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労働組合員から、気づけば「外交官」に

2015年05月28日 22時35分 JST | 更新 2016年05月27日 18時12分 JST

【連合アタッシェの大使館だより】

外務省と民間との人事交流の一環として、労働組合から在外公館に派遣される大使館員のことを「連合アタッシェ」と呼ぶ。

今回はアメリカの日本大使館で働く山口さんの取り組みをご紹介。

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山口博臣  やまぐち・ひろおみ 在米国日本国大使館 二等書記官 基幹労連(新日鐵住金労連)出身

 

気が付けば「外交官」

鉄鋼会社に入社したと思ったら、気が付けば外交官...。自分でも不思議ですが、縁に恵まれ、2014年4月から「連合アタッシェ」として在米国日本国大使館へ派遣されています。

大使館は、各国の首都に置かれ、その国での日本政府の外交活動を行う拠点です。政治や経済情勢について情報を集め、現状を理解し、今後どのように変わっていくのかを常に見ています。そして、その国との関係を深め、共に豊かになれるかを調査して外務省へ報告します。日本政府の意見をその国へ伝える役割もあり、必要に応じて相手国政府や議会関係者などへの働きかけも行っています。

また、日本文化を紹介する、人と人との交流を促すなど、広報文化活動も積極的に行っています。英語圏の人を英語の先生として日本へ派遣しつつ国際交流をはかる、JETと呼ばれる制度もあります。パスポートや証明書の発給、戸籍・国籍届等の受付など、海外に滞在する日本人へのサービス提供、トラブル等に巻き込まれた日本人への支援なども重要な役割です。

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観光客に人気のホワイトハウス

米国における開発協力!?

この多岐にわたる大使館の役割をそれぞれ担っているのが、外務公務員=外交官です。華やかなイメージがありますが、実際は地道な仕事の積み重ねです。

日本と相手国の間には、いろいろな課題が存在します。経済分野一つ取ってみても、企業の進出や活動、農漁業、エネルギー、環境、労働、保健などなど、数え出したらキリがありません。

私は開発協力を担当しています。米国の開発援助政策に関する公開情報を集め、カウンターパートである国務省や国際開発庁(USAID)の担当者に会って情報を聞き出し、外務省に報告しています。日本の政策を相手国に説明し、理解を求めることも重要です。日米でお互いに協力して、アジアやアフリカへ開発援助を行うために、関係者で集まり情報交換、議論を行うこともあります。

ワシントンD.C.には、世界銀行をはじめとした国際機関があることから、当館や私がその窓口になります。世界には「貧困撲滅」といった解決すべき問題があり、そのために各国が知恵とお金を出し合って協力しています。日本の拠出金が望ましい使われ方をされるよう、本省の指示に基づきながら説明をしたり、必要な手続きを行ったりということもしています。

また、日本からの出張者や来客が当地での業務を円滑に行えるよう、各種アレンジも行います。外務本省からの出張者もいれば、国会議員もいます。訪問先へのアポイント取り付け、同行などを行います。

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ワシントンD.C.のポトマック河畔の桜並木。桜は103年前に日本から贈られた

たかが英語、されど英語

苦労していることは、何よりも英語でしょうか。たかが英語、されど英語。外交官とは、人とのコミュニケーションがベースとなっている仕事なので、そのツールとしての言語が肝になってきます。専門用語がたくさん登場したり、学校では教わらないような、こなれた表現や微妙な言い方に戸惑う場面もあり、フラストレーションを感じることも少なくありません。

こちらへ来て早1年。米国のいろいろなことが大ざっぱな点に驚きました。公共交通機関が時間通りに来ないことは当然として、道路の手入れ具合も直しているのか掘り起こしているのかよく分からない。料理の味付け盛り付けもしかり...。でも、最近はおいしく食べられることも増えてきました。少しは慣れてきたのかもしれませんね。

 

「連合アタッシェ」とは?

外務省と民間との人事交流の一環として、労働組合から在外公館に派遣されている大使館員のこと。1981年に制度が創設され、初代は髙木剛・前連合会長。派遣者数はこれまで8カ国に42人、現在派遣中の6人(タイ、米国、中国、ザンビア、ウクライナ、英国)を加えると48人に上る。

 

※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2015年5月号」に掲載された記事をWeb用に編集したものです。「月刊連合」の定期購読や電子書籍での購読についてはこちらをご覧ください。

rengo5月号表紙