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iPhone発売も顧客流出続くドコモ、「土管屋」からの脱却戦略とは?

2013年10月10日 20時01分 JST | 更新 2013年12月10日 19時12分 JST
時事通信社

10月10日、NTTドコモは2013年の秋冬モデルを発表した。9月20日にiPhoneの販売を開始したドコモだが、9月も他社への顧客流出は13万件を超し、2008年の番号持ち運び制度(MNP)開始以来、歯止めがかかっていない。6000万人超の契約者を抱えるドコモの戦略とは――。

まず、今回の発表会で確認できたのは、「iPhone頼みの状態にはしない」ということ。ソニー、シャープ、富士通といった国内メーカーからサムスン、LGといった海外勢も含めてバリエーション豊かに機種を揃えた。iPhoneに依存するソフトバンクとは大きく異なる点だ。

ただし、選べる機種数は今後、減っていくのは間違いない。ドコモは今年の春夏モデルで、サムスンとソニーの2機種に絞ってマーケティングする「ツートップ戦略」を採用。これも一因となって、NEC、パナソニックがスマホから撤退を発表するなど、端末メーカーの生き残り競争も激化している。今回の発表会でもソニー、富士通、シャープの3社の端末を値引きして販売するほか、「来年の発表では今回より数は少なくなる。機種を絞り込んで調達コストを下げていきたい」(丸山誠治プロダクト部長)と明言している。今回発表された端末の中でも、Galaxy Note 3やXperia Z1はauでも提供されており、iPhoneと同じように、「"勝ち組"メーカーの端末を複数の事業者が扱う」傾向は今後も続き、ラインナップを差別化要因とするのは難しくなりつつある。

iPhoneが3社で取り扱われることによって、クローズアップされているのが通信品質競争だ。端末、料金面で違いを出せないため、より「つながりやすい」通信会社はどこなのかが焦点となっている。しかし、新型iPhoneの発売後、メディアが3社の通信品質を比較しているが、テスト結果ではドコモが苦戦している。これまでの3Gにおける「エリアの広さ」で通信品質が良いというイメージが醸成されいたが、現在のiPhoneが対応する高速通信規格「LTE」では差がつく結果になってしまった。これを受けてドコモは、LTEの周波数帯を4つ重ねて快適にすることを訴え、他社と同様にLTEの品質をアピールしている。中でも、通信速度が150MHzと他社より高速な1.7GHz帯のLTEは切り札で、東名阪を中心にエリアを拡大していく予定だ。

横並びで比較されがちな、端末戦略、エリア戦略と異なり、ドコモの姿勢が明確にあらわれているのがサービスの戦略だ。これまでの動画、音楽、電子書籍の配信サービスに加え、旅行の計画からサポートするサービスや、ネット通販を強化。決済手段と紐付いている携帯電話事業者の強みを軸に、これらをすべて1つのIDで利用できるよう整備するという。

ドコモのサービス戦略は、LTEやWi-Fiなど回線を問わず利用できる「ネットワークフリー」、スマホ、PC、タブレットなどアクセスする端末を問わない「デバイスフリー」、iPhoneかAndroidかなど、OSを限定内「OS」フリーが特徴。さらには今後、ドコモの携帯電話の契約すら必要ない、「キャリアフリー」を目指す。これが意味するのは、「携帯電話事業者」から、ヤフー、楽天のような「決済プラットフォームを持った巨大ネット企業」への転換だ。

事実、ドコモは近年、大手CD販売の「タワーレコード」や野菜宅配サービス「らでぃっしゅぼーや」、テレビ通販「オークローンマーケティング」、アパレルの「マガシーク」などを買収しており、物販を強化する意向は明らかだった。

近年の急激なスマートフォン化は、アップル、サムスンといった少数の世界的メーカーが多くのシェアを占めることになり、結果的に端末で通信事業者を選ぶことが難しくなっている。国内の携帯電話契約数も飽和点に達し、契約者の獲得競争は、多額のキャッシュバックや端末値引きといった、泥沼の戦いになりつつある。そんな中ドコモは、契約者向けサービス、という囲い込みではなく、「誰でも使える」オープンな戦略で物販、サービスで売上を増やそう、という目論見だ。

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