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超小型衛星でイオンエンジンの作動実証

2014年12月11日 01時12分 JST | 更新 2015年02月08日 19時12分 JST

超小型衛星「ほどよし4号」に搭載した小型イオンエンジンが10月28日宇宙で動いた。100kg以下の小型衛星でのイオンエンジン作動は世界初で、低コスト・短期間で開発できる小型衛星や探査機の推力に活用できることを示した。海外からの反響も大きい。開発した東京大学先端科学技術研究センターの小泉宏之(こいずみ ひろゆき)准教授と次世代宇宙システム技術研究組合が12月5日発表した。東京大学大学院工学系研究科の中須賀真一(なかすか しんいち)教授が中心となって進めている最先端研究開発支援プログラム「超小型衛星による新しい宇宙開発・利用パラダイムの構築」の一環として実施した。

電気で推進するイオンエンジン(イオンスラスタを搭載した推進システム)は宇宙探査や衛星で実用化が急速に進んでいる。しかし、小型衛星での実用化は、電力やサイズの制限で実現していなかった。研究グループは小型イオンエンジンの各部品の小型化、軽量化、低消費電力化を極めて、推進剤のキセノンを含む全重量8.1kg、全消費電力27ワットを達成し、50kg級小型衛星でも使えるようにした。

6月19日にロシアのヤスネ基地から打ち上げられた東京大学の超小型衛星「ほどよし4号」に搭載した。打ち上げ後、小型イオンエンジンのコンポーネントレベルでの動作確認を繰り返し、10月28日と11月18日に地球周回軌道上でのイオンエンジン作動の実証に成功した。作動試験時間はそれぞれ5分と6分と短かったが、これが100kg以下の小型衛星での世界初のイオンエンジン作動で、小型衛星にもイオン推進システム利用の道を開いた。イオンエンジンは長時間(例えば100時間以上)の作動で真価を発揮するシステムのため、研究グループは今後も、衛星の軌道修正にイオンエンジンを活用し、運用を継続する。

小泉宏之准教授は「衛星の開発にはこれまで膨大なコストと期間を要し、利用者が国や一部の企業に限られ、目的も通信・放送・測位・地球観測・宇宙科学など限定的だった。しかし、低コスト・短期間で開発できる小型衛星に小型イオンエンジンを使えれば、宇宙利用の裾野が格段に広がる」と意義を強調している。中須賀真一教授も「イオンエンジンは推進剤質量が少なくて軌道修正の能力が高いので、小型衛星用の開発が世界的に待ち望まれていた。時間をじっくりかけて軌道を変える必要がある深宇宙探査機にも使える」と話している。

ほどよし4号に搭載された小型イオンエンジンの外観
写真1.ほどよし4号に搭載された小型イオンエンジンの外観

開発した小型イオンエンジンの作動中を横から撮影した様子。発光部下側はエンジンから発せられるイオンビーム(イオンジェット)、発光部上側は中和器からの電子放出に伴うプラズマ発光。
写真2. 開発した小型イオンエンジンの作動中を横から撮影した様子。発光部下側はエンジンから発せられるイオンビーム(イオンジェット)、発光部上側は中和器からの電子放出に伴うプラズマ発光。
(いずれも提供:東京大学)


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東京大学 プレスリリース

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・2014年8月14日ニュース「東大ほどよし衛星が鮮明な画像を公開

・2014年6月26日ニュース「東大『ほどよし』衛星が初画像を公開

http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2014/12/20141208_03.html