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医療データを元に「近くの良い病院」を可視化――データジャーナリズム・ハッカソンで見えた可能性

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DATA JOURNALISM
The Huffington Post
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タイムリミットはたったの12時間ーー。

一般から集められたエンジニアやデザイナー、アナリスト、編集者がチームを組み、各種データを活用した報道コンテンツを作る。そんなイベントを、朝日新聞社が3月1日、2日に「データジャーナリズム・ハッカソン」として開催した。

データジャーナリズムとは、あるデータを元に分析や視覚化などの手法を用いてジャーナリズムを実現する新しい報道スタイル。海外の新聞社の事例が有名で、ニューヨークヤンキースのリベラ投手がいかにしてバッターを打ちとっているかをビジュアライズした「How Mariano Rivera Dominates Hitters」、2011年の英国暴動の原因を地域データで検証した「England riots: was poverty a factor?」などが代表例だ。

イベントの参加者は約80名で、事前にサイトで能力別に募集。朝日新聞の記者があらかじめ設定した大まかなテーマごとにチームを区切り、メンバーを振り分けた。まずは企画会議で、どのようなデータを用いて、それをどんな技術で表現し、何を伝えるのかを話し合い、その後の2日間、時間にしてわずか12時間で集中的に開発した。

その結果、グランプリを勝ち取ったのは、浅井文和編集委員が率いる「医療」チーム。特定の病気を治療するまでに要する日数を病院ごとに収集したデータをビジュアル化し、アプリを開発。「自分の街にあって、もっとも早く治療してくれる病院はどこか」という情報が一目瞭然となった。

たとえば脳卒中は男性の6人に1人、女性の5人に1人が経験する病気だという。しかも「治療に要した日数」が長ければ長いほどマヒなどの後遺症が高まり、要介護の原因第1位であるといわれている。

そこでハッカソンの医療チームは「治療に要した日数≒マヒの起きやすさ」とし、全国648病院を調査。すでに公開されている厚生労働省の「DCP/PDRS」というデータを用いて、利用者がウェブブラウザで使えるようなアプリに仕立てあげた。

「病気の名前」と「住んでいる地域」を入力すると、その病気を迅速に治療するにはどこの病院に行けばいいかが地図上で確認できる仕組みだ。前述の通り、脳梗塞のような病気の場合、利用者にとって非常に有用となる点が評価され、グランプリを獲得した。

リーダーの浅井編集委員はアプリの発表時に、自らも家族の介護経験があることを明かし、「データを活用して愛する人を救おう」と呼びかけた。

ほかにも「人口問題」や「サッカーW杯」「防災」「政治意識」など合計8つのチームが、アプリやグラフィックなどのコンテンツを作り上げた。朝日新聞の記者があらかじめ設定した大まかなテーマを元に、各チームのエディターが案を出し、アナリストがデータを分析、エンジニアとデザイナーが見事に形にした。

今回イベントを主催した朝日新聞社もウェブサイトならではの表現を模索しており、浅田真央選手の軌跡を描いた「ラストダンス」はFacebookで8万回シェアされ、従来の記事とは違った印象を読者に与えている。

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