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「学び」の科学

2013年06月16日 23時38分 JST | 更新 2013年08月16日 18時12分 JST

私は勉強が大好きで、今でもハッと気がつくと無意識に勉強していることがある。そのたびに、「いかん!勉強して、遊んでいる場合じゃない!!仕事しなきゃ・・・」と反省することが多く、同僚からは変人の扱いを受けている(笑)。

そのたびに、「これからの超・情報化社会を生き抜くには、最新かつ最善の知識を、常に手に入れ続けることが重要なんだ!」と主張するも、中々受け入れてもらえずにいる(涙)。

個人的には、「学ぶこと」は最高のエンターテイメントだと思っている。しかし、真に楽しんで学べるようになるためには、英語で論文を読む、数式を読み解く、統計を使いこなせる、各学問領域に関してそれなりの造詣がある、といった厳しい修業が必要になる。

私自身についていえば、勉強が楽しいと感じられるようになったのは30歳を超えてからであり、それまでは苦痛でしかなかった。だが、いざ楽しく勉強できるようになると、「なんで、そんなに楽しく学ぶことができるのか?!秘けつを教えてほしい」と尋ねられることも多く、「修業が必要になりますが・・・」と答えると、「いやいや、効率的に出来る方法はないか?!」と反論されることも多い。

そこで、「ひとは、どうすれば、効率的に学べるのだろうか?」について調べてみたのだが、「その結果、人の学びについて、驚くべきことが分かった」、というのが今回の記事になる。参考にしたのは、下記の論文だ。

Learning Styles: Concepts and Evidence(Psychological Science in the PUBLIC INTEREST)

まず、大前提として、人によって「学び方」に違いがあることは、すでによく知られた事実になっている。たとえば、視覚化派か聴覚派か、ということがある。あるいは、自分が体験することで学ぶ人もいれば、人の真似をすることで学ぶ人もいる。

そのように、学び方に違いがあることは、厳然たる事実として存在している。

しかし、「学び方」に合わせた教育方法が、果たして画一的な方法に比べてどれだけ効果的なのか、検証した人はいなかったようだ。

そこで、研究者たちが過去に行われた研究を精査したところ、「学び方に合わせた教育が、効果的・効率的であるという証拠は、これまでにない」という結論に至ったそうである。

「これは一体、どう解釈すればいいのだろうか?」と私自身悩んでいたら、研究者たちは下記のようなコメントをしていた。「確かに、人によって学び方に違いがあることは事実です。しかし、私たちの研究結果が示唆しているのは、学び方の違いに着目しすぎるのではなく、『それぞれの学び方の共通項』に目を向けた方がいいのでは、ということです」。

「なるほど」と思った。もちろん、この研究は、あくまで過去20年間の研究成果を取りまとめたものであり、今後知見が覆されることは十分考えられる。

しかし、改めて今回の勉強を通して感じたのは、自分の勘や経験を人に押し付けるのではなく、作業としては大変だが、常に最新かつ最善の知識をアップデートしつつ、その上で自分なりの意見や考えを持ち、人や社会に対して働きかけていきたい、ということである。

・・・ということを踏まえて、「効率的に学びたい」と尋ねてきた友人に対して「効率的に学ぶ方法は、ないみたいです。頑張って、英語や統計など、地道に修業してください」と伝えたら、とてもがっかりしていたのをみて胸が痛んだが(笑)、「やっぱり、そうかー」と、それなりに納得した様子であったので、ひとまずはこれでよかったのだと思うことにした。