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テレビは限界なのか? 変化するメディア環境とイノベーション戦略

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先週末に「『テレビ・イノベーション』~テレビの歴史が変わる日~」というメディア・シンポジウムに参加してきました。普段はウェブメディア編集者ということもあり、テレビ業界のことはほとんど知らないので、勉強も兼ねてといったところでした。

この記事では、TBSメディア総合研究所社長の氏家夏彦氏のプレゼンで述べられていたことをいくつか紹介したいと思います。

■広告費、視聴率、視聴時間が低下するテレビ

一番印象的だったのは「放送局からメディアサービス企業へ」という転換が求められているということ。これはテレビのみならず、ウェブメディアにおけるプラティッシャーやテクノロジードリブンの重要性の議論とも通じるところでした。

「テレビの限界」として挙げられたデータは、テレビの広告費がリーマンショックの影響で3200億円減となっている一方で、2005年以降のインターネット広告費が2.5倍となっていること。また、いわゆる「テレビ離れ」として、視聴率低下、テレビのリアルタイム視聴時間の低下も紹介されました。

さらには、スマホの普及もテレビ業界に影響を与えているとのこと。20代は9割、30代は8割近い人がスマホを所有する中で、SNSやゲームなどとの時間を取り合う戦いとなっているのです。

競合がごく少数で、テレビの壁に守られてきた地上波テレビ。その枠組みの中にとどまっていては、なかなか成長の余地がなく、一方で、ニコニコ動画やYoutubeなどテレビの外では動画(市場)が成長しています。

■テレビのイノベーション、4つのキーワード

そんななかテレビ業界のイノベーションを考える際のキーワードはどのようなものなのでしょうか。

氏家氏は、(1)視聴者はユーザーになった、(2)テレビはサービスだ、(3)巨大なトラフィック誘導、(4)テレビのビッグデータという4点を紹介しました。

「(1)視聴者はユーザーになった」に関しては、ユーザーというものは「いつでもどこでも検索して、ソーシャルメディアで知ったり発信したり、高度なUIで動画を楽しめる」ことが当たり前だと思っている。たとえば前述のニコニコ動画やYoutubeとテレビを(ほとんど)一緒だと思っていると述べました。

「(2)テレビはサービスだ」については、テレビ放送がはじまってから60年間、サービスの基本形(視聴者が自宅にいて、その時にだけ見られる)を変えていないことで、「不便で時代遅れのサービス」になっていると紹介。

そのため、リアルタイム視聴の促進や録画視聴(全局全番組見逃し視聴サービスの実現に向けて注力しているとのこと)なども考えなくてはなりません。しかしながら、このような視聴スタイルが広がっていくことは、地上波テレビのビジネスモデルが崩壊することも意味するのです。

「(3)巨大なトラフィック誘導」については、インターネット上のテレビに関する情報を「全局全番組見逃し視聴サービス」でトラフィックを促すことで、テレビ回帰できるのではないかと氏家氏は提言。番組の特定のシーンを探すことができたり、新しい視聴スタイルを生み出すことができるきっかけにはなりそうです。

「(4)テレビのビッグデータ」に関しては、テレビのメタデータとユーザーのログデータの2つがあり、前者では企業のマーケティングや販促に使ってもらい、CM以外でマネタイズの可能性を摸索し、後者においては、どんな人がどんな番組をいつ見たのか、どこで見るのをやめたのか、ユーザーの行動をすべて分析し、ECなどとコラボして、購買データともシナジー生めるのではないかと紹介しました。

このようにして、テレビの視聴行動と消費行動の関連性が可視化されることで、テレビ局の新しいビジネスモデルが生まれていくことは楽しみです。

■「インターネットの世界ではテレビ局1社では完全に力不足」

一方で、これまで紹介したようなテレビのイノベーションを実現するには、やはり全キー局の協力体制やオープンな思想であったり、放送局ではなくメディアサービス企業として生まれ変わっていく必要があるとのこと。

「インターネットの世界ではテレビ局1社では完全に力不足。放送だけでなく、インターネットサービスをつくり、サービスデザインによる、高い満足度の体験(UX)の提供をしていかなければいけない」と述べられていたのが印象的でした。

テレビが未来に向かっていく中で、ビジネスモデル開発やメディアサービスという立ち位置、ビッグデータ活用など、ウェブメディアとも考え方が重なる部分も多くあり、大変勉強になったお話でした。

(2014年6月5日「メディアの輪郭」より転載)

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