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販売職の求人に毎月100人の応募が集まる理由

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私が運営しているファクトリエには、販売職の求人募集に月平均で約100名の応募があります。サービス業を展開している企業が軒並み採用に苦戦している中、知名度が決して高くないファクトリエに応募が集まる理由はどこにあるのか。人材業界に関わってきた経験を交えながら、採用の本質を探っていきます。


■ 販売スタッフは価値創造を担うキーパーソン

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(年齢を問わず、30年以上の経験を持つベテランも活躍)

会社理念やビジネスモデルは策定して終わりではなく、"伝え手"がいてはじめてお客様に届きます。リアル店舗をかまえる企業で"伝え手"となるのは、他ならぬ販売スタッフ。ファクトリエでは販売スタッフを「価値創造を担うキーパーソン」として位置付けており、 "コンシェルジュ"という職種名をつけています。

「自分は"コンシェルジュ"だ」と認識することで、仕事への心構えは変わるもの。肩書きとなるワードは、時として人の役割を表現するのです。先日、ファクトリエは名古屋と元町に直営店をオープンさせましたが、主要メンバーは銀座店で経験を重ねた"コンシェルジュ"で構成。他のスタッフに関しても、ファクトリエの理念やビジネスモデル、そして一流のホスピタリティを丁寧に落とし込みました。


■ 「誇りを持てるかどうか」が、仕事を選ぶ判断基準になる

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販売職をインフラコストとして捉え、成長機会の提供や待遇の向上を怠ることは、お客様に価値を提供出来ないだけでなく、何より本人たちのためになりません。売り手市場になっている今、企業側からマーケットに対して「ここで働くことの意義」を示さなければ人は集まらない時代になりつつあります。

コーヒーショップの中でスターバックスに多数の応募が集まるのは、仕事を通じて「お客様にとってプラスになることをしている」という実感を得られるから。自分の仕事に誇りを持てることが、働く上での大きなモチベーションになっていくと私は考えています。

ファクトリエでは、TSUTAYA天神福岡ビル店にオープンした『ハニー珈琲』をはじめ、従業員専用のユニフォームを製作する機会が増えてきました。安物の使い古されたユニフォームと、素材やデザインにこだわったユニフォーム。どちらに袖を通した方が誇りを持てるでしょうか。「働く人を大切にしているか」を図る指標として、ユニフォームの存在は今後高まっていくはずです。


■ 認知度を高めるよりも、ファンを増やしたい

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過去の採用を振り返ったときに気付かされるのが、知り合いからの紹介が多いこと。こちらからお願いしていないのにもかかわらず、向こうから「この人は合うと思う!」と、熱烈にプッシュしてくれるケースは多々あります。ファクトリエの理念に共感し、「応援したい」と思っているからこそ、自発的に推薦してくれているのでしょう。

ファクトリエが日々心がけているのは、こういったファンを増やしていくことです。トークイベントや工場ツアーを開催しているのも、それが理由。広域的に認知度を高めるよりも、数十人に共感していただくことを大切にしています。

先日、お客様の意見を聞くためにランダムで会員様1,000名にメールを送信したところ、470名ものお客様から返信をいただきました。ポイントが付与されるわけでもないのに、わざわざ思いを綴ってくれたのは、自分事としてファクトリエを捉えてくれているからです。ファンが"伝え手"としてまわりの人たちにファクトリエの存在を広め、コミュニティの輪が少しずつ大きくなる。その現象は、企業を成長させる大きな原動力になると信じています。


■ どんな時代であっても、善行は見捨てられない

設立4年のファクトリエに応募が集まっている理由は、「日本の工場から、世界へ」という確固たる理念があり、接客を行う人をリスペクトしているからです。100名の応募があるのは結果論。極端な話、理念に共感してくれる人が5名応募して、5名採用になればそれでいいと思っています。

企業を魅力的に伝える広告表現も必要ですが、小手先のギミックで人を集めたところで未来はありません。私は人材業界での営業経験があるので、手を替え品を替えで応募数を増やしたくなる気持ちは分かります。"見えないエンドユーザー"よりも、"見えるクライアント"の満足度を優先させてしまうのは、心情として間違ってはいないのでしょう。

しかし、社会的に意義のある事業を行い、向き合うべきお客様にメッセージを発信すれば、どんな時代であってもそこで働きたいと思う人は必ず現れます。善行は見捨てられない──。

それは、4年間の活動を通して得た最大の教訓かもしれません。