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『バルフィ! 人生に唄えば』― 次なるインド!/宿輪純一のシネマ経済学(54)

2014年08月11日 22時25分 JST | 更新 2014年10月11日 18時12分 JST

 今回はインド映画! 映画の製造本数で、アメリカを抜いて1番の国である。映画はインドの地方ごとに4つの流派があるが、映画の都ボンベイ(現在のムンバイ)はハリウッドをもじって、ボリウッドと呼ばれる。伝統的なインド映画の特徴は、身分の低い男が大活躍し、女性にもてるというものが多い。しかも、突然の歌と踊りは必須である。インドの映画関係者に「なぜ突然、歌と踊りが始まるのか」と聞くと、「それが映画だし、楽しければいいじゃん」とのことであった。

 今回は、やや現代的なインド映画。しかも、インドで数々の映画賞に輝いた、少し泣かせるヒューマンドラマ。耳と言語が不自由な二重苦で、でも明るい青年との出会いによって、人生を楽しくしていく2人の女性の姿を描く。歌や踊りはもちろん、『雨に唄えば』『アメリ』というような名作へのオマージュをふんだんに取り入れ、映画ファンにはたまらない。 

 主人公バルフィはランビール・カプールが演じ、女性の一人は、綺麗だと思ったら、なんとミス・ワールド2000のプリヤンカー・チョープラ!

 バルフィは、悲しいことに生まれたときから耳が聞こえないことで会話ができなかった。目の動きと身振り手振りで感情を表現し、持ち前の明るさで街中の人気者となっていた。さて、資産家との愛のない結婚に悩むシュルティ(イリアナ・デクルーズ)はバルフィをすきだった。さらに、愛情のない家族に育ったジルミル(プリヤンカー・チョープラ)も、バルフィに心を開き、次第に好きになっていく・・・・。

 世界三大登山鉄道のダージリン鉄道も登場するなど、インドの風景も楽しめる。筆者もインドに行ったが、まさにこんな感じで、好きである。

 さて、インドは日本人には意外なことが多いが、経済成長のポテンシャルを強く感じる。まず、日本の地図に一般的なメルカトル図法では赤道当たりの国は小さく見え、両極の国々は大きく見え、インドの大きさは分かりにくい。しかし、ヨーロッパとほぼ同じ大きさなのである。しかも、ヨーロッパは約5億人であるが、インドは12.5億人もいる。人口密度はなんと日本と同じなのである。インドの町では、インド映画でもそうであるが、いつも大混雑である。しかも、人口増加が著しく、将来一人っ子政策を採用する中国を抜いて、人口世界一になろう。しかも、社会は現在(この連載でも書いたが)高度成長期なのである。

 インドの経済成長には課題もある。お札には公用語として15の言語が印刷されていることかわかるように、地方ごとに特徴がのこっており、いろいろ障害となっている。これはまだ地元のみで経済がなりたっていることの証であるが、海外との取引には向いていない。そのため、今後、開国というか、外資の進出の期待も高まっている。

 さらにインドは教育、特に理系(IT)に対する注力が著しく、筆者の周りでもそうであるが、いまや世界中のITの責任者でインド人が多くなっている。学費も安い。学費が高い、大学、とくに私立・理系の学費が非常に高い日本とは大違いである。(これも日本の理系力が上がらない原因の一つではないか)

 次の世界経済のエンジンはインドになりそうな気がする。ちなみに筆者はインドの象徴でもあるカレーも大好きであり、こちらにもポテンシャルを感じるが。

「宿輪ゼミ」

経済学博士・エコノミスト・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・映画評論家の宿輪先生が2006年4月から行っているボランティア公開講義。その始まりは東京大学大学院の学生さんがもっと講義を聞きたいとして始めたもの。どなたでも参加でき、分かり易い講義は好評。「日本経済新聞」や「アエラ」の記事にも。この2014年4月2日の第155回のゼミで"9年目"に突入しました。

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