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消費増税が決定 本格化する負担増社会に家計はどう対処すべきか

2013年10月10日 18時35分 JST | 更新 2013年12月10日 19時12分 JST

10月1日、安倍首相は消費税を5%から8%に引き上げることを正式に表明した。

年収500万円、700万円、900万円の現役世帯、および年収240万円の高齢者世帯での消費増税による負担増額を試算してみた。予定通りに10%まで上がれば、各家庭ではこれまでの生活スタイルから少なからず見直しを迫られそうだ。

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しかし、"負担増社会"はいまに始まったことではない。すでに突入している。消費増税ばかりに目を奪われがちだが、社会保険料負担が上昇し続けているのだ。

図2にここ数年の社会保険料の負担増額を年収別に試算してみた。全国一律の料率ではない公的医療保険と介護保険については、中小企業の従業員が多く加入する協会けんぽで試算した。

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厚生年金保険料率に関しては、2004年の年金改革で、2017年度に18.3%になるまで毎年0.354%ずつ上げられることが決まっている。現在(2013年度)の厚生年金保険料率は17.12%だ。公的医療保険や介護保険では、法律上明確に料率が上げられることは決まっていないものの、右肩上がりの傾向にある。

「何となく(手取り)収入が増えない」と感じていたのは、不景気による賃金の伸び悩みが原因だと思っていた人は多いだろう。間違いではない。しかし、それは要因の一つだ。社会保険料率の上昇に伴い、天引きされる金額が増えたことによっても手取り収入はなかなか上がりにくいどころか、減少する傾向にあったのである。

日本の財政に余裕がないのは周知の通りである。最近の財源不足は3期連続で40兆円を超える。消費税を10%まで引き上げたとしても、国に入る税収の見込みは10兆円ほどで、財源不足を穴埋めすらできない。さらに、高齢化はこれからが本番だ。65歳以上の人口がピークを迎えるのは、いまから約30年後である。つまり、負担増社会が本格化するのは、まだまだ先なのである。

負担増のシミュレーションを見ていただいてお分かりの通り、分かっている負担だけでも大きな金額だ。にもかかわらず、さらなる波がやってきておかしくない環境下に家計はさらされているのだから、誰だって不安になって当然だ。

では、負担増社会における家計はどうあるべきか。拙著『サラリーマン家庭は"増税破産"する!』(角川oneテーマ21)で詳しく解説しているが、ここではポイントとなりそうな点を5つ取り上げてまとめてみたい。

1. 収入源のパイプを増やす

夫は外で働き、妻は家事をする"モデル家計"ではなく、夫婦共働きが今後は普通になっていくだろう。すでに働く女性は増加傾向にある。子供のアルバイトも家計を助ける。

 ただし、日本経済のパイが大きくならなければ、雇用の拡大は難しい。女性が社会進出することで新しい雇用が創出されるとも限らないとなると、ワークシェアの発想が日本でも広がっていくだろう。

2. 長く働けるスキルと体力づくり

日本人の平均寿命は大きく伸びた。喜ばしいことである一方で、リタイア後の生活に対する不安を増幅させた面もある。

今後は、60歳で完全にリタイアすることは贅沢といわれる時代になるだろう。逆にいえば、長く働くことで家計は大きく改善される。収入が伸び悩んだとしても、長く働くことで生涯収入を確保する考え方だ。

老齢年金の減少には長く働くことで、医療や介護には健康な体作りを心がけることによって積極的に対応することを考えたい。国の財政が厳しいことを考えると、個々の自助努力はかなり重要になってくる。国に頼るばかりではなく、家族間や地域社会の中でお互いに助け合うことも、重要性が増していくだろう。

3. 一生涯費目で"聖域"を作らない

食費、光熱費、通信費、住居費、被服費、日用雑費などは、年齢にかかわらず必要となるコストだ。私はこうした費目を"一生涯費目"と呼んでいる。一生涯費目は、日々のコストが小さかったとしても、一生涯に渡ってかかることで、総額では大きな金額となる。

簡単な計算をしてみると、一生涯費目で月2万円でもカットできたとすると、40年間で1000万円近く貯まる計算になる。こうした費目でムダ遣いがあれば、結局一生涯ムダ遣いをしていることとなり、その金額も桁が大きくなる。負担増社会では、より筋肉質な家計が求められる。

4. 柔軟に対応できる選択肢を残しておくようにする

長い人生において「想定外」はつきものだ。不測の事態が生じた場合に、いかに臨機応変に対応できるかは、賢い家計管理法の一つといっていい。

例えば、住宅を買ったはいいけれども、転勤や転職、子供の学校の都合で引っ越しを余儀なくされることもあるだろう。そうした場合に、購入した自宅を貸したり、損することなく売却できれば軌道修正しやすい。大きなお金が動く買い物ほど、こうした柔軟性を家計に取り入れたい。

5. "人事を尽くして、天命を待つ"の心構えを持つ

抽象的な表現だが、実は最も大事ではないかと思う。

冷静に将来を考えると、家計をとりまく環境は楽観視できないほど不安が募ってくる。だからと言って、何もしないで不安がっていても何も変わらない。できることはしっかり行っていかなければならないし、それしかない。

いわゆる家計の見直し手法には、生命保険や住宅ローンの見直しなどいろいろある。自分に合った手法は取り入れ、家計改善に努めたい。

できることをやったら、後は考えない。逆にいうと、後で考えなくていいほど、熟考して事に当たることだ。将来は誰にも分るものではないのだから、不安はゼロにはならない。やるべきことをやったら、後はゆだねる心のゆとりも必要だろう。分からないことに不安がるよりも、健康で前向きに働くことにまい進したい。

これからの負担増社会では、これまでの家計の見直し方法だけでは通用しなくなるかもしれない。しかし、だからといって、ものすごく特別なことが家計に求められているわけでもないだろう。やはりセオリーといわれる見直し方法はしっかり丁寧に、そして愚直に行うことが大事だ。分かっていても、意外と実行できていないことも多いはずである。

できるだけ早くから家計改善に取り組み、これから本格化する負担増社会でも対応できる強い家計を目指していただきたい。そして何より、目の前のお金をいかに有効に使って自分の人生に役立てていったらいいのかを、立ち止まることなく前向きに考えて扱ってほしいと思う。

『サラリーマン家庭は"増税破産"する!』八ツ井慶子(角川oneテーマ21)