女性誌の編集長が語る、「他の人とは違う企画を思いつく方法」

今日は、よく聞かれる「雑誌の作り方」という質問について、私なりの考えを書きたいと思います。

こんにちは。宝島社で30代から40代の女性に向けた美容専門の月刊誌『& ROSY(アンド ロージー)』の編集長をしている梅田美佐子です。

今日は、よく聞かれる「雑誌の作り方」という質問について、私なりの考えを書きたいと思います。

&ROSY

まずは、私が大切にしている企画を立ち上げるコツ、インスピレーションを得るためのヒントについて。

大前提として、ゼロから何かを作ることは不可能です。いや、不可能じゃないのかもしれませんが、難しすぎて私にはできません。どんな人が作ったどんな企画でも必ず、今まで感じてきたこと、経験してきたこの蓄積から生まれてきているはず。

知り合いのエディターさんがおっしゃっていたのですが、インスピレーションは、経験がないと生まれません。私の場合も展示会や化粧品の新製品発表会へ行ったり、人との会話から見聞きしたものをヒントに企画を立ち上げています。

経験から企画を立ち上げるとは、どういうことか? それは、点と点を結びつける作業です。

聞き込みから犯人特定のカギを探る刑事のように、ちょっとした日々のヒントも見逃さないようにすることが大切です。すぐに忘れてしまう!という人は、面白いかったことをメモに残しておくと、記憶に残ってほかの話とリンクしやすくなります。

この考え方、慣れればパズルゲーム感覚になって、とても楽しいんです。点と点がピタッと結びついたときの快感は、相当なもの。仕事が楽しく感じられるようになるはずです。

「厳選したビューティーアイテムや情報」と「ファッショントレンド」という大きな2つの点を結び付けた『& ROSY』という雑誌を立ち上げたのも、その作業のひとつなのかもしれません。

ファッション感度が高い女性は、意外と美容偏差値が低いと、長年のファッション誌の編集経験で感じていて。既存の美容誌やネットなど、美容に関する情報がありすぎて、何を選べばいいのか迷ってしまう。

それに加え、30~40代女性は仕事に家庭に忙しくて、自分に割ける時間も限られています。そんな大人の女性たちに、本当にお薦めできるアイテムだけを厳選して紹介して、実際の使用感や生活シーンを想像できる誌面を作りたいと思いました。

また、女性誌において、ファッションとビューティは切り離されて扱われることがほとんど。お洋服のページとコスメのページは別々で、ビューティの記事は顔だけをフィーチャーすることが多いです。

でも本来、ヘアもメイクもファッションも、全てはリンクしているものですよね。だから、ビューティとファッションを絡めて紹介する新しい雑誌、『& ROSY』を作りました。女性を引きで見て、トータルな美しさを提案する雑誌を作りたいと考えたんです。

面白い企画というのは、ゼロから生み出されるものではありません。あなたの中にある点と点が結びつくことで、初めて面白さが膨らむのです。