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アデルの新作「25」がもたらした衝撃

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イギリス人女性シンガー、アデルの新作「25」の米国での初週アルバム売上が、米音楽データを集計するBillboardによって明らかになりました。11月20日のリリースから7日間でトータル338万ユニットが購入されたモンスター級のアルバムが生まれました。これは米国で音楽購入データを取り扱うNielsen Musicが集計を始めた1991年以降では最大の初週売上記録となりました。

「25」はまた1991年以降で初週に300万ユニットに到達した初めてのアルバムとなりました。

これまで米国での初週売上記録は、ジャスティン・ティンバーレイクがかつて所属していたことで知られるボーイバンド、イン・シンクの「No Strings Attached」が2000年に記録した242万ユニットが最高でした。

アデルの記録はイン・シンクを100万ユニット規模で上回る、米国で史上最も成功したアルバムリリースと言えます。イン・シンクの記録以降で初週売上が200万枚を超えたアーティストは存在しませんでした。

最近最も売上を伸ばしたアルバムの一つ、テイラー・スウィフトが2014年10月にリリースした「1989」は、初週129万ユニットの売上でした。

定額制音楽配信と「25」

アデルと「25」をリリースしたインディーズレーベル「XL Recordings」は、今作をSpotifyやApple Musicなど定額制音楽配信サービスでは配信しないという販売戦略を取りました。その代わりに「25」はCDとデジタルダウンロード、アナログレコードでの販売を行っています。アデルのチームは「21」もリリースと同時にはSpotifyで配信せず、一定期間後から配信する「ウィンドウ」戦略を実施してきたことから、今回も同じく配信のタイミングを遅らせると予想されています。

ちなみにこの記事ではアデルの「25」はCDなどのフィジカルの売上と、デジタルダウンロードを合算した数字で、単位を「ユニット」(「枚」の代わりに)で表記しています。

CDやダウンロードが不況と言われるこの時代に世界中が注目していた「25」は、その期待を裏切らなかっただけでなく、期待を大きく超える人気と需要があることをわずか7日間で証明して見せたことになります。「25」はアデルの母国イギリスでも80万ユニットを売上げ、オアシスが保持していた過去最高の記録を18年ぶりに更新しています。

アデルの前作「21」は米国でこれまで1120万ユニットを売り上げるメガヒット作で、アルバム売上の歴代10位に位置しています。

アデルのヒットの裏側には、音楽を所有したいほど、音楽を作るクリエイターへの敬愛表現が存在しているといっても過言ではないでしょう。良い作品、待ち焦がれていた作品、尊敬するアーティスト、話題作への関心など、音楽好きのさまざまな思いがこの「25」で一つに統合した、かつては存在していましたが、現在では非常にレアなケースと言えます。作品のクオリティが高いだけでなく、アデルのアーティスト性の高さも際立つ今作は、聴く人に音楽作品を大切にしたい想いを再認識させている気がします。

そしてこれからクリスマスの時期を迎える中でアデルのアルバムを買うためにiTunesストアやレコードストアに向かう人はもっと増えつづけるでしょう。その行動は本来、音楽をどう楽しみ、どう長く楽しむかといったこの数年で多様化し複雑化した「音楽との向き合い方」の価値概念を改めて考えるサインとして大切にしていくべきだと感じます。

ソース
Adele's '25' Official First Week U.S. Sales: 3.38 Million(Billboard)
image by Franklin Heijnen via Flickr

(2015年11月29日「デジタル音楽ブログ All Digital Music」より転載)

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