Huffpost Japan
ブログ

ハフポストの言論空間を作るブロガーより、新しい視点とリアルタイムの分析をお届けします

ニッセイ基礎研究所 Headshot

「ポケモンGO」と共生社会 -"共助"の道具「ルアー」がつくるコミュニティ:研究員の眼

投稿日: 更新:
印刷

『ポケモンGO』を始めてひと月半になる。ゲーム初心者の私にとって面白く感じられることは、ポケモンという仮想世界が現実世界に発展することだ。

『ポケモンGO』は、各所のポケストップを訪れ、モンスターボールなどを集めてポケモンを捕えるゲームだが、ポケモンを引き寄せるためには「ルアーモジュール」という道具がとても役立つ。この道具を使ったポケストップでは、30分間に限りポケモンの出現が活発になるのだ。

ある夜、私は家の近くの公園で「ルアー」を使ってみた。すると次々にポケモンが飛び出してきた。最初はポケモンを捕まえることに夢中だったが、気づくとポケストップ周辺には大勢の人が集まっていた。

「ルアー」が使用されているポケストップには花びらが舞い、それを見た他のプレイヤーたちがポケモンを求めて集まるのだ。

「ルアー」は仮想世界のポケモンだけでなく、現実世界の人間をも引き寄せる力があるようだ。ポケモンを集めながら犬の散歩をする人同士の会話が始まるのも面白い。

『ポケモンGO』は人の外出を促し、交流機会を増やし、新たなコミュニティ形成の可能性を持つ。

『ポケモンGO』は引きこもりの若者や高齢者の社会的孤立を防止する上でも有効ではないかと書いたところ、高齢者や障がい者など移動制約者の支援を行うNPO法人の方からメールをいただいた。

東京の日比谷公園で障がい者と健常者がチームを組み、双方が電動車いすを使って『ポケモンGO』に挑戦、互いに楽しみながら交流と理解を深めて共生社会の実現を目指すイベントを実施するという。

『ポケモンGO』は家のなかに閉じこもりがちな人たちの外出を誘発する強い動機づけになるが、コミュニティを活性化するためには、さらなる交流の仕掛けが必要だ。

『ポケモンGO』には個人だけでなくチームとして楽しむ機能やプレイヤー同士が交流する機能もあるそうだが、もっと発展させてゲームを超えた現実世界のなかで新たなコミュニティを形成する方法はないものだろうか。

『ポケモンGO』にはポケモンを引き寄せる道具として「ルアー」の他にもうひとつ「おこう」がある。「おこう」の効果は使用するプレイヤーに限定されるが、「ルアー」はポケストップ周辺のすべての人に有効だ。

「おこう」は"自助"の道具、「ルアー」は"共助"の道具なのだ。

「ルアー」の入手は難しいが、他のプレイヤーが使用するポケストップで、だれもがその恩恵に与ることができる。

『ポケモンGO』の"共助"の道具「ルアー」が、現実世界のコミュニティづくりに寄与することは、今後のWin-Winの共生社会を構築する上で重要なヒントになるように思う。

関連レポート

「ポケモンGO」と高齢社会(その1)-拡張現実(AR)への期待

「ポケモンGO」と高齢社会(その2)-健康増進の"アプリ"と"サプリ"

つくろう「共助」社会!-「自助」と「公助」の隙間うめる"市民性"

(2016年9月6日「研究員の眼」より転載)
メール配信サービスはこちら

株式会社ニッセイ基礎研究所
社会研究部 主任研究員
土堤内 昭雄