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未だ解決していない、auオプション強制加入問題から考えるコンプライアンス

2013年12月05日 23時32分 JST | 更新 2014年02月04日 19時12分 JST

■auのオプション強制加入問題

今週こんな朝日新聞ウェブ版の記事を見かけました。まだ問題になっているのですね...。

手渡されたチラシには、「上記条件での販売は当社指定のオプションサービスにご加入頂く必要があります」とあり、記者が「オプションなら断れるはずだ」と話すと、店員は「手数料3150円を頂くかもしれない」と言って奥に入った。戻ると「加入しなければ、本体代金として3万1千円を支払ってもらう。オプションは無料期間中に解約すればいい」と譲らなかった。

iPhone「0円」苦情の山 au、オプションめぐり

先日、プロブロガーで友人の、イケダハヤトさんが書いた記事「 iPhone5s、5c契約時の『オプション強制加入』に対する批判の声」が、話題になっていたので、メモして先週の日曜日にiPhone4SをiPhone5Sに機種変更(au)してきました。ですが私もやられました。

ただ、誤解のないように言っておきたいのですが、10年以上auユーザーであり、これからもとりあえず乗り換えは考えていません。auさんにがんばってほしくて、激励のコメントとお考えいただければ幸いです。

auショップでiPhoneなどのスマートフォンを購入する際に有料オプションの契約を求められる「オプション強制問題」への相次ぐ批判を受け、KDDIは問題の発生源であった「支援金」の評価方針を12月1日に見直したようです。ただし「auスマートパス」については引き続き、代理店を評価する基準として用いるため根本的是正には至っていません。

au、批判殺到に「オプション強制」方針を見直しも、「スマートパス」は是正対象外

今週こんな記事も出ましたが、必要なのは、見直しではなく、廃止及び代替案の提示ですよね?

私の場合、店舗では、「オプションなのに強制ですか?」って店員さんに聞いたら「そうですね。」って普通に言われました。「割引いらないんで、面倒だからオプションつけないで」って言ったら、「基本はずせないんで」と却下。

割引があるとはいえ、有料サービスを強制的につけるって、普通なビジネスとは思えないのだけど...。しかも、それオプションじゃないですよね、と。auだけなのか、他のキャリアでもこうなのかわかりませんが、コンプライアンス云々より、この会社の企業倫理ってどうなってるねん、と思ったわけです。

■auのオプション強制加入問題の流れ

まずは、ご存知の方もそうでない方も、一連の流れをざっと振り返ってみましょう。

○2013年10月19日

イケダハヤトさんが、個人ブログに「au版iPhone購入者は注意!月額3,108円のオプションを強制加入させられる」をアップ。続いて、ブログキュレーションメディア・ブロゴスに記事転載され、大きな話題となる。以降、10月末まで、ガジェットやウェブ系のブロガー達がこぞって、この話題を取り上げるようになった。

○10月25日

ガジェット系ウェブメディア・engadgetにて取材記事「『携帯オプション強制加入』疑惑をKDDIら各社に聞く。au店舗対応、限りなく強制に近くてブルー」が掲載され、なぜかauのiPhone販売の対応だけが話題に。

○10月28日

KDDI決算発表の場で田中社長が、店頭契約における「オプションの説明問題」について、オプション契約はユーザーが選択するものあって、契約の必須条件にするのは許されないという考えを示した。

○11月1日

auが提供するオプションの入退会ページがリニューアルされる。よりシンプルでわかりやすいものになる。

○11月7日

まだ、苦情が収まらずauがお客様サポートページにて、「auショップ等における端末購入・ご契約などに関するご不明点について」というリリースを掲載。

○11月20日

私がiPhone5Sに機種変更したので、個人ブログ「auのオプション強制加入問題で感じた、CSRの"現場感のなさ"について」を書き、これもイケダハヤトさんのようにブロゴスに転載され、トピックス掲載もあり5万PV近くのアクセスを集めた。

○12月2日

冒頭で引用した朝日新聞の記事が掲載され、再度話題に。で、今に至る。

■トップダウンの苦情処理はうまくいかないのか

拙著『この数字で世界経済のことが10倍わかる--経済のモノサシと社会のモノサシ』でも書いているのですが、各種企業ランキングにおいてもコンプライアンスが重要視されています。いや、もはや企業経営の"前提"ですね。

社長が、決算発表の場で誠意を見せようが、ユーザーが接するのは社長ではなく、店舗スタッフなんですよ。現場と現場をまわす仕組みが改善されない限り、ユーザーは文句を言います。当たり前ですね。

トップダウンのCSRをやりすぎるとこういう事態になってしまうのかもしれません。現場と理想の乖離というか。大手企業やCSR先進企業の経営と現場におけるCSR意識の乖離です。

どこのキャリアもやってるから「しょうがないよ」ではなくて、有料のサービスなんで「いらない」というのがなぜ悪いのか?という雰囲気は気持ちいいものではありませんでした。

コンプライアンスとは日本では「法令遵守」と訳されます。しかし本来は、「社会からの要請に応える」のがコンプライアンスの意義のはずです。法律に触れなければ、自社ユーザーの苦情に対応しなくてよいとはなりません。

また「半沢直樹にはなれないっしょ! コンプライアンス違反を密告できないわけとは?」という記事でも書いたのですが、コンプライアンスとは、コーポレートガバナンスの基本原理の一つで、企業が法律や内規などのごく基本的なルールに従って活動すること。ビジネスコンプライアンスという場合もある。コンプライアンスは「企業が法律に従うこと」に限られない、遵守、応諾、従順なども意味とする考え方なのです。

■オプション加入の問題は何か

10年以上も愛用しているauブランド。でも機種変更するたびにクレームを入れたくなるのはなぜでしょうか。

私なりに考えた時に、「顧客のニーズに応えきれていない」という大前提があるからかなと、思ってます。auはCSRサイト:KDDIというCSRサイトがありますし、CSR活動に積極的だし、CSRの価値創造を重要視した新しい概念CSV(Creating Shared Value、共有価値創造)の勉強会をしたり、クリック募金などのコンテンツももっており、素晴らしいと思うのです。

あれだけ立派なCSRコンテンツを持ちながら、ステークホルダー、加担、サプライチェーンという概念は知らなかったのでしょうか。auの商品をメインで売る代理店の暴走かもしれませんが、売っている商品はauなんですよ。残念です。

こういうクレームが多数起きると、「だからCSRを声高に叫ぶ企業はダメなんだ」って言われてしまうのが、CSRを推進する者として悲しいです。今回10年以上使ったauを初めて乗り換えようとも考えましたが、そこはファンであるがゆえ、まだまだユーザーでいようと思います。

ただ、「CSRとは何か」と日々考える中で、自分も経験して思うのは、結局は現場のアクションが重要なのです。知行合一というか、CSRは実践してこそなのかなと。

お客様の要望(しかもそこまで難しくない)にまずは応える。そういった商道徳を踏まえて、環境活動をしたり、トータルのCSR活動をしたりするのが大切かと。

顧客と従業員は、ステークホルダー(利害関係者)の中でも最終重要視すべき人たちです。まずは基本中の基本であるそこから、CSR活動とその意義を見直すことが大切なのかもしれません。

御社には、顧客から散々批判されているにも関わらず、続いているものはありませんか?

(Yahoo!ニュース個人 「安藤光展の『CSRの向こう側』」の12月5日付記事を修正加筆し、転載しました)