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中国頼みのイギリス?日本のことは「棚上げ」

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イギリスが外交方針を転換し、中国との経済連携を深めつつある。

中国を訪問しているイギリスのキャメロン首相は12月2日、北京で李克強首相や習近平国家主席と会談し、EUと中国との自由貿易協定(FTA)を推進したいとする認識を示した。時事ドットコムなどが報じている。

中国外務省によると、キャメロン首相は「中国の発展は中国国民だけでなく、世界にとってもチャンスだ」と述べ、英国の原発事業や高速鉄道建設への中国企業の参入を歓迎する考えを伝えた。


(時事ドットコム「中英首脳、関係修復を確認=経済協力拡大で一致」より 2013/12/02 22:06)

イギリスのガーディアン紙によると、キャメロン首相は、中国とEUのFTAがイギリスに18億ポンド(約3000億円)の利益をもたらすとしたうえで、「英国は中国の欧州最強の支持者になる」と述べた。キャメロン首相は、自身が先頭に立って、EUと中国間の貿易推進のために邁進する考えだ。

キャメロン首相はその本気度を、100人以上のイギリス・ビジネスリーダーと共に中国を訪問することで、期待度を表したとしている。

閣僚6人、財界人約100人を帯同したキャメロン首相は李克強首相との会談で、「訪中団の規模は、われわれが英中のパートナー関係に対して抱く期待の大きさを反映している」と強調。両者は投資、技術革新、金融など10分野の協力に関する文書に署名した。


(MSN産経ニュース「批判を封印 英首相 中国国家主席や首相と会談 関係改善を優先」より 2013/12/2 20:15)

キャメロン首相は2010年にチベットを訪問し、中国の怒りを買っていた。しかし、この方向を転換したのは、中国市場に遅れを取るイギリスの焦りがあると考えられる。

今年、仏独など欧州諸国首脳が中国新指導部と会談を行ったが、新時代の対中関係において英国は一歩後れを取っている。独仏が中国から経済・貿易受注を取りつけたことで、キャメロン首相は国内で圧力に直面した。英側は今回の訪中を強く重視し、外交、衛生、文化、環境、科学技術、商務など複数の閣僚級高官および約150人の商工業界リーダーを含む両国交流史上最大規模の代表団を用意した。


(中国網「キャメロン英首相が微博アカウント開設 「チベット独立」は支持せず」より 2013/12/03 13:19:21 )

キャメロン首相は今回の訪問で、チベット訪問を否定。中国の防空識別圏設定や人権問題への言及を避け、中国との関係改善を優先させたようだ。

中国の李克強首相は2日、訪中したキャメロン英首相と北京で会談後、共同記者会見で「英国側は中国の領土主権を尊重すると言及した」と述べた。中国中央テレビによると、キャメロン氏は「チベットは中国の一部。独立を支持しない」と表明。同氏は経済協力を優先し、チベットを含む中国の人権問題に踏み込まなかったとみられる。


(47NEWS「英首相、人権に踏み込まず 中国との経済協力優先」より 2013/12/02 22:50)

イギリスは12月2日、海軍のザンベラス参謀長が日本の小野寺五典防衛相と会談し、中国の設定した防空識別圏について、日英で連携して対応していくとしていたが、キャメロン首相の訪問では、一時棚上げされた格好となっている。

中国政府関係者によると、李首相は会談で東シナ海上空に防空識別圏を設置した理由を説明し、キャメロン氏は理解を示したという。


朝日新聞デジタル「中国と経済協力優先 チベット問題封印 英首相訪中」より 2013/12/03 05:00)

また、今回のキャメロン首相の中国訪問によるビジネス面の成果について、ロイターは次のように報じている。

李首相は、キャメロン首相とは保護主義を打破し、貿易と投資の自由化を推進することで合意したことを明らかにし、中国の投資に対する英国の開放的な姿勢を歓迎すると述べた。


さらに、高速鉄道について中英両国企業の間で進展がみられたと述べた。李首相は詳細を明らかにしなかったが、この件に詳しい筋によると、ロンドンとイングランド北部を結ぶ「HS2」と呼ばれる高速鉄道計画に参加する意向を中国側が示したという。


(ロイター「英首相、中国指導部にEU・中国自由貿易協定推進を表明」より 2013/12/03 08:10)

キャメロン首相も自身のTwitterで、ジャガーランドローバーのビジネス受注について、つぶやいている。

しかし、これを面白く思わないのがEUだ。

イギリスでは2012年にはEU離脱を巡る議論が国内で高まり、2015年に選挙を迎えるキャメロン首相は、もし選挙で勝ったら、選挙後にEU離脱の国民投票を行うとしている。

抜け駆けで中国市場へ擦り寄った挙句、EU離脱となってはいただけない。EUはキャメロン首相の表明した中国とEU間のFTAの締結について、「時期尚早」とはねつけている。

キャメロン首相が中国の李克強首相との会談に際し求めたFTA締結をめぐり、EUのポラック報道官は「現時点では時期尚早だと考えている」と述べた。EUとしては「意欲的な」投資協定の「交渉、決着が先決」だとした上で、それが完了すれば、幅広い貿易協定を求めるかどうか「長期的に」検討することは可能だと述べた。


(ウォール・ストリート・ジャーナル『EU、中国とのFTA協議は「時期尚早」』より 2013/12/03 06:37)

キャメロン首相の中国への動きに、イギリス国内の反応は上々のようだ。

「マーケットは大きいし、イギリスブランドには好意的だから中国との貿易は歓迎」、「スーパーパワーをもつ新興国の一つで強力に成長する国とは良好な関係を結んだほうがいい」、「好むと好まざるとにかかわらず、中国は世界最大の新興市場だし賢明だ」などの声が寄せられていたが、なかには、「一つのかごににすべての卵を入れるべきではない」とする意見も出ている。

ところが、中国のグローバルタイムス紙は、「イギリスは旅行と留学には良いが、古いヨーロッパの国」と切り捨てるなど、イギリスに対する中国の見方は、冷ややかなものもあるようだ。

なお、12月4日にはアメリカのバイデン副大統領が、また、5日にはフランスのエロー首相がそれぞれ訪中する予定だ。

日本やEUを尻目に、中国と連携を深めるイギリスの動きについて、あなたはどのように考えますか?ご意見をお寄せください。

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