統領の支持率は低下する事になるだろう。今回、仮にアメリカが安倍首相の靖国神社参拝を容認していたのなら、当然この展開は事前に予想しているはずである。そう考えれば、アメリカは既に朴大統領には匙を投げているのかも知れない。

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68回目の8月15日 靖国神社の様子
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