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『NY心霊捜査官』― 知らない方がいいこと /宿輪純一のシネマ経済学(58)

2014年09月17日 23時55分 JST | 更新 2014年11月17日 19時12分 JST

(2014年/Deliver Us From Evil)

"霊感"がある刑事がその特殊能力を使って、邪悪な存在が起こしてきた怪しい事件を解決していく挑むオカルト、スプラッター、そしてサイコ・サスペンス・ホラー。なんと「実話」で、「R18+」(18歳以上しか見れない)指定が怖さ際どさの証明となっている。

ニューヨーク市警の元巡査部長のラルフ・サーキの実体験をつづった手記(『エクソシスト・コップ―NY心霊事件ファイル』/『Deliver Us from Evil: A New York City Cop Investigates the Supernatural』)をベースにして、『アルマゲドン』『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどのヒットメーカーのジェリー・ブラッカイマーが製作。オカルトが得意の『エミリー・ローズ』などのスコット・デリクソン監督が映画化。主人公には『トロイ』などのエリック・バナ。彼はブラッカイマーとは『ブラックホークダウン』で組んでおり、演技も光る。

ニューヨーク市警のラルフ(エリック・バナ)は、動物園で子どもをライオンの檻に投げた女を逮捕する。また、夜、妻に暴力をふるった男を逮捕する。このような不可解な複数の事件の捜査を通し、彼は自分にしか見えない、自分にしか聞こえない"何か"の存在を感じ始める。事件が"悪霊"の仕業であると気付いたとき、ラルフの家族にも魔の手が迫っていく。実話ならではの説得性があり、「知らない方がいいこと」を知らされることになる。

この主人公の巡査部長は心霊能力をもっているが、そこまでいかなくても、読者の皆さんもなにかピンとくることがあるのではないか。その"勘"は大事な人間の能力ではないかと考えている。特に仕事においての"勘"は重要である。

心霊的な能力はさておき、仕事においてはピンとくることがある。しかし、それは他の人に教えたり、伝えたりすることが難しい。しかも、それは優秀な技術者や経営者の話によく出てくる。スポーツの分野でもそうである。頭の固い人には"勘"の議論は向かない。もちろん、いい加減な"山勘"は困る。

いわゆる"勘"とは「無意識の部分に蓄積された、経験から得られた能力」ではないかと考えている。物事を判断するということは非常に大事なことである。8割の情報を知って判断することはできる人は多い、しかし、2割の情報で早く判断できる人こそ成功する人ではないか。それはまさに"勘"によるものではないか。しかも、経験を積んでいくことによって、その能力は磨かれていく。判断・決断を避ける人はその能力は強化されない。最近、その"勘"を分析し、学問的に理論化しようとする試みも行われている。筆者もいい意味で"勘"というものを評価している。しかし、他の人に説明するのはなかなかに難しい。

繰り返しになるが、怖いものがお好きな方には「怖いものの五目」であり十分堪能できると思う。怖いものが嫌いな方にはお薦めしない。まさに、知らない方がいいことである。

「宿輪ゼミ」

経済学博士・エコノミスト・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・映画評論家の宿輪先生が2006年4月から行っているボランティア公開講義。その始まりは東京大学大学院の学生さんがもっと講義を聞きたいとして始めたもの。どなたでも参加でき、分かり易い講義は好評。「日本経済新聞」や「アエラ」の記事にも。この2014年4月2日の第155回のゼミで"9年目"に突入しました。

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