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12分間のおもてなし 東海道新幹線の清掃員

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作業終了の合図をする新幹線清掃員

日本の大動脈、東海道新幹線。東京駅を発着する新幹線は、車両基地に入らずそのまま始発となる「折り返し列車」が半数以上を占めます。到着してから次の乗客が乗り込むまでおよそ12分間。このわずかな時間で車両の整備や清掃をしているのが、JR東海のグループ会社「新幹線メンテナンス東海」(本社・東京都中央区)の清掃員です。

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作業のようすを車内で見守る須保さん

指導科長の須保久美子さん(58歳)は、JR東京駅構内にある東京列車事業所で、清掃員約700人のチームの指導・管理を担当しています。

新幹線が東京駅に到着しドアが開くと、清掃員たちは笑顔とあいさつで乗客を出迎えます。しかし、すべての乗客が降りると、その表情は一変します。

16両編成の列車を56人で担当。そのうち43人を1班とするチームが車内を清掃します。作業は1両につき2人が基本。2人は車両の端からビンや缶などを集め、座席を新大阪方面に回転。そのあと、カバーを最大で100席分外します。清掃員同士の動線が重ならないよう車内での動きは細かく決められています。水分を感知するセンサー付きの小型ほうきで座席のごみを取りながら水濡れなどがないかを確かめ、異常があれば直ちに車掌に報告します。

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社員が発案した専用のほうきを使い、ごみ取りと水分検知を同時に行う

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「もたれ」とよばれる座席カバーを効率よく取り替える

「終了2分前」の車内放送で作業用具の確認をして降車。残りの2分間で2両に1人配置されている「チーフ」に清掃状況を報告し、各チーフがそれを16号車付近で待つ「管理者」に集約します。すべての作業の終了が確認されるとすぐにドアが開き、次の乗客が乗車します。「折り返し列車」の清掃は7班体制で、1日17、18本の列車を担当する班もあります。

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「いつもきれいな清掃ありがとうございます」車掌から業務用車内放送が入った

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入線する新幹線を待つ清掃員

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頭を下げて乗客を迎える清掃員

須保さんは短大を卒業後、一般企業に就職。2年間事務の仕事に従事し、退職後は父の会社の手伝いをしましたが、結婚後は子育てをしながら主婦業に専念してきました。この仕事を知ったのは、新聞の折り込みチラシ。2005年に契約社員として入社し、09年に正社員に登用され、11年には管理者になりました。

須保さんは「この仕事は人が財産」だと言います。「あいさつが基本。コミュニケーションの窓口です」。清掃員は数々の「委員会」をつくり、より良いサービスについて考えます。列車の到着3分前にホーム上に整列して出迎えるのも、「おもてなしの心を伝えたい」と清掃員らの発案で実現しました。やりがいは「お客さまから時々かけてもらえる『ありがとう』の一言。素晴らしい仕事をしていると実感します」。

「当初はたかが掃除という思いもありましたが、再就職し、人は何歳になってからでも成長できるのだと感じています」


取材協力:JR東海、新幹線メンテナンス東海
この記事は中高生のための新聞「朝日中高生新聞」の職業紹介コーナー「夢ナビ!」に掲載されたものを加筆・修正しました。

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