ブログ

ハフポストの言論空間を作るブロガーより、新しい視点とリアルタイムの分析をお届けします

日本政策学校 Headshot

地域共助サービスの作り方、広げ方

投稿日: 更新:
印刷

「編み物が得意なので、あなたのバッグや帽子編みます」
「押入れにしまい込んでいるギターの弦を張り替えて1曲演奏をします」―。

そんな個人のできること、やりたいことを地域で求める人と繋ぐサービスを地域活性化に取り組む合同会社たまプラ・コネクト(横浜市)とシャープ(本社・大阪市)が協力して企画・開発を進め、横浜市でトライアルを始めました。

開始に向けて2016年1月16日に市内で行った実験では、22個の提案のうち、20個のマッチングが成立しました。


■できること、やりたいことが地域の人の役に立つサービス「たまコネ」

サービスの名前は「たまコネ」。

東急田園都市線のたまプラーザ駅周辺に住む人たちをコネクトする(繋げる)ことからこの名前がつきました。

調査によると、この地域では近年、多くの人が地域のコミュニケーションが少ないと感じながら、約6割の人が「地域でいろいろな人と交流する機会があればよい」と答え、その中で特に「自分の趣味」や「学びたいことや知りたいこと」の機会があればよいと思っています。

これまでのマッチングサービスや家事代行サービスでは、サービスの受け手側が自分の困っていること、やってほしいことをお願いする仕組みでしたが、今回のたまコネは、いわば「スキルの百貨店」。店に並ぶ「スキル」を受け手側が欲しいものを選ぶという仕組み。

たまプラ・コネクトの藤本孝さん(61)は『住民のできること、やりたいことから発想し、それが結果として地域の人の役に立ったらいい』と話します。


■地域と企業との協創から生まれた

「たまコネ」はスマートフォンアプリと電話を使ったマッチングのシステム。

たまプラ・コネクトの持つ地域との繋がりを活かし、シャープがSHARP CLOUD LABSという取り組み の中で、クラウドの技術を用いて開発しました。

このシステム、企画当初にシャープで考えていたのは買い物の代行や電球の交換、重い荷物を運ぶお手伝いなど、課題を解決する内容で、たまプラ・コネクトと一緒に検討を進めていく中で企画を現在の内容に修正。

『課題解決から生まれるのは義務感。これだと助ける側が続かなくなる。』

一緒にやったからこそわかった発想でした。

一方で地域の中にはスキルを持っている人が沢山いるが活用できる機会がない、いることに気づかれずにいる。ということもわかり、本当に求められていることが見えてきました。


■実験を経てできたカタチ

実験で出品されたのは、「ポートレート撮影します(1回3000円)」や「ミシンで何でも作ります(60分2000円)」など。

会場となったコミュニティカフェには提供者のスキルが書かれた紙が並び、来場者は会場を巡り好きなスキルを選びます。

来場者からは「またやってほしい」「次は私も出したい」という声が上がり、手ごたえを感じました。

「子どもたちのために作っているお弁当をあと2つくらい作られるので、おすそ分けします(1個500円)」というスキルを提供した大学生の子どもがいる主婦の林月子さん(52)は「主婦の私が当たり前にやってきたことだからこそ、それを求めてくれて自信が持てた。」と期待しています。

2016-03-11-1457718306-6756126-eg.jpg
実験での出品物一例(ご本人から許可を得ています)
(コミュニティカフェと連携して提供されるお弁当のおすそ分け)

このようにして動き出した「たまコネ」の特徴は
 ・個人の様々なスキルを登録し、それを求めている人とマッチングします。
 ・不特定多数ではなく特定多数の参加者により、地域限定で実施されるので安心して利用できます。
 ・依頼は運営者に電話するなど、スマートフォンやPCを使えない人でも利用できるほか、リアルな場所を使った参加者のサポートなど、デジタルでのマッチングだけでなく、アナログの要素を残します。スキルも実際に会って提供します。

2016-03-11-1457718142-7103131-eg2.jpg
地域共助のサービス「たまコネ」の概要


■広げるのは企業の役割

私はたまコネをこの地域だけで行うのはもったいないと感じ、各地に展開したいと思いました。

地元の人材を活用しようということは多くの地域で抱える共通の課題で、この「点」の活動を「面」に広げていくためには、取り組みの費用対効果を上げ、活動を持続可能な仕組みにしていくことが必要です。

これを技術やノウハウを他に展開していく仕組みや、全国のチャネルやサービス網等を既に持っている企業が行うことで、個々に導入・運営するコストを下げ、導入する側の負担が減らせます。

広げることで企業も社会に対して貢献しながら継続した事業にでき、そのような取り組みがこれからの企業に求められる役割になると考えます。

地方創生が重要視される時代に、都会に出なくても活躍でき、それが身近なところで求められる。そして新しい関係が生まれる。そんな社会にしていきたいと思います。

自分のできること、やりたいことを地域で提供してみたいと思いませんか?
好きなこと、やってみたいことを地域で依頼してみたいと思いませんか?
そして、地域にそんな人と人との繋がりを産むサービスを作ってみたくないですか?

【リンク】
(※)たまプラ・コネクト 地域共助サービス「たまコネ」
   http://tama-pla.net/tamaconne
(※)横浜市/東急電鉄 「次世代郊外まちづくり」モデル地区アンケート調査結果報告
   http://jisedaikogai.jp/news/186/
(※)シャープ SHARP CLOUD LABS
   https://portal.cloudlabs.sharp.co.jp/

 

編者:岸本 泰之(きしもと やすゆき)
日本政策学校 第6期生
シャープ株式会社
東京農工大学大学院修了、京都造形芸術大学卒業。
半導体の設計、国内外向けの液晶テレビの開発からソーラー応用商品のマーケティングリサーチ、異業種企業とのアライアンスまで業種、職種の枠を超えた業務を経験。
サラリーマンでも自分の住む社会にインパクトを与えられる可能性を信じ自己研鑽に励んでいる。

他のサイトの関連記事

地域包括ケアシステムの5つの構成要素と「自助・互助・共助・公助」

「高齢・過疎地域」における 共助力アップ支援事業〈横手モデル〉 - 内閣府

人口が増え続ける「日本一小さな村・舟橋村」には、"日本一子どもに優しい図書館"があった