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宮田拓弥 Headshot

家に「ログイン」する時代がやってくる。「検索 X AI」で変わる生活 :Google I/O 2016

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先週、5/18-20の三日間に渡り、Googleの開発者会議Google I/Oが開催されました。

今年から、会場がSan Franciscoのイベント会場 Moscone Centerから、本社のあるMountain Viewの屋外劇場 Shoreline Amphiteatreに移され、キーノートは屋外で行われました。参加者は7,000人、100カ国にライブ配信と規模も桁違いです。

発表された内容も、AIからVR/AR、ウェアラブルと、とにかく多様で盛り沢山でした。

このポストでは、その中でも多くの人の生活を大きく変える可能性がありそうな製品「Home」について書きたいと思います。

キーノートで発表された「10」のポイント


初日のキーノート(動画:2時間)で、発表された主な製品、サービスは以下の10個です。Googleの基本的な戦略を知りたいという方にはぜひキーノートをご覧いただきたいですが、もし二時間も時間がとれないということであれば、この10分間のサマリーでも十分だと思います。

  1.  Assistant - AIアシスタント
  2.  Home - ホームアシスタント
  3.  Daydream - VRプラットフォーム
  4.  HMD - VR対応ヘッドセット
  5.  Allo - メッセンジャー
  6.  Duo - ビデオチャット
  7.  Android N - Android新バージョン
  8.  Android Wear 2.0 - スマートウォッチOS新バージョン
  9.  Auto - 自動車向け新機能
  10.  Instant App : ダウンロード不要アプリ

Google Nowの進化系である「Assistant」は、大いに注目しています。

MicrosoftFacebookと先月立て続けにBotが発表されましたが、いずれもまだ発展途上で、すぐに普及していくという印象はありません。一方のGoogle Assistantは、これまでの検索の蓄積、Knowledge Graphそして自然言語解析により、かなり完成度が高くなっている印象です。キーノート(11分25秒目から)で紹介をされているムービーを見るとイメージが湧くと思います。

様々なセンサー情報やコンテキストを理解した上で情報をくれるということで、今度こそ本当の意味で「AIコンシェルジュ」と言えるレベルになっているのではと期待しています。

DayDreamもVR業界にとって非常に大きな発表です。

実際にVRヘッドセットは発表されませんでしたが、今年から「Daydream Ready」のAndroidスマホがたくさんリリースされることになり、より多くの人が手頃な値段でモバイルVRを体験できるようになるというのは、VR業界の裾野を広げるという意味で非常に大きなことです。

Google Home =家に「ログイン」できるデバイス


Google Homeは、今回発表された唯一の「ハードウェア」製品です。

Googleの「スマートホーム戦略」は、2014年に$3.2Bで買収したNESTを中心に描かれていると思われていたのですが、最近いろいろなゴタゴタもあり、ややトーンダウンしていた印象がありました。NESTとの相対的な位置関係はよくわかりませんが、今回のキーノートを聞く限りは、いきなりHomeがスマートホーム戦略の「ど真ん中」に据えられたという印象です。

Google Homeは、非常に簡単にいうと、Amazonのスマートホームデバイス Amazon EchoのGoogleバージョンです。

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Amazon Echoは、2014年にAmazonがリリースしたスマートホームデバイスです。

自分のAmazonアカウントと接続して、音楽をかけたり、ニュースを聞いたり、UBERを呼んだりといったことが、全て「声」で操作できます。すでにポータブルスピーカーのカテゴリでいうと、BOSEなどの専門メーカーを抑えて一位になるほどの人気商品になっています(日本では未発売です)。

私自身もEchoのヘビーユーザですが、Google Homeは、Amazon Echoを「Googleらしくバージョンアップ」している製品だと感じています。

キーノートの中で紹介されているムービー(24分から)でその機能を見ていきたいと思います。

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父:OK,google. Play the morning play list. (OKグーグル、朝のプレイリストをかけて)

Google Home(以下GH):OK, playing morning playlist. (OK、朝のプレイリストを再生します)

父:OK,goole. play music in all rooms. (OKグーグル、みんなの部屋にもかけて)

現在モバイルでの検索の全体の20%が音声検索というほど普及している「声による検索」ですが、スマホと同様に「OK Google」と話かけるだけで、Google Homeは動作します。ここでは自分のGoogleアカウントと連携をして、音楽のプレイリストを再生します。また、Google Homeは各部屋に置かれることを想定しており、全ての部屋で同じ音楽をかけるということも可能です。

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GH: ♪

母:OK,google. I'm listening. (OKグーグル、聞いてるよ)

GH: Your flight to Portland is delayed by 30 minutes. (乗る予定のポートランド行きの飛行機が30分遅延しています)

母:Change my dinner reservation tonight from 7:30 to 8:00. (ディナーの予約を7時半から8時に変更しておいて)

GH: Your reservation at InDina is now confirmed for 8:00pm. (8時に変更しました)

母: Hey Google. Text Louise flight is delayed, dinner moved to 8:00. (Heyグーグル、ルイーズに飛行機が遅れて、ディナーを8時にするってテキストしておいて)

GH: OK, message sent. (送信しました)

この部屋のHomeは、母親のアカウントに紐付いている設定のようです。「I'm listening(聞いてるよ)」というコマンドで、Google Nowにあるカードを読み上げます。ここでは、カレンダーから飛行機が遅延するということを判断し、それを伝えています。そこでレストランの予約を変更し、さらにそれを一緒にディナーに行く相手にSMSすることができます。カレンダー、メール、など様々な機能と連動するGoogleのアカウントに紐付いているからこそのユースケースです。

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父:Good morning. Hey,Google. Turn the lights on in Kevin's room. (おはよう、Heyグーグル、ケビンの部屋の電気をつけて)

各部屋のIoTのコントローラとしても機能します。キッチンから息子の部屋のライトをつけて起こします。

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母:I thought you finished that already. (もう宿題終わってるかと思ったわ)

姉:I forgot. OK, google. What's Apple in Spanish? (忘れてたの。OKグーグル、スペイン語でりんごは?)

GH: Manzanas.

基本的な検索機能もパワフルです。「スペイン語でりんごは?」こうした検索はスマホでもできますが、常に電源がONになっているスピーカーに話しかけるだけで答えが来る、という体験は非常に直感的です。

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母: Hey Google. Has my package shipped? (Heyグーグル、私の荷物って送られてる?)

GH: Yes. it's already shipped. It'll arrive tomorrow. (はい、すでに出荷されています。明日到着予定です)

父: Is that for me? (僕のため?)

母: Maybe. (たぶんね)

父:Interesting. (楽しみだ)

荷物の配送状況も調べられます。これはGoogle Nowでもすでに実現されている機能ですが、Gmailに来る配送会社からのメールの情報を元にしています。

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弟: OK,Google. How many stars are in our Galaxy? (OKグーグル、銀河系にはいくつ星があるの?)

GH: Well, there have 100 to 400 billion stars according space.com. (space.comによると1000億〜4000億です)

弟: Which star is the closest? (どの星が一番近いの?)

GH:  According to NASA, the nearest star system is Alpha Centauri. (NASAによるとケンタウルス座アルファ星だそうです)

弟:Can you  show me what it looks like on the TV? (どんな星かテレビで見れる?)

検索とTVの連動です。最初に聞いた検索クエリーの文脈を理解し、次の検索は非常に短い文章で正確に回答します。またその結果を、すぐさまテレビの大画面で見ることができます。

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父:OK, Google. How is the traffic from Padlock school to Airport? (OKグーグル、Padlockスクールから空港までの交通状況を教えて)

GH: Your normal route has heavy traffic. There's a faster one that will take about 35 minutes. I've sent it to your phone. (普段のルートは混雑しています。より早いルートなら約35分です。スマートフォンに送りました)

父: OK. (了解)

これもコンテキスト検索の例です。「A地点からB地点までどれだけかかる?」と聞いた検索にたいして、「Normal=いつものルート」と過去の検索や移動履歴から適切な回答を引き出しています。

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弟: Dad ! (パパ)

父:Hey,Google.What's on the calendar today? (Heyグーグル、今日の予定は?)

GH:The first event is a space day at Kevin's school. It starts at 8am. (本日最初の予定はケビンの学校の宇宙の日です)

父:Space day. Are you ready buddy? (宇宙の日。用意はいいか?)

弟: Ready. (できてる)

父: Let's go! (行こう!)
弟:OK, Google .Good bye! (OKグーグル、Good bye!)

GH:Goodbye!

これもカレンダー連携です。また、最後に「Good Bye」というと、外出ということを理解して、あらゆるスマートホーム製品の電源がオフになります。

 

非常に短いムービーですが、非常に多様な機能が盛り込まれていることがわかると思います。

Amazon Echoは、常に電源がONになっているスピーカーに「話かける」ことで、様々な操作を行うという新しいコンセプトを世の中に呈示し、徐々に受け入れられ始めています。

CEOのSundarもキーノートの中で、先行者であるAmazonに対して敬意を表していましたが、Google Homeは、まさにこの世界を「一歩前」に進めたものです。

プレゼンをしたプロダクト担当VPのMario Queirozが「Personal Google Around the House」という表現を使っています。私は、Google Homeが、我々が初めて家に「ログイン」できるデバイスになるのではないかと感じています。

スマホなどは自分の好きなアプリを追加することで徹底的に自分好みにすることができます。一方で、家は長い時間を過ごす非常にパーソナルなデバイスであるにもかかわらず、これまで「ログイン」してパーソナライズすることはできませんでした。

Google Homeを通して、Googleのサービスにある自分の様々な情報をベースにしてすぐさまアクセスできるようになることで、初めて家に「ログイン」するという体験を味わえるのではないかと感じています。キーノートにありましたが、これは家に閉じた話ではなく、車やその他のデバイスにも広げていける概念です。

Google Homeは、この秋発売だそうです。