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ポートランド発「上質な暮らし」にとびついてる場合じゃない、 灯台下暗し?

2015年07月19日 01時18分 JST | 更新 2016年07月16日 18時12分 JST

今回は、「クールジャパン」国内外のズレに踏み込みます

 私たち日本人が思う「クールジャパン」と、外国人が外から見た「クールジャパン」の間にはズレがあるのでは?本当の「クールジャパン」っていったいなんだろう?

 その答えを探していくこの連載も5回目を迎えました。今回お話しを伺ったのは、私たちの持つ「アメリカ」のイメージを快く裏切ってくれた書籍『ヒップな生活革命』の著者、佐久間裕美子さん。ニューヨークに長く暮らす佐久間さんに外側から見た日本の姿を教えてもらいます。話は、まずファッション業界に明るい佐久間さんがそのプレゼンテーションの方法について思うところから。

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日本的「こだわり」アピール、海外で勝機あり?

 「最近では海外のファッション業界ではジャパンデニムのような日本の織物技術がすごく注目されていて。

今は外国人もみんなネットでアクセスできるから基本的な情報はすでに知っている。彼らが知りたいのは、その一歩先の情報、例えば職人の技術や物づくりの裏にある背景や歴史とかなのですが、日本から海外へ発信する情報は、通りいっぺんの一般情報で止まってしまいがちです」

 言語が通じないから基本情報だけサラッと翻訳して載せるにとどまってはもったいない。せっかくアクセスしてくれた感度の高い人に向けて、例えば視覚に訴える画像や動画など様々なアングルでのアピールが考えらえるはず。「文化を浸透させるとき、一番知らない人のレベルに合わせてという視点で発信しても、広まっていかないから」と佐久間さん。海外の人の日本の価値をはじめとした認知は、日本人の想像以上に高まっていて、だからこそ分かりやすい「和風」「日本人らしさ」を打ち出さずともきちんと評価されるのだそう。

「たとえばその代表が、メイドインジャパンをことさらに打ち出さずとも成功したアウトドアブランド、snowpeak(スノーピーク)ですよね。まず何よりも商品の質が素晴らしかった。そしたら感度の高い人の目には止まる。いわゆるインフルエンサーの手にとられて、広がっていったのだと思います。

そこに分かりやすい「言葉」のアプローチは無かったのでは、と佐久間さんは言います。ただ、アピールの話で言えば、そこに日本人ならではの特性、魅力があると言います。

「欧米人は何より目立つことで存在認識させるっていう感じだけど、日本人は逆に『存在を認識させないように快適感を与える』のが独特ですよね。パッと見て分からないもののためにそこまでやるかという。効率の真逆にあるような本質的に必要のないかもしれない事柄をものすごく追求するのは日本人のすごいところなのかもしれません」

 そう、確かに。例えば帝国ホテルでは、裁縫担当がいて、ボタンが取れたお客様のために何百種類ものボタンと何色もの糸をストックしてスタンバイしているのだそう。しかも、その出番がやってくるのは年に1回か2回というほどのもので、きっと外資系のホテルなら「ムダ!」と一番に無くなるサービスでしょう。

 「リーマンショック以後のアメリカ、いや世界的に効率を重視し多くを求めない風潮が優勢なときに、逆に細かいこだわりに反応している人たちもいる。 日本のこの『誰が気付くの!?』っていう徹底した追求の姿勢って価値があるかもしれないですよね」

「サードウェーブコーヒー」は日本に前からあったよね?

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 「今、アメリカのクリエイターたちに日本にいくと必ず行くお気に入りの場所はどこ?って聞くと、みんな蔦屋書店って言うんですよ」。

 佐久間さんの知人のクリエイターたちは、皆そう口をそろえるのだそう。それには理由があるのです。

 「少し前、ニューヨークの街から本屋がなくなってしまって。もともとチェーンの大型書店バーンズ・アンド・ノーブルができて小規模書店が軒並み潰れちゃったんだけど、そのバーンズ・アンド・ノーブルも景気が悪くなって潰れてしまって。CDショップもないし、ブロックバスターっていう、レンタルDVD店も閉鎖されました」

 蔦屋書店など、日本全国でここ数年増え続けている個性的でおしゃれな本屋は、アマゾンでは体験できない、本を買う行為が楽しくなる様々なストーリーを提供してくれます。時に、雑貨や食品を共に並べて完成させる独特な棚づくりは、日本ならではの「おもてなし」、コミュニケーションの形だと思います。それはきっと、「効率」を突き詰めたとき最初にカットされるもの。だからこそ、彼らにとって魅力的に映るのでしょう

 「さすがに書店がないのはみんな困るから、最近ニューヨークでは小粒の店がまた増えています。皆、一回無くなったことを経験してるからサポートしようと、欲しい本があった場合はアマゾンで注文せず、その店を通じて注文したりすることで『買い支え』をやっている」

 日本を見たとき、どれだけ大規模なショッピングモールができて商店街が廃れてしまったといっても、若者が小規模で営む個性豊かな書店、雑貨店、喫茶店は、なくならないどころか少しトレンドになりつつあるのかも。振り返ってみれば、残念ながら潰れてしまった店、例えば書店ならば、深く考えることなくベストセラーのみを並べていたお店でした。そこには言ってしまえば個性や視点のあるリコメンドが無かったのでしょう。

 『ヒップな生活革命』で紹介されるブルックリンやポートランド発の丁寧な暮らし。地産地消の食材を使った気軽なレストランや、ハンドドリップで一杯づつ丁寧に淹れるサードウェーブコーヒー。今やすっかり日本に浸透した感がありますが、実はこれ、考えてみると日本では昔からあった文化なのです。

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 「今って、ニューヨークやポートランド発のアパレルやコーヒーショップが日本に上陸したらみなさん騒ぎますよね。でもそういうスタイルのお店って、冷静になって考えてみればすでに日本にあったものなんです」

 昔ながらの自家焙煎の珈琲店、特に京都や金沢には素敵なお店がいっぱいありますよね。当たり前すぎたのです。それなのに、アメリカから上陸した店には長蛇の列ができる。それは向こうの戦略に踊らされて、空気で買ってしまっているのでしょう。

 外来モノがとにかく大好物という日本人の特性は別として、それは逆に学ぶべきなのかも。その見事なプレゼンテーション能力、私たちも盗もうよっていう話かもしれません。それぐらいしないとちょっと悔しい気が。私たちがすでに持っていた文化なのに、外来の新参者に飛びついて踊らされるだけだなんてね。