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技術系の新興企業がネット中立性を守る戦いの最後の砦かもしれない

投稿日: 更新:
ALEXIS OHANIAN
AUSTIN, TX - MARCH 09: Entrepreneur Alexis Ohanian speaks onstage at 'Be Awesome Without Their Permission' during the 2014 SXSW Music, Film + Interactive Festivalat Austin Convention Center on March 9, 2014 in Austin, Texas. (Photo by Travis P Ball/Getty Images for SXSW) | Travis P Ball via Getty Images


ちっぽけなスタートアップ企業が無尽蔵の資金力を持ってロビー活動をする通信会社などの強大な勢力と互角に戦う方法は何だろう。

それは、インターネットの声を味方につけることだ。

2年前、インターネット関連会社と言論の自由の支持者、それにネット市民たちが連携して、議論の喧しい著作権侵害対策法案を廃案に持ち込んだ。

そして今回、同じメンバーが再び結集して新しい敵に立ち向かおうとしている。ウェブの将来を危惧してのことだという。ネット中立性が危機にさらされているのだ。

先週、連邦通信委員会 (FCC) が新たな法律を提案した。一般消費者により高速なインターネット接続を提供するという名目で、コムキャストやベライゾンなどのインターネット・プロバイダーが追加料金を徴収して良いという法律だ。

この提案は、現実にはネットの中立性を脅かすことになる。ウェブ上のトラフィックはどれも同等に扱われるべき、という原則が崩れるからだ。

技術系の企業家たちは、この規則により大手企業を相手にして事業を育てていくことができなくなるのではと危惧している。ウェブの 「FAST LANE(追い越車線)」 を得るだけの資金力はないのだから。ワシントンでのロビー活動が激しさを増し、こうした技術会社のコミュニティは自分たちの声を確実に届けるために結集し始めた。

「私たちの相手は莫大な資金を有効に使ってロビー活動を進めています。過去何十年にもわたる関係を利用しているのです。」とEngine AdvocacyのMarvin Ammoriは語る。このグループは、500を超える技術系の新興会社と投資家を代表してロビー活動を行っている。「そして私たちの支援者は、インターネットを利用するすべての人々です。」

Engine Advocacyは、5月15日を「day of action(行動の日)」と定めて計画を進めている。FCCが新たな提案について最初の投票を行う日に合わせたのだ。このグループは、2年前にSOPAとかPIPAなどと呼ばれる法案に反対する大きなオンライン上の勢力となったたくさんのグループの一つである。これらの法案はオンライン上の海賊行為との闘いを主目的にしたものだったが、インターネット上の活動家たちは、この法案により技術革新の息の根が止められ、ウェブのアーキテクチャーを土台から蝕むうえに、言論の自由も制限される可能性がある、と危険視していた。

何千ものウェブサイトが大きくまた小さくその一部を黒塗りし削除してこの法制化に反対の意思を示すとともに、こうしたウェブサイトの利用者たちが一斉に議会事務所に電話をかけ、議会内の同法案への賛同者たちに考えを改めてもらうように働きかけたのだ。

2年前のSOPA反対の運動を先頭に立って闘ったAlexis Ohanianは、ネットの中立性に忍び寄る危険は差し迫っておりインターネットのコミュニティは同様の対応を取る必要がある、と語る。Ohanianは、Redditというコミュニティ・ニュースのサイトを2005年に共同で立ち上げているが、もしユーザーにより高速なブロードバンドで利用してもらうための料金をRedditがインターネット・プロバイダーに支払わざるを得なかったとしたら、Redditはここまで人気を集められなかっただろう、と言う。

Ohanianは、ワシントンのFCCの事務所近くに新しい規則に反対の意思を表す広告塔を建てようと資金集めを進めている。この広告塔を使って委員側に「正しいことを為し、インターネットを守る」ようにとのメッセージを送る計画だ。

その次の段階は「ある種のオンライン上の行動」になるだろうと、Ohanianはハフポストアメリカ版に語った。

「次はテストになるでしょう。それで、市民一人一人の皆さんが果たして、資金力の十分な大企業と同じだけの影響力を持つことができるかどうかがわかります。これについての議論が、雪だるまのようにどんどん大きく広がっていってくれると良いのですが。」 と彼は語る。

FCC委員長のトム・ウィーラーは、新しい法律の下でも技術系新興企業が困難に直面することはない、と語る。

「もし 『次のグーグル』 や 『次のアマゾン』 の登場が遅れたり妨げられたりするようであれば、当局は全力で必要な手立てを講じる用意がある」 とウィーラーは今週の公式ブログで語っている。

しかし多くの企業家たちが口には出さないが関心を寄せている。今回の提案に公式に意見を表明する者はまだほとんどいないが、これはこの法律が実際にどのようなものなのかはっきりしていないからだと、人気のファイル交換サイトのBitTorrentで広報担当のChristian Averillは言う。

「何にもまして知りたいのは、『FAST LANE(追い越車線)』など作らない、という明白な方向性です」とAverillは、ハフポストアメリカ版に語った。「中身の解釈によって扱いが変わるなどあってはいけないのです。」

大手企業や利害をもつ多くのグループが自分たちに有利なように規則をまとめようとロビー活動を続ける一方で、技術系の企業家たちは議論からはじき出されているとの不安を感じている、とAverillは言う。

「新興企業には、こうしたロビー活動をするグループに対抗できるような資金力がありません。ロビー活動の側には実に豊かなお金がばら撒かれるのですが、小さな会社の側に立って口をきいてくれる人はいないのです。」

ワシントンで技術系新興企業の声を代弁する代表格がEngine Advocacyだ。このグループは、知的財産権や個人情報の保護、インターネット接続、それに移民問題など、技術系新興企業に必要な政治的な問題を研究して支援に取り組むために、3年前に設立された。

先週FCCに提出した意見書の中でこのグループは、もしこのような法律が成立すれば 「新興企業の破綻を招き、その結果アメリカの技術的な企業家精神や技術革新、それに雇用の創出が大きく蝕まれる」 と述べている。

Engine Advocacyは、社員が10人足らずで、その活動は寄付に頼っている。より高速なインターネット接続に課金をしたいベライゾンを始めとする通信大手に立ち向かうには、あまりに頼りないように見える。政治資金を監視するリスポンシブ・ポリティクス・センターの調査によると、ブロードバンドのプロバイダーを代表する業界団体である全米有線テレビ・通信事業者連盟は2013年にロビー活動のために2千万ドル近くを使っている。

しかし、Engine Advocacyに足りないものと言えば古い体質の政治的な筋肉であり、その代わりとしてウェブからの支持を集めたいのだ、とAmmoriは言う。

「大手のキャリアたちには敵うはずがない、という考えはそもそも間違っています」 と彼は語る。「私たちの側には、アメリカの将来を気遣う人々がいます。その皆さんは新興企業こそが新たな雇用を生み出し経済を成長させると知っているのです。そしてそうした新興企業はどれも、誰もが知り誰もが大好きな会社なのです。このことは変えようがありません。」

[(English) Translated by Gengo]

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