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天草エアライン、1日12時間弱、10区間をひたすら乗り続ける珍運賃に込めた思い

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熊本県の天草空港を拠点とし、たった1機のDHC8-100型機で毎日10回ものフライトをこなす航空会社をご存知だろうか。

「天草エアライン」は、天草と福岡、熊本、大阪/伊丹の3都市を結ぶ路線を運航している、日本で定期便を運航する中で一番小さい航空会社。熊本県と天草市などが出資し、1998年に設立。定員は39名にもかかわらず、すでに搭乗者数100万人を達成したというから驚きだ。

そんな天草エアラインのアイドル的存在が、2013年に新たな塗装に生まれ変わった「みぞか号」である。

胴体には親イルカ、両エンジンには2頭の子イルカのデザインが施された機体で、一般公募によって選ばれた。その選考に携わったのが、アジア唯一の公認サンタクロース、マンボミュージシャンとしても知られる、パラダイス山元氏である。

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パラダイス山元氏は、ANAが発売した国内線のプレミアムクラスが1年間乗り放題の「プレミアムパス」を購入し、1年間に1022回も飛行機を乗り倒したことでも有名。2013年秋に発売された「パラダイス山元の飛行機の乗り方」は、旅先へ向かう"手段"としてではなく、純粋に"フライトを楽しむ"という飛行機の乗り方を提案する一味変わった本だが、すでに第3刷となっており、飛行機ファンのみならず、一般人からも支持されているという。

そんな、飛行機を愛するパラダイス山元氏と天草エアラインが企画した"フライトを楽しむ"運賃が、「1日親子イルカ号パラダイス」運賃である。

1日10回(レグ)フライトをこなす、天草エアラインにたった1機ある「みぞか号」に、1日で全フライトに搭乗する天草発着10レグコースが15,000円、8フライトに搭乗する福岡発着8レグコースが10,000円。所要時間は10レグコースでは12時間弱に及ぶ。価格設定もさることながら、驚愕の企画だ。

12時間弱のフライト時間では、日本からではアメリカ東海岸のニューヨークや、ヨーロッパではドイツやフランスまで行くことができる。しかし、「パラダイス運賃」では、天草を出発し、天草に帰るだけだ。何か得られるものがあるのかと問われると、何も無いとしか言えないのかもしれない。

しかし、2014年1月にホームページのみでの告知で発売を開始したところ、瞬く間にクチコミで広がり、すでに150名以上が購入。アクセス手段が容易であるため、福岡発着の8レグコースのほうが人気とのことだが、天草発着の10レグを購入するという人、さらに首都圏など遠方からチャレンジする人もいるとのこと。これほどまで多くの人を惹きつけるものはいったい何なのだろうか。

天草エアラインの2012年度(2012年4月〜2013年3月)の平均搭乗率は、大阪/伊丹線が62.8%、福岡線が52.6%と平均すれば約5〜6割を維持している。毎年冬場は乗客が少ないシーズンで、その中でも特に平日は空席が多いという。

パラダイス山元氏は、航空会社の座席販売について、「39席ある座席をきっちりと埋めるパズルのようなもの」と語るが、 航空会社としては、飛行機を空席のままで運航しても運航するためのコストはあまり変わらないのため、1席でも多く販売して収益を増やしたい。そこで、空席である見込みが高い座席を「パラダイス運賃」として販売することで、ファンには激安で遊び心のある運賃を提供でき、航空会社としては少しであっても収益になるという構造だ。

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奥島社長に正直な感想を伺ったところ、2013年に発売したという、天草エアライン乗り放題の運賃はさっぱり売れなかったため、「ここまで売れるとは思わなかった」と言い、正直なところ、売れる理由、楽しい理由は全く良くわからない様子。

運賃が1万円台と、1フライトあたり1000円台とかなり格安であることについては、「収入よりも『こんなことをしている航空会社があるのか』ということが航空ファンや、巷の人達の記憶に残ることで、天草エアラインや天草の知名度が広がればいいと考えている」と言う。

設定期間は、2014年3月20日までの平日限定で、乗客が徐々に増えてくる3月の設定席数は若干少なめとのこと。すでに売り切れとなっている日も多く、中には2回目のチャレンジという人や、設定期間の延長を望む声も多いという。

奥島社長は、今後の計画については「全く未定」としながらも、いろいろとおもしろい企画を考えているといい、インタビュー中にもいくつかの案が出てくるほどだ。

1日10回、天草の真っ青な空を飛び回る「親子イルカ」と、天草エアラインの挑戦はまだまだ終わることはない。

トラベルメディア「Traicy(トライシー)」

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