水ではライバル、陸では親友! 初めての世界水泳に挑むふたりの笑顔

2015年07月31日 00時03分 JST | 更新 2015年08月06日 15時48分 JST
日本スポーツ振興センター

水泳ニッポン、2020年に向け、期待の若手が続々と登場。

2015年日本選手権50mバタフライで優勝、自由形で50m、100m、200mで3位入賞し、14年ぶりとなる中学生での世界選手権出場権を獲得した池江璃花子選手。中学時代は池江選手と中学記録を更新しあい、高校生となった2015年の日本選手権で200m自由形2位入賞、世界選手権出場権を獲得した持田早智選手。

二人は良きライバルであり、ともにリレーで初めて世界選手権(通称 世界水泳)に出場します。これからさらなる活躍が期待されるお二人と、1988年ソウル五輪背泳ぎで金メダルを獲得し、現在、日本水泳連盟会長を務める鈴木大地さんに、2020年を見据えた、日本水泳界のこれからについてお話をうかがいました。

池江 璃花子(いけえ りかこ)

2000年7月生まれ、東京都出身。3歳から水泳を始め、中学入学の頃から全国レベルで活躍。2015年日本選手権では50メートルバタフライで19年ぶりの中学生での優勝、50m、100m、200m自由形で3位入賞を果たし、2015年世界水泳のフリーリレー選手に選出される。

持田 早智(もちだ さち)

1999年7月生まれ、奈良県出身。5歳から水泳を始め、2013年に全国中学50m、100m自由形で二冠を取り、翌2014年全国中学100m、200m自由形では中学新記録で優勝。2015年日本選手権で200m自由形2位入賞を果たし、2015年世界水泳のフリーリレー選手に選出される。

合宿で出会った、最強のライバル

――互いに中学記録を塗りかえあうような、最強のライバル同士として戦ってきたお二人ですが、初めて出会ったのはいつですか。

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持田:スイミングクラブの合同合宿で一緒になったのが最初です。その時私が中2で、璃花子が中1でした。合宿の前にコーチから璃花子の評判を聞いていたのですが、当時の璃花子は練習では弱くて、「この子は本当に速いのか?」って思いました。

池江:私も合宿前に、「力のある選手だから、合宿で会えるのが楽しみだね」というように、母から早智さんの話を聞いていました。

持田:璃花子はいつも笑ってくれるから、一緒にいて楽しいです。私が思うような結果を出せなかったとき、璃花子も同じ種目に出ているのに、心配して声をかけてくれるんですよ。

池江:私たち、水の中ではライバルですけれど、陸では仲のいい友だちなんです。

――お互いに相手のすごいところと、自分のほうが優れていると思うところは?

池江:早智さんは、練習からすごく強いです。レースでも決めるところは必ず決める。すごいなと思います。でも、スプリントでは負けない自信があります。

持田:璃花子は器用だから、なんでもできる選手だと思います。勝っているところは……私のほうがごはんをたくさん食べます(笑)。

世界を意識しはじめたのは2014年

――では、自分の強みと弱みはどこでしょう?

持田:「ここ」と決めた試合では必ずベストの記録を出せているところです。一年以上前から目標にしていた試合などでは、集中力が高まって、いつも以上のタイムを出すことができています。逆に、意識しないとしっかり目標を定められないことがあるので、気をつけたいです。

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池江:私は、練習で調子が悪くても、試合では気を抜かずに全力を出せるところが強みです。2015年の日本選手権で自己ベストを出せて、その後の海外遠征で疲れていた状態でも、ジャパンオープンでベストを更新することができました。弱みは、キック力です。ターンの後のドルフィンキックなどが弱いので、改善していきたいです。

――2015年4月に行われた日本選手権は、世界水泳の予選も兼ねていました。どんな狙いをもって臨みましたか?

持田:高校新記録を出すことと、世界水泳のリレーのメンバーに入ることが目標でした。リレーのメンバーに入ることができたので、最低限の目標は叶えられたかなと思っています。

池江:全部で5種目に出場しました。初日の100mバタフライでは個人で世界水泳出場を目指しましたが、予選落ちしてしまいました。でも、その結果を引きずることなく200m自由形で3位に入ることができ、リレーメンバーに入れてよかったと思いました。以前の私だったら、初日の結果を引きずっていたかもしれません。でも、引きずることは自分のためにならないし、周りの人も嫌な気持ちにさせてしまうのかなと思って、気持ちを切り替えることができました。

持田:璃花子が100mバタフライで予選落ちしたと聞いたとき、私もちょっと心配になりました。結局その日は顔を合わせる機会がなかったんですが、次の日に会ったときは笑いながら「あー、落ちたー」と言っていたので、気持ちはもう切り替わっているなと安心しました。

――世界を意識するようになったのはいつ頃ですか?

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持田:2014年のジャパンオープンが、ジュニアパンパシフィック大会(通称ジュニパン)の選考会も兼ねていたので、その頃に初めて世界を意識しました。実際にジュニパンに出場が決まってから、初めてパスポートを作りました。

池江:私も同じ頃で、2014年のジュニパンに出場した時です。日本では中学生の中で一番でしたけれど、ジュニパンではメダルに届きませんでした。海外には同世代でもっと速い選手がたくさんいるんだと身をもって知りました。

世界水泳、そしてオリンピックに向けて

――世界水泳には、お二人はリレーの選手として出場します。リレーならではの面白さ、難しさとは?

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持田:個人のレースは自分のために泳ぎますけど、リレーは人のためにも泳がなければなりません。それは難しいところでもありますが、でも3人の仲間が私を待っていてくれると思うと、苦しくなってからも、もう一踏ん張りできる気がします。

池江:リレーは、たとえば1人が失格したらチーム全体が失格なので、背負う責任が大きいと感じます。今回の世界水泳のリレーメンバーはすごく仲がよくて、海外遠征でもたくさん話しています。世界水泳ではチームの絆で戦いたいです。

持田:そうですね、私は4×200mフリーリレーに出場しますが、メンバー4人で日本新記録を出したいです。そしてリレーの中の自分のタイムで、個人の派遣標準記録を出したいです。

池江:私は4×200mと、4×100mのフリーリレーに出場します。目標は、両種目で日本新記録を出すことです。自分自身のタイムは100mで53秒台、200mで1分57秒台を目指したいです。

――将来の目標と、totoを通じて応援してくれるスポーツファンの方たちに、メッセージをお願いします。

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持田:将来の目標は、2020年の東京オリンピックでメダルを取ることです。1位になれてもなれなくても「私が一番、頑張ってきたんだ」と胸を張って言える選手になりたいです。そして、人として「こんなふうになりたい」と思われるような人になりたいです。

池江:私も、尊敬できる人の振る舞いから学んで、誰からも憧れられるような人になれたらと思っています。競技面での一番の目標は、将来オリンピックでメダルを取ることです。

このあと、世界水泳など、大きな大会に出る機会が増えると思います。みなさんの期待に応えられるように、頑張りたいです。そして東京オリンピックでは、みなさんを感動させられるようなレースをしたいと思っています。

持田:私は、期待が大きければ大きいほど力を出せると思うので、どんどん応援してください。よろしくお願いします!

公益財団法人日本水泳連盟 会長 鈴木大地氏インタビュー

鈴木 大地 (すずき だいち)

公益財団法人日本水泳連盟 会長

順天堂大学 スポーツ健康科学部スポーツ科学科コーチング科学コース 教授

1967年生まれ、千葉県出身。1988年ソウルオリンピック100m背泳ぎで金メダルを獲得。現役引退後はアメリカをはじめとする海外で見聞を広め、2000年から母校である順天堂大学に勤務、同大学水泳部監督を務める。2007年、順天堂大学医学部博士号取得。2009年から日本水泳連盟の理事を務め、2013年会長に就任。

2015年世界水泳、リオ五輪、そして東京五輪へ

――鈴木会長は1988年ソウルオリンピックの100m背泳ぎで金メダルを獲得、その後、大学教員の道に進まれ、現在は順天堂大学で教授を勤められています。どのような経緯があったのでしょうか。

実は高校時代から、将来は、自分の取り組んできた水泳という専門性を活かせる仕事をしたい、そのためには専門的な知識を海外でも学びたいと考えていました。スポーツは身体と精神の両方に深く関わり、医学的知識も要求されることから、順天堂大学に進み、その後、米国で学ぶ機会にも恵まれました。

――2013年から日本水泳連盟の会長に就任されました。現在の最大のミッションはどんなことでしょうか。

2015年は7月25日からFINA世界水泳選手権大会がロシア・カザンで開催されます。

カザンの世界水泳選手権は、競泳の個人種目で優勝すれば2016年のリオデジャネイロオリンピックへの出場権が獲得できるため、選手たちのモチベーションは非常に高くなっています。選手たちには、ここで金メダルを獲得して、すぐにオリンピックに向けた強化に取り組めるようになることを期待しています。

そして、5年後の2020年には東京オリンピックが開催されます。日本水泳連盟としても、東京オリンピックが成功するようしっかりと協力し、また、日本水泳の競技力でファンの皆様に高く評価していただけるように準備を進める段階にあります。

やはり、物事には勢いが大切ですので、カザンの世界選手権で良い流れを作り、2016年のリオデジャネイロで優れた成績を残すことが、2020年につながっていくと考えています。

――鈴木会長は競泳で活躍されましたが、シンクロナイズドスイミング、飛び込み、水球の強化についてはどのようにお考えでしょうか。

2020年東京オリンピックでは、すべての競技に出場権があります。どの競技も強化を進めて、皆さんに「よく頑張った!」と言っていただけるような成果に結びつけていきたいと思っています。競泳は私の専門ですが、そのほかのシンクロナイズドスイミング、飛び込み、水球については、私自身も勉強しつつ、関係者のご協力を得て、日本水泳界全体で強くなっていきたいと考えています。

若い世代に競技の機会を増やす、2020年へ向けた取り組み

——日本は全国的にプールがあると言われています。これは選手の発掘、育成の面でメリットになっているのではないでしょうか。

すべての地域で完備されているわけではありませんが、比較的多くの学校や地域にプールがあります。おかげさまで、水泳は子どもの習うスポーツの上位に入っていて、親しむ機会が増えていることは間違いありません。

しかし、小学校高学年になったあたりで、塾通いなどもあり、水泳から離れてしまう子も多いと聞いています。また、その年代のお子さんたちに「全国大会に出よう」とクラブのコーチや先生方が少し無理をさせてしまって、楽しかった水泳がつらくなってしまう場合もあるようです。

その時期に「水泳が楽しい」「水泳が好きだ」という気持ちを持ってもらえれば、長く続けてもらえるのではないかと考えていて、例えば週に一度、競泳はもちろん水球なども組み合わせて、心身の発達をバランス良く考えながら水泳に親しんでもらい、中学生以降で真摯に競技に取り組めばよいのではないかと思っています。

——今回、競泳の池江璃花子選手と持田早智選手、ジュニア世代の2人に話を聞きました。特に競泳はジュニア世代が強い印象があります。

競泳ではジュニア年代の強化合宿を始めたのが数年前で、2014年度から東京オリンピック・パラリンピック2020を見据え、ジュニアSS合宿を新設し、月1回行っています。

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これによって選手同士が横のつながりを持つことができるようになり、連帯感が生まれて良い効果が出てきています。

最近、池江選手と話す機会があったのですが、「同じ年代で東京オリンピックのこととか話したりするの?」と聞いたら、「します!」と言っていました。本当に頼もしいことです。一人でがんばっているのではなく、同年代の仲間と共に意識を高く持って取り組んでいるので、今後が楽しみです。

――日本選手権とジャパンオープンに中学生や高校生の特別枠を設けました。その狙いを教えてください。

若い選手が大きなイベントに参加する機会を増やし、普段とは?