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ベンガル語の形成過程について

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ベンガル語(バングラ語)は、他のインド諸言語即ちヒンディー語、ウルドゥー語、アッサム語、シンド語、ボジュプリー語、マゴデイ語が属するインド・アーリア語派の一つであり、バングラデシュやインドの西ベンガル州、アッサム州、トリプラ州、アンダマン州とジャールカンド州等で約二億三千万の話者に話されている。

ベンガル語の歴史について考察するには、旧インド・アーリア期(約1500紀元前~500紀元前迄)、中期インド・アーリア期(約600紀元前~1000世紀迄)と新インド・アーリア期(約1000世紀~現在に至る)に分かれた3000年を超える言語変遷の歴史に目を通す必要がある。

旧インド・アーリア期では、ベンガル語の元言語は、もっぱら西から南アジアに移住してきたアーリア系人種の言語であった。アーリア人は、知的部族であって、南アジアの北部に拠点を置き、学術的且つ修道的活動を通じて得たアイデアとイデオロギーを碑文として残した。その結果、彼らが話す言葉はとうとう豊かな言語として現れた。

この時期にアーリア人が編纂した碑文のなかで、ヴェーダ(リグヴェーダ、ヤジュールヴェーダ、サーマヴェーダ、アタルバヴェーダ)、大叙事詩(ラーマーヤナとマハーバーラタ)、および文法書アシュターディヤーイーが著名である。それらが書かれた言語は、サンスクリット(洗練された、改善されたことを意味する)語として知られるようになった。

旧インド・アーリア期の後半では、がアーリア人先住民族(オーストラロイド(ムンダ)系民族、ドラビダ系民族とチベット・ビルマ系民族)と頻繁に接触するようになり、彼らの哲学的な思考は様々な次元に分裂していった。その代表的なものは、禁欲改良主義(仏教とジャイナ教)及び偶像崇拝主義(ヴェーダ教と土着宗教の配合)である。

ヴェーダ権威者の主流はヴェーダ宗教と土着宗教の融合宗教に形成に関わることで、偶像崇拝であるヒンドゥー教が普及した。紀元前6世紀になると、仏教やジャイナ教に於ける修道活動や学術活動のためにアーリア人が、サンスクリット語の口語を使用することになった。彼らが、宗教的かつ学術的な活動のために方言サンスクリット語を使用することにより、南アジアの各地域では方言サンスクリット語の形式が変遷していった。

これらのインド・アーリア言語変種の一つは、仏教の拠点として知られているマガダ(現在インドのビハール州)の領域で、何世紀にもわたって変遷してきた。マガダで自然に変遷した結果として現れた口語は、マガデイ・プラークリットとして知られるようになった。マガデイ・プラークリットは、お釈迦様の話し言葉でもあったが、後にその言語で三蔵(仏典)が編纂された。

マガデイ・プラークリットの一つの言語変種は、当時政治の中心地であったガウル(インド西ベンガル州とバングラデシュに重複する地域)に6世紀頃に、碑文言語として導入され、1000年以上にわたって公共言語として利用されてきた。その公共言語は、アパブランシャ(崩れた言語変種)と呼ばれるようになった。

ガウルは、ヒンドゥー教徒、仏教徒、ヒンドゥー教徒、さらにイスラム教徒の支配下に置かれ、時代ごとに様々な碑文が生まれた。仏教経典としてチャラヤポダ、ヒンドゥー教教典としてマンガル詩、イスラム教教典してプティ、それに数多く俗界文学も生まれたが、これらはすべてアパブランシャで書かれたものである。多くの段階を経て変遷してきた結果として、発音、綴り、形態、構文、意味合いの違う形式の言語が形成された。それは、元言語のサンスクリット語とは違う言語として現れたのである。 

10世紀からかけて18世紀までに南アジアの方々全土が中央アジアから侵攻してきたイスラム教徒勢力の支配下に置かれた。その支配下の元で全インドに通じるウルドゥー語が形成された。その時に、ヨーロッパからのイギリス勢力が当時、ガウル地域のムルシダーバードに首都を置いていたイスラム教徒政権を倒し、ベンガル地域の政権を握った。そして彼らは、カルカッタ(現在のコルカタ)に首都を移転した。当時イギリス人によってルネサンスの思想がカルカッタの支配階級・知識階級に伝わると、彼らはそれに圧倒された。

その結果、カルカッタ中心にベンガル地域に学問的な革命が起こった。その時、彼らのアイデアやイデオロギーを記すためには、彼らの言語が必要となった。しかしアパブランシャが、地方ごとに余りにも異なっていたため、彼らは自分たちの標準語が必要になった。そのために、ガウルで使われていたアパブランシャを利用し、脱クレオール化方法(言語の標準化)を通じて、元言語サンスクリット語からも多くを借入し、標準的な言語を形成し、それをベンガル語と名付けた。

ベンガル語は、現在バングラデシュの国語、インド西ベンガル州の公用語であって、サンスクリット語からベンガル語に変遷されるまで三千年以上もの年月がかかった。