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太古の生命宿る、やんばるの森

2014年10月17日 15時30分 JST | 更新 2014年12月15日 19時12分 JST

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沖縄本島北部の山間部を指して"やんばる"と呼びます。山原と書いて"やんばる"と読むのですが、その名のとおり本島北部は山原だらけ。一体どこから先がやんばるになるかというと諸説あり、人によって解釈はまちまち。名護から先、本部半島も含めてやんばるという人もいれば、大宜味村、東村から先という人も。私の中では、一応やんばるは名護市は含めず、大宜味村、東村、国頭村からなる国頭郡というくくりにしています。

まるでブロッコリーのようにモコモコと生い茂るイタジイの森には、水源豊かな清流が流れ、起伏にとんだ山間には大小の滝が点在します。大きく育ったシダ植物はヒカゲヘゴ。国の天然記念物にも指定される太古の植物で、葉だけで2mもある巨大植物です。

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鬱蒼と生い茂る亜熱帯の森はジャングルという言葉がピッタリで、恐竜がでてきそうな雰囲気。この森には実に様々な住人たちがいて、色とりどりの蝶や蜻蛉、見たことのない昆虫たちや、かわいらしいキノボリトカゲ......、次から次へと目の前に現れる生き物たちに目が奪われます。また、ここは東南アジアの南の島へ渡る鳥たちの中継地でもあり、確認できる野鳥は実に440種類。希少種であるノグチゲラやヤンバルクイナなど、この森にしか生息しない鳥たちの姿にもお目にかかることができます。ちなみに天然記念物として知られるヤンバルクイナは、あまり物怖じしない性格なのか、しょっちゅうあちこちに出没。ひょっこりとその可愛らしい姿を現します。餌を追いかけることに夢中になると人間の気配などどうでもいいみたいな、野生動物らしからぬ大らかな姿に思わずくすり。

よく、手つかずの太古の森という表現がされるやんばるですが、正しくは人間の手が入った森。今は森林に覆われその姿は失せたけれど、この深い森には、かつて集落として人が住んでいた場所がいくつもあるのです。海の民だと思っていた沖縄の人々が、意外にも山にもしっかりと根を下し生活を営んでいたことに驚かされます。森の中にリュウキュウマツを見つけたら、それは昔そこに人が住んでいた印。燃料として使うため人の手によって植えられたものなのだそう。そんな話を聞くと、森の景色にもまた新たな物語が浮かびます。

マイナスイオンに包まれた、やんばるの深い深い森には、一度そこに足を踏み入れた人を虜にしてしまう不思議な力が宿るよう。時には、森を訪ねる沖縄の旅などもいかがでしょうか。