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18歳で投票できる= 若者が社会に関わるようになる、ではない。

2015年07月05日 23時01分 JST | 更新 2016年07月05日 18時12分 JST
Ryuhei Shindo via Getty Images
Japan

選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられました。70年ぶりの選挙権の拡大です!僕も所属している(今は海外にいるため幽霊部員ですが)NPO法人Rightsは、なんと2000年から(当時は大学生の立場として)引き下げを主張してきました。僕も参加した2010年のスウェーデン・スタディーツアーをオーガナイズしたのがRightsで、それから関わらせていただきましたが、その間も18歳選挙権への引き下げのロビイングを間近でみてきました。本当にお疲れ様でした!

当時の政権が2010年に引き下げの確約をしていたにも関わらず法案が流れてしまい、すっかり議論がなくなってしまったときもありましたが、その間もシティズンシップ教育や若者政策という新たな枠組みのもとで、スウェーデン、イギリス、そして昨年はドイツへの視察から得た知識を積み重ね、それをロビイングや啓発活動に活かしていました。

今回の改正も、「あれ?いつのまに変わったの?」「若者当事者が変えた法律じゃない!」みたいな声がすぐに出てくると思いますが、無理もありません。実際にこうやって地道に活動していた人がいたんだ、ってのを知らない人が多勢でしょう。僕も一緒に活動をさせていただけなかったら、このような課題をフォローしていなかったでしょう。もしかしたら今回の改正も、ロビイングが功を奏したのではなく、「憲法改正を若年層は支持する傾向にあるから国民投票法も18歳に下げよう→(あれ、選挙権にも議論が波及してしまった)」っていう、ある党のブレーンの思いつきからそうなったのかもしれません。日本では法律は、様々な根回し、パワーバランスの中で変わるようなので、あるときにひょろっと変わることもあるようです。それをすべていちいち実況生中継して、すべての市民、若者に伝えるということがそもそも不可能じゃないでしょうか。

「若者当事者が声を上げてない!」

そんなことはない。主張していたた当時のRightsを始めとするみなさんだって大学生だったし、10年以上の時を超えて今の大学生の学生団体が同じように主張している。それに大人が若者の権利擁護を主張することの何が悪いのか。それだけ普遍的な権利ということじゃないでしょうか。

問題はこの「腰の重さ」です。70年もかかったのです、引き下げに。こちらの記事でも文科省通達の改正に46年もかかったことを書きましたが、この腰の重さは一体全体どういうことなんでしょうか。これから被選挙権年齢引き下げへの議論が進むでしょうが、こちらは若者がより直接的に政治に参加していくことになる措置なので、検討する側はかなり慎重になるでしょう。となると、今度は何年かかるのやら....。この腰の重い政治体制、なんとかなりませんか。

被選挙権年齢は、日本では国政選挙において衆議院議員が25歳、参議院選挙が30歳ですが、世界では21歳の時点で被選挙権が得られる国は世界で、108カ国(約55%) を占めています。

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(NPO法人Rightsより)

一応日本も民主主義国家なのでその基準に照らしてヨーロッパを参考にすると、ヨーロッパでは、44カ国中26カ国が選挙権を18歳としており、そのうち全ての国で被選挙権年齢も18歳としています。つまり18歳で投票して立候補した同年齢の友達に投票できるのです。

「若者の声を届ける!」じゃ、いつまでも届かないのです。若者の声を直接政治に反映させるには、60歳のおっさん政治家を「若者の声を届けよう!」イベントに呼んでも、意味ありません。若い政治家、つまり、同年齢の政治家、25歳以下の政治家が直接政策をつくらないといけません。18歳の政治家がいないといけません。このブログでも何度もスウェーデンの若者の投票率の高さを扱ってきましたが、スウェーデンでは圧倒的に若い人にとって政治が近いこと、その理由に若い政治家が多いことを書いてきました。20歳の政治家も、うじゃうじゃいる国があるんですよ。そして政党の青年部の存在や、様々な若者のための利益団体の存在がスウェーデンの若者の組織活動を、政治だけにとどまらず多様にしています。スウェーデンの今の内閣の年齢が異様に若いのもこれを象徴しています。(スウェーデンの現在の教育大臣は31歳で、2002年の国政選挙で19歳で当選し当時史上最年少で国会議員になりました。その後18歳の国会議員も別で誕生しました)

昨年、日本に帰国していた際に、30歳以下の国会議員の占める割合をNPO法人Rightsの国会勉強会の資料を集めるためにyouthpolicy.org の同僚の力を借りて調べました。

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(NPO法人Rightsより)

2014年時点では、日本では722人中のわずか4名が30歳以下、つまり0.6%しか全体の議員数に対して30歳以下の議員がいないのです。ひるがえって、ドイツは6%、スウェーデンは5.6%、ノルウェーは5%でした。若い政治家が少ないのはどこの国でも同じなのはこれで明らかですが、これ日本と比べて10 倍多いのです。もちろんどこの国も被選挙権年齢は18歳です。

(16歳選挙権への引き下げが進んでいるヨーロッパのさらなる動きを知りたい方はこれまたRightsのこちらのニュースレターがちゃんとまとまっています。Rightsを応援したい方はぜひ賛助会員に!

18歳に下がったことで、これで若い世代に社会が託された!なんて言えません。だって全部「票」で回収されてしまうから。被選挙権年齢を下げて、もっと若い政治家を出さないかぎり、本当の意味で若者に社会を託したとは言えません。こちらの記事でも書いていますが、スウェーデンでは1945年の政府報告書では「そもそも、どうやって私たち(大人)が若者に影響を与えようというのか?」という疑問が投げかけられています。スウェーデンはそれから、若者に大人が影響与えていくのではなく、若者の社会に対する影響力を高めるという方針に舵を切りました。(これは今日のスウェーデンの若者政策の政策目標でもあります)このようにして若者に社会を託さないかぎり、18歳選挙権もただ利用されるに留まるでしょう。

引用した記事:

「46年ぶり改正の文科省通達」にみる若者が政治に関らない理由

スウェーデンの若者の選挙の投票率が高い理由 10記事 まとめ

日本の若者を「遅らせる」3つの年齢「投票権・成人・被選挙権」- 世界の潮流は?