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メディアがこれからどうなるか、誰もわからない。だから今、面白い!〜ニュースサミット2014をレビューする〜

2014年06月28日 20時03分 JST | 更新 2014年08月28日 18時12分 JST

メディア論がメインのはずのこのブログは最近、すっかり育児関係の記事で埋まっている。いかん!このままだとメディアを語る者としてのぼくが忘れられかねないので、今日は本来のこのブログらしい記事を書こうと思う。

一昨日(2014年6月25日)、ニュースサミット2014というカンファレンスイベントが行われた。"2014"とあるけど、今年初めてのもの。友人に席があるからと誘われなんとなく行ってみたらかなり面白かった。これまで参加したカンファレンスイベントの中でも充実度では五本の指に入ると思う。その面白さを、ここでできる限り再現してみよう。

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六本木のブルーシアターという、ブルーマンショーが行われる会場。なかなか豪華なシアターで、なんとなくラグジャリー感がある。13時にまずはホリエモンによるオープニングのスピーチ。このイベントは、ほんの3カ月ほど前に、堀江氏がやるべきだと考えてイベント運営会社に相談して実現したとのこと。何をやるべきかといえば、ニュースアプリ盛り上がってるでしょ、ということだったそうだ。ニュースをキュレーションするアプリは日本独特のもので、これを世界に広めたいとの思いが堀江氏にはあるようだ。

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10分ほどで堀江氏のスピーチは終わり、最初のパート、そのニュースキュレーションアプリを運営する三人の方をパネラーにしたセッションがはじまった。

このところテレビCMをガンガン打っているグノシーの木村氏と、ついこないだからやはりテレビCMを打ちはじめたANTENNAを運営するグライダーアソシエイツの町野氏、そして経済分野にフォーカスしたニュースアプリNewsPicksの運営会社ユーザベースの梅田氏、モデレーターはコカコーラパークを成功させ、企業のオウンドメディア戦略を具現化した江端氏だ。

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なんでSmartNewsの人がいないのかなあ、というのが気になったけど、まあこのセッションはこのイベントの核のようで、まだはじまったばかりのサービスのせいか、それぞれのプレゼンテーション的な内容で終わった。正直、このあとこそが盛り上がったのでここからは書き込んでいきたい。

2つめのセッションは動画がテーマ。「動画元年2014。動画活用でコンテンツは変わるのか」のタイトルで、テレビ東京コミュニケーションズの蜷川さん、日本テレビの太田さんというテレビ局で動画活用をになうお二人と、広告主側として花王の本間さんが登壇。これをAOL(というかAdapTV)の橋本さんがモデレートした。

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ここからは、皆さんのお話の中で特筆すべきコメントをぼくがツイートしたものを取り出し、それに解説を加えつつ進めよう。

アプリの広告もテレビCM使うわけだしね、と本間さん。ここで終わると身も蓋もないσ(^_^;)

ネット動画どうなるんでしょう?と聞かれてシニカルに本間さんが「だってさっきのグノシーやANTENNAだってテレビCM使うのは、それがいちばん効果あるからですよね」と答えた。それじゃ身も蓋もないじゃないですか、と橋本さん。ここはまあ、ちょっとしたギャグになっているやりとり。

ネット動画に広告打たないのか?結局リーチが問題ならテレビでいいよ!というのが根本にあるわけだ。それに、テレビCMを扱うのと、ネット広告を扱うので、広告主企業の部署がちがったりする。そういう問題は多々ある、という話も出た。

ヘルシアコーヒーを、買った人のうち18%はテレビメディアに接触していなかった。これ、衝撃の数字だと思うけどσ(^_^;)

これも面白い話。ヘルシアのコアユーザーは30代40代の男性でテレビとの接触がそもそも少ないのもあるだろう。ただテレビがリーチメディアとして万全ではなくなっている証しではある。

リアルタイムだから広告見られてるってのも妄想でしょ?と本間さんが切り込むσ(^_^;)

本間さんが場を盛り上げようと意図的に切り込んだと思われる発言。タイムシフト視聴が俎上にのぼると、録画だとCM飛ばすと言われるけど、じゃあリアルタイムでCMをみんな真剣に見てくれてるのか、という問題はあるという話。確かに昔からトイレタイムと言われたし、いまだとザッピングタイムかもしれない。

広告モデルとサブスクリプションに分かれるだろう、と太田さん

今後のVODはどうなるかと聞かれての太田さんの回答。広告モデルだと無料で視聴できる。有料も個別に課金するよりhuluのように月々いくらのサブスクリプションが主流になるだろうと言っている。だから個別課金がなくなる、いらなくなる、ということでもないだろうけど。

権利処理はどうだった? ちゃんと説明したら誰も拒否しなかった。我々の側が躊躇しすぎていたかも、と太田さん

見逃し無料配信サービスを始める時、権利者に反対されなかったかと聞かれての答え。「どうせ反対されるんだろうなあ」と思っていたら、意外にちゃんと説明したら了解してくれた。一度嫌がられると「こう言われちゃうから」となりがちだけど、時間が経てば意見変わるのは全然不思議じゃないわけで。

YouTubeの問題はユーザーが作った動画に広告をつけにくい、

これも本間さんが言ったのだと思う。テレビ局の人は知っておくといい話。YouTubeにCMどんどんついてるけど、クオリティの低い映像にはCMつけたくないのが広告主の気持ち。ブランドが棄損するから。

テレビって視聴率だったのにネットの話になると、誰が見てるか、視聴者の話になる ここ今日のポイントかもσ(^_^;)

これ、ホントに大事なポイント。テレビ番組をネットに置いてテレビ同様「何人に見られました」と報告するのか。だったらテレビにかなわない。「こんな人が見てます」と言える状況をつくれるかどうか。つくれたらいい広告がつくかどうか。

これからは広告そのものもコンテンツとして見られるようにしないといけない

これは太田さんが言ったコメント。放送では番組と広告の区別は明確にしないと法律上の問題が出てくる。でもネットならそこを気にしなくてもよくなる。だったら番組の中で広告的なことをやってもいい。だからといってあからさまに商品を褒めても信じてもらえないからやり方は考えるべきだけど。やりようはいろいろあるはず。

共通認識ができてないから議論になる

これもキモ。ネット動画はPV数じゃない価値を作りたい。それは何か。例えば滞在時間とか?あるいは「いいね!」数?そこを、メディアと広告主とエージェンシーとで「基準はこうしようね」と握らないとビジネスにならない。逆に言えば、そこをみんなでルール決めればビジネスになる。視聴率だって時間かけてこれを基準にしようねと決めたから重要になったわけでね。

ネットにプレミアムな動画が来たら広告主は予算を動かすだろ

これは本間さん。多少のリップサービスかもしれないけど、さっきの「ユーザーが作った動画に・・・」の反対で、テレビ局が作ったまともな映像なら広告はつけやすい。そして若い世代へのアプローチにネット動画を使いたくてうずうずしている広告主はいる。テレビ局はネットに動画をいまこそ出すべきだということかも。

この分野はぼくにとってもかなり興味あるのでたくさんツイートしている。

さて次も面白かった。メディアビジネスのセッション。

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Yahoo!の米谷さん、TABI LABOの久志さん、メディアジーンの今田さんのお三方をターゲッティングの藤田さんがモデレート。これもツイート解説形式で。

メディア運用で大事なのは熱量

メディア運用で、あるいはコンテンツ制作で大事なのは熱量。これは自分でブログ書いていても感じることだ。ネットではクオリティや内容も大事なのだが、熱量が高いと拡散される。

ディスプレイ広告はすっかり価値が失われ、カオスマップに並ぶ事業者にかすめとられている。 だからネイティブ広告に力を入れはじめた。

DSPなどのアドテクでバナー広告はやたら安く売られるようになった。DSPとはDemand Side Platformだから広告出したい側のロジックで価格が決まるわけだ。また間にいる事業者も増えた。その分、価格の中のマージンも増えてメディア側の取り分も減っている。だからネイティブ広告がいま浮上しているのだ。

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キュレーションメディアとどう向き合えばWinWinになれるのか

さっきニュースキュレーションのセッションがあっただけにここは面白い。いまやキュレーションアプリからの流入はメディアにとって必要で欠かせない要素だ。でもそこには忸怩たる思いもあるわけで。何がお互いにとっていいのか、今後そういう議論になるのだろう。

ネイティブ広告を、クリックしたらバナー同様のランディングページがでてきたら読者はがっかりするだろう。

これも大事な話だと思う。はっきり書くけど、グノシーの見出しをクリックしたらいきなりアプリダウンロードに飛ばされた。何度か経験してどれを押さなければいいかわかるようになった。ネイティブ広告がメディアと読者の騙しあいになっては意味がない。ネイティブ広告で誘導されたら面白かった、と言わせないと読者に軽蔑されるだけだろう。

オーディエンスデータはメディアが絶対手放してはいけない

これも響いたひと言。読者こそがメディアの宝。そのデータを安易に渡さず、その価値付けを自分たちでやらねばならない、ということ。

このセッションでは、メディア運営にとってパラダイムシフトが起きようとしていることをあらためて思い知らされた。アドテクがバナーの価値を下げてしまった一方、ソーシャルからの流入がどんどん重要になり、一方でキュレーションアプリの台頭に振り回される。その中で、ネイティブ広告を読者から信頼を得られる形で開発し、その読者のデータをどう武器にできるかが大事になっている。

コンテンツ・イズ・キングとよく言うけれど、実は読者が王様なのではないかな。

さてその次は"編集"に関するセッション。これがまた面白かった。

ハフィントンポスト日本版編集長の松浦さん、Yahoo!ニュースの編集長(という肩書きはないらしいけど通称)伊藤さん、共同通信デジタルの伊地知さんが登壇。モデレーターはご存知、ジャーナリストで法政大学準教授の藤代さん。

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面白いと思ったのが、伊藤さんは新聞社からYahoo!に移った一方で、伊地知さんはライブドアから共同通信に移っている。アナログとデジタルで人材が錯綜しはじめている証しかもしれない。

ニュースをテーマにしたイベントが開かれること自体驚き、と藤代さん

これは観客席側としてもほんとうに感じたところで、しかもジャーナリズムではなくニュースメディアのイベントなわけで、このイベントのユニークさを言い表している。つい一年前でも、そんなイメージは持てなかっただろう。かなり新しい流れなのだと思う。

同じPVでも、いいねが10の記事と100の記事は違うよね、と松浦さん

PV一辺倒から脱却せねば。そんな思いはもはやメディア界の共通認識かもしれない。さっきのセッションとも重なる話だ。

新聞記者時代はどれくらい記事が読まれているかわからなかった。ネットではPV数がわかるので気にするようになった。 Yahooの記事で子育て給付金を伝えたものが48万いいねついた。もっと前に新聞で詳しい解説記事はあったのに、と伊藤さん

これは二つのイシューをひとつのツイートにしたためわかりにくくなったかもしれない。

伊藤さんは新聞記者時代に記事が何人に読まれたかは気にしなかった。だってわからないからね。ところがデジタルだとわかるのだ。紙だと一面トップの記事がネットでは読まれてないことがわかったり、その逆もある。

そして子育て給付金の制度を知らない人のために書かれた記事が、しかもYahoo!個人だからブロガーの記事が、48万いいね!ついて大ブレイクした。この給付金の記事はもっと前に記者がちゃんと書いたものもあったのに。そっちは読まれてなかったらしい。これも非常に考えさせられる現象だ。

共同通信に来た時、コンテンツに金かけることに驚いた、と伊地知さん

伊地知さんは登壇者の中でおそらくいちばん年長だと思うのだけど、その伊地知さんがこう言ったのが面白かった。災害があるとヘリを飛ばすのをみて、ネットメディアでは絶対にありえないと驚愕したそうだ。

ユーザーが考えてることを知ろうとすることが大事、と松浦さん

読者と言わずユーザーと言うところがネットメディアなのだろう。

共同通信でも記事を書いてますけど難しくて読みにくい。藤代さんのブログは読みやすい。ネットではそういう点が大事、と伊地知さん

読みやすくないと読まれない。これは内容がと言うより書き方が、という話だと思う。新聞の文体ってぼくも前々からつまらないと思っていた。読みやすく、でもちゃんとした記事の書き方がこれから必要になるだろう。

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